© 2016-2017 Khorgos Lead Culture Media Co.,Ltd
提供:アジア・リパブリック12周年/アスミック・エース
秋戦国時代を模した架空の世界「中垣」で、各国の青年君主や参謀、将軍たちが覇業や生き残りをかけて知略を競う、男たちの陰謀劇。タイトルは司馬遷の『史記』の中の、始皇帝を追いつめた荊軻らを扱った『刺客列伝』から取られているが、ドラマの「刺客」は単なる暗殺者とは限らない存在。各国の戦略と思惑が錯綜する展開と、大義や友情に命をかける男たちが魅力的だ。
若き君主たちが理想を掲げ、参謀や将軍たちが知力を戦わせる物語を軸にしており、情報戦や駆け引きに各朝廷にうずまく陰謀などの複雑な要素がからみ、戦略ゲームのようなおもしろさがある。それでいながら全体のトーンは重過ぎず、若者たちの間にある深い信頼や秘めた想いが描かれる場面では、まるで宮廷ドラマを見ているようなドキドキ感に。主君と臣下の別れや死の場面では、二人の出会いなどの回想シーンが挿入され涙を誘う。こうしたドラマを男優だけで演じ、女性がまったく登場しないのも独特。主要なキャストには敢えてブレイク前の若いイケメン俳優を多数起用し、それぞれの魅力を引き出すことに成功しており、何人もの出演者がその後、映画やドラマで主演級に。その点でも注目したい作品だ。
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物語は中垣が混乱の時代に入るところから始まる。鈞天国の啓昆帝は、直轄領の瑶光国を天璇国に奪われ、天璿に出兵。天璿王の陵光はこれに対し、刺客を送って啓昆を暗殺するが、親友で腹心の裘振を失う。その頃、貴族の専横に頭を痛める天枢国の孟章は、貧しい出身だが豊かな才能をもつ仲坤儀を得る。また、古い体質の天璣国を改革したい蹇賓は、斉之侃を将軍に抜擢する。そして、滅ぼされた瑶光国の王子・慕容黎は、故国再興を果たすため、天下に野心がなく遊びほうけている天権国の執明に接近していく。それぞれに問題を抱えながら混乱の時代に乗り出した若い君主たちに、中垣に狙いを定めた異民族国家、遖宿国の脅威が迫る……。
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多数登場するイケメンの中でも注目を集めたのが慕容黎役のチャー・ジエ。愁いを帯びた表情で戦乱を操ろうとする亡国の王子を好演。スター情報サイトでは「ファンに影響力のあるスター」の新人賞を受賞し、歌手デビューも果たした。ほかにもポン・ユーチャンやチュー・ジエン、台湾のアイドルグループSpeXialのメンバーも本作がきっかけで人気に。自分好みのイケメン、明日の大スター探しが楽しめるはず。
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物語の重点は「頭脳戦」に置かれており、古代らしい礼儀に満ちたやり取りの裏で火花を散らす駆け引きにハラハラさせられる。他国の同盟関係を割くために刺客を送り込む、相手国の派閥に接近し朝廷内の争いを激化させる、通貨操作による経済戦争を仕掛けるなど作戦が非常に高度。そして、そこには各君主の天下に対する考え方、参謀や将軍たち独自の価値観も反映されていて説得力がある。
天璇国に滅ぼされた瑶光国の王子慕容黎を演じるのは『 刺客列伝 』でデビューした査杰、2016年の「粉絲網」年度賞で「ファンに影響力のあるスター」のルーキー賞を受賞した。
己の身代わりに死んだ親友が作ってくれた簫を持ち国の再興のため諸国を移動する中で、天権国王執明に出会い、その人柄に触れてその聡明さに気付くが、国の再興のために執明を利用する非情な謀略の才が漢の張良を思わせる。
国を失い再興を果たす一国の君主でありながら、最後まで執明を「王」と呼ぶ忠心を秘めて戦乱の世に翻弄される慕容黎の様には胸を塞がれる。
ストーリー後半で中垣の方向を運命付ける仲坤儀を演じたのは、SpeXialの熊梓淇。明るい性格と多芸多才な人柄で、現在では大陸のバラエティでも活躍している。
己の才に揺るぎない自信を持ち、在野の士が門閥貴族の壁に遮られることなく登用される世の中を目指す夢想家であり、同時に国も君主も己の道具として使う冷徹な野心家という側面を併せ持ちながら、友人の死に直面してさらに復讐心を抱くという複雑な流れを、不自然さなく演じとおした。
『琅琊榜』のブレイクによって日本でも一躍有名になった呉磊と『沙海』で共演し、また直近はドラマ『瓔珞』の呉瑾言と新作『晧瀾伝』で共演している朱戩は、『刺客列伝』で一見楽天的で頭が悪いようでいながら、実際は聡明で、大国の君主という肩書がもたらすプレッシャーに耐えられない繊細な二代目という難役をこなした。
四大君主の中で唯一野心を持たない王が、他者の復讐と野心に翻弄され、また他者の思惑に生かされながら王として成長していく様子は拙いながらも視聴者を引き込む。