努力を努力と思わない天才少女|『メダリスト』狼嵜 光
――『メダリスト』では、主人公・結束いのりのライバルでフィギュアスケート界の天才少女である狼嵜 光(かみさき ひかる)を演じられています。まずは、こちらの作品の魅力を教えてください。
市ノ瀬:『メダリスト』も本当に面白い作品ですよね。主人公のいのりちゃんが司先生と一緒に成長していく物語で、つねに熱い展開が待っている、もう余すところなく面白いスポーツ漫画だと思います。
原作を読んでいて感じたのは絵力の凄さ。いのりちゃんが、がむしゃらに食らいついていくときの表情とかを見ると、背筋がゾクッとするような、ちょっとした怖さすら覚えます。
そんないのりちゃんが、日々の練習だったり、大会だったりを通じて成長していく姿を見ていると、涙せずにはいられないシーンもたっくさんあります。そういうシーンに出会うたびに「自分も何か頑張りたいな」と思える。
そんなところが、『メダリスト』ならではの魅力だと思います。
――演じられている狼嵜 光の魅力はどんなところだと思いますか?

©つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
市ノ瀬:1期でいうと、「努力を努力と思っていない」というのが彼女特有の感覚になっていて、それが当たり前なんだろうなというのは感じますよね。
ふつう、あの年齢の女の子なら自由に遊べる時間も欲しいはずじゃないですか。でも、そういう時間を一切捨てて、すべてをスケートに注ぎ込んでいる。「狼嵜光=スケート」と言えるくらいに、人生の軸がスケートになっている子なので、やっぱりそれだけ熱い思いを持っているのでしょう。
あの年齢でそこまで人生を賭けて打ち込めるものがあるって、本当にすごいことだなって思います。

©つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
――ありがとうございます。狼嵜 光はかなりストイックなキャラクターだと思いますが、市ノ瀬さんご自身はストイックな部分ってありますか?
市ノ瀬:最近は、体力をつけたいと思っていて、少し外で走るようにしているんです。昼でも夜でも走れるときには「30分でいいから走ろう」って思って。
でも、音楽を聴きながら「今日はどの道を行こうかな」って気分で走る道を選ぶ瞬間とか、走っているときに「このお家、素敵だな」「こんなところにお店あったんだ」とか気づくこととか、すごく新鮮な気持ちなんですよね。
ストイックとは違うかもですけど、最近はそんなふうにランニングをするのが楽しいですね。

取材・文/郡司 しう 撮影/小川 伸晃