2024/10/19(土)放送 パラスポチアーズ!
〜パラアスリート全力応援〜

パラリンピックの卓球シングルスで日本初の金メダルに輝いた和田なつき選手を紹介。栄光の裏には涙なみだのストーリーが!試合直前に行う驚きのルーティンとは!?

和田なつき

和田なつき

パラ卓球

和田選手は中学3年生で卓球に出会い、知的障がいのクラス11で活躍する選手。パリ2024パラリンピックでは初出場ながら新たな女王の座に輝きパラ卓球界のニューヒロインとなりました。しかし、その輝かしい栄光の裏には数々の苦悩が。泣き虫なっちゃんの金メダルへの道のりに迫ります。

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応援団長の中山秀征がパラスポーツを体験しながら、ルールやテクニックなどを解説し、その魅力に迫るとともに、パラアスリートの熱い思いを聞く。
2024年10月19日放送回は、パリ2024パラリンピックで日本人初のパラリンピック卓球シングルス金メダリストとなった和田なつき選手を紹介。

日本パラ卓球界に歴史を刻んだニューヒロインが歩んだ涙の日々

2024年10月7日、和田選手は地元大阪府・松原市に凱旋し、市役所で行われたパリ大会祝勝会に出席。パラリンピック初出場で初優勝(クラス11=知的障がい)を成し遂げたニューヒロインは、大きな拍手を浴び、祝福を受けた。
2003年生まれの和田選手は、中学3年生で卓球に出会い、高校生になって本格的に競技に取り組むようになった。2022年に国際大会にデビューすると、杭州2022アジアパラ競技大会(2023年開催)で優勝し、パラリンピックへの出場権を獲得。そして初の大舞台で金メダルに輝き、日本パラ卓球界に新たな歴史を刻んだ。 
そんな和田選手に、応援団長・中山秀征がインタビュー。和田選手はパリ大会を「緊張したんですけど、すごく楽しかった。1日1日成長できたし、素晴らしい大会だった」と充実した表情で振り返った。しかしその充実感にたどり着くまでには、あふれる感情のまま多くの涙を流した日々があった。「試合前の練習が苦痛で、プレッシャーで毎日泣いていた。試合前は負けてしまったらどうしようとか、(気持ちが)ネガティブな方向にいってしまう」のだとか。和田選手のメンタルを、永富聖香コーチは「本当に弱いです」と評する。「うまくいかなくても泣くし、しんどい練習、嫌いな練習のときも泣く」という。そこでメンタルの弱さを意識させ、克服するために、和田選手が泣き出したら「『何分まで泣いていいよ』とタイマーをかけて、『その間しっかり泣いたら練習やってみない?』と呼びかけた」という。泣かないようにするのではなく、短い時間存分に泣くこと。普段の練習からそれを徹底することで、集中できない時間を減らし、気持ちの切り替えができるメンタル作りに取り組んだのだ。和田選手も「泣きやもうとしてもできないので、思い切り発散するように」心がけたという。

苦悩の涙を歓喜の涙に変えてつかんだ栄光、その先に見据える目標

メンタル強化の成果が出たのがパリ大会の準決勝。対戦相手は世界ランキング1位のエブル・アジェル選手(トルコ)だった。格上の相手であり、しかも和田選手は審判からサーブについて注意され、ペースを乱されてしまう。「1回目は多分、トスの高さが足りないと言われて、それを意識したんですけど、2回目は言葉もジェスチャーもよく分からなくて」。流れに乗れないまま試合は進み、和田選手はゲームカウント1−2でリードされた後の第4ゲームも、あと2点奪われると敗退するところまで追い込まれた。しかし「あのときの気持ちは?」という中山の問いには、「負けるという意識はなかったです」と答えた。「今までは1試合通して集中するのが苦手だったんですけど、この試合は5ゲーム全て集中できていて、気持ちの切り替えがうまくいっている実感がありました」。その言葉通り集中を切らさなかった和田選手は、5連続得点で逆転。第5ゲームに持ち込むと勢いに乗って3−2で勝利し、涙を流した。これまで流した苦悩の涙ではなく、歓喜の涙だった。そして決勝は3−1で勝利し金メダルを首にかけ、笑顔を咲かせた。
中山が今後の目標を尋ねると、和田選手の答えは「世界ランキング1位を目標に頑張ること、2026年のアジアパラ競技大会と世界選手権で優勝すること」。ちなみに2024年12月時点で2位にランキングされており、どの目標も射程圏内にある。もちろんその先にはロサンゼルス2028パラリンピックがあり、「2連覇することも目標です」と2度目の大舞台を見据えている。中山が「そのために大変な練習が始まりますね」と声をかけると、和田選手は笑顔を浮かべながらも「はい。辛いです…」とこぼすが、中山が「涙の数だけメダルが増えますから」と激励すると、「はい、いっぱい泣きます!」と答えた。辛い練習で流した涙が大きな喜びに変わることを知った和田選手の、アスリートとしての日々は続いていく。

文/佐藤新

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