2018/09/25
主演作「カネの花〜愛を閉ざした男〜」で2017年 MBC演技大賞で最優秀演技賞を受賞したチャン・ヒョク。
本作の女性チャンネル♪LaLa TVでの放送開始を記念して、チャン・ヒョクへインタビューを敢行!
ドラマのみどころや出演者の方々とのエピソードなどを聞いてみました。
「カネの花」を撮影した時は“アンタゴニスト(敵役)”を演じてみたいと思っていました。
しかし「カネの花」で僕がキャスティングされたのは主役だったので“プロタゴニスト(主人公)”といえますが、アンタゴニストに見えるように演じたいと思いました。
ストーリーテラーでありながらも、舞台をかき乱すようなそんな役柄を演じてみたいと思っていたのですが、幸いなことに監督や出演者、脚本家とたくさん話し合ったおかげで視聴者の方にもそのことがうまく伝わるような作品に仕上がったと思います。
そうですね。似ている点もあれば、全然違う点もあると思うのですが、僕は基本的に役作りの時や演技をする時に必ず自分に引き寄せて考えます。自分がどう感じたか、自分ならどういう選択をするか考え、そのうえで自分なりに解釈して表現していくのですが、僕自身とはかなり違うと思いました。
感情の面では似ているところもありますが、状況が違いすぎます。ですので、カン・ピルジュという役柄をひと言で説明するならば“1つの目的(に向かう男)”でしょうか。ひたすら復讐という目的のために生きてきたくせに、なかなか復讐に踏み出せないという男なんです。復讐してしまったら、目的意識を失ってしまうのは分かっていますし、復讐してしまったら燃え尽きてしまうからです。本来なら17歳の時に復讐を決めたものの、歳月の流れにより気持ちが変わってしまうこともあると思います。そういうところに違和感を覚える人もいるかもしれません。また、ピルジュがどういう選択をするのかドキドキする人もいるかもしれません。そこを表現したいと思いました。
主人公に感情移入できる点では普通のドラマと同じですが、主人公なのにアンタゴニスト(敵役)のようだったので、主人公が問題を解決するのではなく、主人公が問題を起こしていく点が今までのドラマと違う点だったと思います。
以前「マイダス MIDAS」というドラマに出た時に残念だったことは、主人公がストーリーテラーの役割をしているうちに、事件にひきずられてしまう、ということでした。ですので、いつか経済もののドラマに出る時は、事件を引っ張っていけるような役割をしたいと思っていました。
今回は監督やスタッフや出演者とよく話し合って、その点を克服したいと思いました。
はい、もちろんです。
今回の監督は女性の監督なんですが、僕とよく話し合ってくれました。本作は企業と経済をテーマにしたドラマなので、男性監督が演出していたら、事件を中心に展開していったと思うのですが、今回は女性監督ということで、監督の感性が生かされた演出となっています。各登場人物の感情を中心に描かれているので、それぞれの人物がどんな選択をしていくのかが、緊張感を持って描かれています。
なるべく反応を見せないようにしました。自分を出さないようにする、ということは、相手の知りたい、という欲求に火をつけることになるので、自分をさらけ出してしまうほど、魅力が失せると思うんです。不必要なことは口に出さないで、必要最低限しか話さず、淡々とした感情表現を心がけて演じるようにしました。
一番記憶に残っているシーンは、弟のお墓のシーンです。お墓に埋められた弟に向かって「寒いだろうな」と言うんです。冷徹な役柄なのに、そうではない部分がクローズアップされたシーンでしたので、印象深かったです。全てを手に入れたと同時に、全てを捨てようとするのですが、結局、全てを捨てることができず、野心と欲望のままに、進んでいこうとする、ラストシーンも印象深いものでした。
「大変勉強になりましたし、イ・スンジェさんは台本読みの時に、韓国における芝居の歴史についてお話してくださいました。イ・スンジェさんの演技の本質に関わるお話は大変興味深いものでした。
イ・ミスクさんは姿勢や自己管理に関するお話をしてくださったのですが、すごくためになりました。外見に関することだけではなく、内面をどうやって管理していくかについて、後輩の僕たちに教えてくださいました。そんなお話を伺って、お二人の魅力をより深く感じました。
チャン・スンジョさんは舞台出身の俳優なので、稽古を重ねて演技をするタイプだと思いました。ですので、相手の演技を予想して、演技を組み立てるのかな、と思ったんです。
でも僕は今回の作品でチャン・スンジョさんが視聴者の注目を浴びるためには、殻を打ち破るべきだと思ったんです。だからスンジョさんにはこう言いました。「君の予想どおりには演技しないよ」と。だから撮影のたびに僕も彼の予想を上回る演技をしようと心がけました。さまざまなリアクションで演技をしたので、スンジョさんの演技も豊かになったはずです。
だから僕も彼のリアクションを受ける時は、1+1が2では誰でもできることなので、
“1+1+α”でいきました。アルファの部分は相乗効果を生み出したと思います。撮影を重ねながらこういう努力をしていきました。
ええ。緊張したでしょうね。僕も彼と同じように緊張感を持って演技をしました。
きっとエキサイティングな現場だったと思います。
女性監督ということで、女性が魅力的に感じる男性像という視点で演出をしていました。
女性が好む男性像と男性が好む男性像は違うんです。主人公は危うい野心の持ち主であり、
少年を感じさせるような一面も持っているという設定で演出をされていたので、「この監督の演出はすごく頼もしい」と思いました。僕は“男性の思う男らしさ”を演じることはできますが、女性ならではの視点で演出してくださったので、助かりました。そういう女性ならではの視点や、事件の解決を中心にしたストーリー展開ではなく、事件を取り囲む登場人物の心情を中心とした演出をしてくださいました。おかげで緊張感が生まれて、ヒューマニズムやそれぞれの人物への思いがきめ細かく伝わるような作品に仕上がりました。
テンポあるリズム感もすばらしかったです。ややもすると単調になりそうに見えるのに、あおるようにバストショットで撮るところなど、演技を生かした演出だと思いました。
そういう演出も好評だったようです。
正直言って同情というよりも、かわいそうに思いますね。ピルジュは愛を知らない男ですから。目的を果たす方法も知らず、目的に向かって走り続けることしかできない男なんです。そうやって生きてきたので、習慣的に何かに向かって走り続けるしかないんです。
子供の時に弟を亡くしてしまったため、その虚しさを埋めるために、何かをつかもうとするのですが、それは実態のない何かなんです。実態がない何かをつかもうとしているんですが、欲望ってそういうものですよね。片思いしているなら、思いを伝えればいいのに、それができないため、実態のない何かを永遠に追いかけ続けるんです。
日本でも「カネの花~愛を閉ざした男~」が放送されますね。「カネの花~愛を閉ざした男~」という作品の魅力は、企業を舞台にカネを取り巻く、人間の欲望を描いた点ですが、
それだけでなく、登場人物が織りなす人間模様も描かれたドラマです。
皆さんの心に深く突き刺さるようなドラマだと思いますので、ご期待ください。
もうすぐご覧になれますよ。
財閥に絶対服従する弁護士ピルジュ(チャン・ヒョク)は、財閥創業者の長男の嫁マルラン(イ・ミスク)とともに、マルランの息子と次期大統領候補の娘モヒョン(パク・セヨン)の政略結婚を計画。モヒョンは策略にはまるが…。