
声優・本渡楓
ロングインタビュー #3
自分が「楽しそう」と思ったら
たとえ止められても絶対にやる。
2025年3月21日更新
HONDO
INTERVIEW
幅広いキャラクターを的確に演じ分ける力と、繊細な感性で直向きにキャラクターに向き合う姿勢を武器に、『魔女の旅々』イレイナ役、『夜桜さんちの大作戦』夜桜六美役、『ゾンビランドサガ』源さくら役、『パリピ孔明』月見英子役など、数々の人気作品でヒロインを演じている声優・本渡楓さん。彼女のお芝居に対する姿勢を形づくったのは、駆け出しの頃に現場でかけられた「本渡はもっと、素直にお芝居をしたらいいのに」という、いまは亡き音響監督の言葉でした。それから今日に至るまでこの言葉の意味に向き合い続け、マイク前に立ってきた本渡さん。このインタビューでは全3回にわたり、彼女の出演作品やキャラクターに対する思いやこれまでの歩みをひもときながら、その声優としての信念に迫ります。
お芝居に滲んでくる生き方が好きな3人の声優

――影響を受けた声優さんというと、どなたが思い浮かびますか?
本渡:すぐに思い浮かぶのは、『亜人ちゃんは語りたい』でご一緒した諏訪部順一さんと日笠陽子さん。お二人とも先生の役をやられていて、アフレコの直前ギリギリまでいろいろ雑談をされているんですけど、いざ収録が始まると言葉を発するだけでその場が教室になったように見えるんです。
当時、私は新人でプロの仕事に「なにこの人たち!すごすぎない!?」と感動した記憶があって、それ以来、こういう質問ではお二人の名前を挙げさせてもらっています。
――「スタジオが教室になったように見えた」ってすごいですね……!
本渡:すごいですよね!
あとは、前回のインタビューで仲良しだとお話しした田野アサミちゃん。彼女は以前から声優だけでなく音楽や舞台などマルチに活躍されていて。
だからなのか『ゾンビランドサガ』でご一緒したときに「お芝居だけどお芝居じゃない。まるでアサミちゃん自身がその役を生きている」ふうに見えました。
例えば、ふつう台本に「驚く」お芝居があったとしても、本当にびっくりってできないじゃないですか。もう先に知っちゃってるから。でも彼女のお芝居は……なんというか“リアル”なんです。
吹き替えでもアニメでも、人間らしさを体現したお芝居をする。それが羨ましいなと思います。
――本渡さんから見て“その役を演じる”を超えて、“その役を生きてる”と感じるお芝居なんですね。
本渡:そう思って見てると、例えば色紙にサインするとき、例えば私なら「源さくら役・本渡楓」って書くところ、アサミちゃんは「二階堂サキ・田野アサミ」って書くことにも気づいて。
ラジオとかでもそうです。「二階堂さき、田野アサミでした!」みたいな感じで、“役”という言葉を使わないんですよ。
多分、それは思いがあってそうしてるんだなって。
――ごく小さなポイントですけど、そこに田野アサミさんの姿勢が見えますね。
本渡:本当、そうなんです。そういうアサミちゃんの声優としてのあり方、マインドはあまりほかの声優さんには見たことがなくて、彼女ならではだと思います。
それが私にどれだけ影響しているかは正直わからないですけど、アサミちゃんとの掛け合いだと自分でも想像していなかったお芝居が突然出てきたりするので、それもすごく楽しくて。ある意味、「これが心でお芝居するっていうことなのかな」というのを、掛け合いの中で教えてくれるすごい存在です。
――「心でお芝居する」は前回のインタビューで本渡さん自身が大切にしたいことでしたもんね。挙げていただいた御三方の共通点を挙げるとしたら?
本渡:多分「お芝居じゃない部分も含めて、その生き方が好き」ということですね。
「多分」というのは、私が諏訪部さんと日笠さんのお人柄をそこまで知り尽くしているわけではないから。もちろん何度もお話ししたことはあるんですけどね。
でも、お芝居って生き方が反映されてしまうものだと思うんです。だから、田野アサミちゃんもそうですけど、その3人のお芝居から感じ取れるものはすごく好きで、「この方々、素敵だなぁ」といつも尊敬してしまいます。