イヤだった自分の地声に自信が持てるようになった|『ようこそ実力至上主義の教室へ』堀北鈴音

――『ようこそ実力至上主義の教室へ』(以下『よう実』)では、堀北鈴音役を演じていらっしゃいます。
鬼頭:私にとっては、深夜アニメのヒロインとして初めてオーディションに受かった作品が『よう実』の堀北鈴音だったので、すごく思い入れがある作品です。
こうやって第2期、第3期と長くアニメで演じ続けられている作品になったこともすごくありがたいなと思います。現場でも、第1期の頃からキャスト同士が仲良くて、登場キャラクターも多い作品なので、まるで学校のクラスみたいに「楽しい」と思える作品ですね。
そのなかでも、鈴音はわりと語気が強くてハキハキしゃべる役で、最初の頃は「どうしても早口になってしまう」というクセから抜け出せず、いつもボールド(セリフに割り当てられた尺)が余ってしまい、けっこう苦労しました。
でも、長く携わらせていただいている作品だからこそ、自分の成長を感じられる機会もあって、第3期に入ってからは自分のセリフをしゃべりながら、「こういうセリフ、昔はしっかり言えなかったな」とか思い出しては、懐かしい気持ちにひたってみたり。そんなふうに、声優としての喜びを噛み締めたりもできる作品だった気がします(笑)。

©衣笠彰梧・KADOKAWA刊/ようこそ実力至上主義の教室へ製作委員会
――作中での鈴音も、クラスでの出来事や綾小路のやり方を見ながらどんどん成長していっていますよね。鬼頭さん自身、鈴音を演じて自分にはどんな変化がありましたか?
鬼頭:私、地声が低いんですけど、駆け出しの頃はこの低い地声でお芝居をすることにすごく苦手意識があったんです。というのも、じつは声優になった理由の一つが、地声の低さがイヤで高い声を出せるようになりたかったから。鈴音のような低い声で演じることに、最初は大きな抵抗感がありました。
ただ、『よう実』を通して鈴音を演じているときに、意外にも周りに「鬼頭さん、地声いいよ」と言ってくれる共演者さんやスタッフさんの方が多くて、この作品をきっかけに割と低い声の役を任せていただく機会も増えたんです。
任せていただいたからには真剣に向き合わなければいけないと思ったし、自分でもいろいろ試行錯誤しました。現場でのディレクションから学ぶこともあって、結果的に低い声の役もどんどん苦手意識がなくなっていって、自分の自信にも繋がりました。
だから、鈴音を演じられたことは、私の声優人生にとっては、とても大きかったなと思っているんです。
取材・文/郡司 しう 撮影/小川 伸晃