令和の今こそクセになる！ 濃厚'70～'80年代「大映ドラマ」5選

パイロットだった父の遺志を継ぎ、スチュワーデスを目指す松本千秋(堀ちえみ)は失敗ばかりの478期訓練生。村沢浩教官(風間杜夫)にしごかれながら、同期の仲間とともに大空へ飛び立つ日を夢見て奮闘します。千秋と村沢は惹かれあいますが、彼には事故で義手となった婚約者真理子(片平なぎさ)がいました。「あたしは嫉妬深い女よ」と村沢を責め、真理子が怖い顔で手袋を口ではずすシーンをはじめ、千秋が両手を広げて飛ぶマネをしながら国際航路を覚えたり、HIROSHIの名前入りのユニフォームを作って「ひろし478!!」と叫んだり、名場面は数知れず。実際と同じ厳しい非難訓練にも挑戦した堀ちえみの必死の表情はとてもリアルです。「ドジでのろまなカメ」「教官!」「ジャンプ!」といったセリフも流行語となり、第一回ATP賞人気番組賞を受賞。青春ドラマ、恋愛ドラマ、JAL全面協力によるドキュメンタリータッチのお仕事ドラマでもあるのが、大きな魅力です。

3歳で母と別れ、非行を繰り返すミッキーこと麻生未記(伊藤かずえ)が、困難を乗り越え、形見にドラムスティックを遺してくれた父(ジャズドラマー・俳優のフランキー堺)から受け継いだドラムの才能を活かして、バンドを結成、世界一を目指す物語。伊藤かずえの連続ドラマ初主演作です。見どころのひとつは、伊藤が体当たりで見せたドラムスティックによるアクション。やくざを相手にもひるまず、四人を骨折させる暴れっぷり。そのため未記は少年院に入ることになります。18歳で父と死別した彼女は、自分の道はドラムしかないと気づくのでした。バンドメンバーは、ピアノ(松村雄基)、ベース(坂上忍)、ギター鶴見辰吾、宮田州、サックス国広富之と豪華な顔ぶれ。女性ボーカルとともにマイクを抱えて熱唱するボーカルが野々村真というところも見逃せません。舞台となった横須賀に実際にある店でロケし、街のネオンやファッションなども当時の雰囲気を伝えています。

父を知らず、母も亡くした雪村千代(堀ちえみ)は、佐渡でも有数のホテルを経営する叔父の相良(名古屋章)に引き取られ、働きながら高校に通っています。千代は、幼いころ相良の娘・みさ子(伊藤かずえ)にケガをさせ、足を不自由にしたことに深い負い目を感じて、みさ子のいじめにじっと耐える毎日。上京してウエディング・デザイナーを志す千代には、恋に落ちたアイドル歌手上月光(松村雄基)との異母兄弟疑惑、厳しい競争や嫉妬、死別などさらなる試練が待ち受けていました。堀ちえみ×伊藤かずえ、大映ドラマ二大ヒロインの顔合わせが実現。何もそこまでと思うところまで千代を追い詰めるみさ子は迫力です。各話の副題も「危険を買う男」「愛の地獄・魔の棲む館」「血染めの離婚届」などドラマチック。千代の親世代の恋愛関係、ファッションの世界で生きる女たちの戦いもからめながら、一気に予想外の結末へ。このスピード感も大映ドラマならではの醍醐味です。

麻倉未稀が歌う「スチュワーデス物語」の「ホワット・ア・フィーリング~フラッシュダンス」、MIEによる「不良少女と呼ばれて」の主題歌「NEVER」など、ドラマを盛り上げる主題歌もお楽しみの一つ。「ヒロインと彼の恋を成就させて!」と嘆願書がテレビ局に届くほどファンを夢中にさせた珠玉のドラマの数々をお楽しみください。