特集アメリカ大統領選2016

候補者分析 
トランプ氏に大統領の資格はあるか

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共和党候補のドナルド・トランプ氏
(写真:ロイター/アフロ)

米国大統領選挙は10月19日に3回目のテレビ討論会が終了したことで、投票日に向けて最終戦の段階に突入しました。共和党のトランプ候補は、度重なる差別発言で批判を浴び、ライアン下院議長がトランプ氏を「擁護しない」と発言するなど共和党内は分裂状態になっています。果たしてトランプ氏には大統領になる資格はあるのでしょうか。

トランプ氏支持層は米国の繁栄から取り残されている人々

一般常識で考えればトランプ氏は米国大統領にふさわしい人物とはならないでしょう。米国は民主主義のリーダーを自認する国であり、多くの米国人は、世界に対して自由と平等の精神を訴えかける責務があると考えています。トランプ氏は、当初から「メキシコとの国境に壁を作る」「イスラム教徒の米国への入国を禁止する」といった、移民やイスラム教徒を侮辱する発言を繰り返してきましたから、リーダーになるような人物ではないと多くの人が考えていたわけです。ところが選挙戦が始まると、トランプ氏に対する支持が思いのほか強く、一概にトランプ氏が大統領にふさわしくないとは言いにくくなってきました。

差別発言を繰り返しているにもかかわらずトランプ氏に対する一定の支持がなくならないのは、白人労働者層を中心に、米国の繁栄から取り残されていると感じる人が増えてきているからです。

米国は急速な勢いで社会のIT化が進み、単純労働者は淘汰される傾向が顕著となっています。一方、グローバル化の進展で米国には多くの移民が渡ってくるため、職を失った労働者は、低賃金で働く移民労働者と競争しなければなりません。こうした人たちの不満が高まってきたことが、トランプ氏への支持につながっていると考えられます。

女性蔑視発言で風向き変わる

一時は世論調査でもクリントン候補に肉薄する場面がありましたが、過去の女性蔑視発言が報じられたことで風向きが変わってきたようです。米紙はトランプ氏が2005年のテレビ番組の収録中に、「自分はいくらでも女性の体に触ることができる」「有名人なら女に対して何でもできる」などと発言していたと報道。トランプ氏は謝罪に追い込まれました。ところがこの発言を聞いたライアン議長が「気持ちが悪くなる」とトランプ氏を批判し、10日にはトランプ氏を「擁護しない」と発言しました。
また、最後のテレビ討論会直後にCNNが行った調査では、トランプ氏が勝利したとの回答は39%で、クリントン氏の52%を大きく下回りました。

ライアン議長は正式にトランプ氏の支持を取り下げたわけではありませんが、この発言は事実上の支持取り下げに近く、トランプ氏にとっては大打撃です。このままの状態で最終的な投票日を迎えることになれば、仮にトランプ氏が当選することになっても、大統領としての資質の問題はずっとつきまとうことになるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

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