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夏の高校野球 暑さ対策で朝夕の「2部制」導入

2024.06.28
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2024年夏に開催される第106回全国高等学校野球選手権大会で、朝夕の2部制が一部導入されます。大会主催者である日本高等学校野球連盟(以下、日本高野連)と朝日新聞社は、選手と観客の暑さ対策として日中の試合を避けた2部制の実施を決定しました。今大会では3日間限定の導入となり、試合開始時刻や入場料などが変更されます。なお、地方大会では2部制が適用されません。

この記事では今年初の試験導入となる2部制について、基本からわかりやすく解説しています。夏の高校野球が始まる前に2部制のルールを押さえておきましょう。

目次

夏の高校野球から試験的に導入される「2部制」とは?

高校野球の2部制とは選手と観客の健康を守る目的で、今夏に初導入される猛暑対策の一つです。毎年8月半ばに開催される夏の高校野球は、炎天下で行われる試合も多く、熱中症や日射病のリスクが問題視されています。午前と夕方に試合を振り分け、熱中症などの主な原因となる気温の高い時間帯を避けることが、今回試験導入される2部制の目的です。

ただし今大会では序盤の3日間に限った部分的な導入となります。1日4試合が予定される4日目以降は、最終戦の終了時刻が夜間に及ぶおそれがあるため、2部制は実施されません。主催者側は今大会で課題を洗い出し、今後、4試合が組まれる日で2部制の実現が可能か探っていく考えです。

「2部制」導入でどう変わる?

2部制の一部導入により、まず開幕から3日間の試合開始時刻が変更されます。今回は午前の部と夕方の部で、以下の通り試合日程が組まれました。初日は第1試合の終了後、第2〜3日目は第2試合が終わった時点で観客の入れ替えが行われます。

午前 夕方
第1日
※開会式は8:30~
第1試合
10:00~
第2試合
16:00~
第3試合
18:30~
第2日・第3日 第1試合
8:00~
第2試合
10:35~
第3試合
17:00~

出典:大会 2024/04/19 第106回全国高等学校野球選手権大会第2回運営委員会開催結果について|日本高等学校野球連盟

上記のスケジュール変更に伴い、観客の入場料も変更されます。この3日間は、1日通して試合が観戦できる「1日券」が販売されないため、観客は午前の部と午後の部でそれぞれ入場券を購入する必要があります。入場料は以下を参考にしてください。

席種 第1~3日
※午前の部と夕方の部でそれぞれ入場料金が必要
第4日以降
※1日券での販売
中央指定席 大人2,000円(税込)
子ども2,000円(税込)
大人4,200円(税込)
子ども4,200円(税込)
一・三塁指定席 大人1,700円(税込)
子ども500円(税込)
大人3,700円(税込)
子ども1,200円(税込)
アルプス一般指定席 大人800円(税込)
子ども800円(税込)
大人1,400円(税込)
子ども1,400円(税込)
外野指定席 大人500円(税込)
子ども100円(税込)
大人700円(税込)
子ども200円(税込)

※2024年4月19日時点の情報です。

出典:大会 2024/04/19 第106回全国高等学校野球選手権大会第2回運営委員会開催結果について|日本高等学校野球連盟

「継続試合」適用の可能性

2部制の実施日は、観客入れ替え時の混乱や事故などを防止するため、十分なインターバルの確保が必要です。主催者側は最低でも2時間半のインターバルが必要と判断し、第1日は13:30、第2日・第3日は14:30までに午前の試合が終了していない場合、継続試合の制度を適用すると発表しました。

継続試合とは長時間の試合や悪天候による選手の負担を軽減する目的で、2022年度に導入された制度です。継続試合が適用された場合、その日の試合は中断され、翌日以降に試合を停止した場面から続きを再開します。原則、出場選手および打順は中断時と同様である必要がありますが、規則に基づいた選手交代は認められます。ただし試合中断前に交代してベンチに下がった選手は、翌日の継続試合には出場できません。

2部制一部導入の背景

主催者側は、夏の高校野球で熱中症対策の重要性が年々高まっていると認識しており、2022年より2部制の導入を検討してきました。これまでにも夏の高校野球ではさまざまな猛暑対策が講じられており、2023年には試合中に10分間の休憩を挟むクーリングタイムが初めて実施されています。

しかし、昨年の第105回全国高等学校野球選手権大会では、暑さ対策が行われていたにも関わらず熱中症の症状を訴える選手が続出し、30人以上が手当てを受けたと報じられました。同大会では241人もの観客が救護室で処置を受けています。

熱中症は体温の調整機能に異常が生じ、頭痛や吐き気などの症状が現れる疾患です。放置すると重症化するおそれもあります。選手や観客の健康を守るためにも、夏の高校野球の猛暑対策は喫緊の課題と言えます。

そのほかの熱中症対策は?

夏の高校野球における猛暑対策は、2017年よりさまざまな対策がとられてきました。たとえば、2020年度にはスパイクのカラーの使用制限緩和が行われています。スパイクのカラーについて、これまでのブラック一択から、太陽熱を吸収しにくいホワイトカラーの使用が許可されました。

2023年より導入された対策は、5回終了後に水分補給などの休憩時間が確保できるクーリングタイムです。ただし今大会では、16時以降に始まる試合ではクーリングタイムが実施されません。また、クーリングタイム中のウォーミングアップ開始時刻が終了3分前に変更されました。6回から登板する選手の投球練習は終了5分前から可能です。

そのほか、今大会の猛暑対策として、準決勝・決勝の開始時間の繰り上げが行われます。いずれも気温がもっとも高まる日中の時間帯を避けるため、開始時刻が準決勝は昨年より1時間、決勝は4時間早まります。実際の開始時刻は以下ご参照ください。

準決勝 第1試合 第2試合
8:00~ 10:35~
決勝 10:00~

出典:大会 2024/04/19 第106回全国高等学校野球選手権大会第2回運営委員会開催結果について|日本高等学校野球連盟

さらに第1試合の出場校には専門家のアドバイスのもと、試合前に補食が提供されます。水分不足や低栄養素の状態が続くと、熱中症を発症するリスクが高まります。十分な栄養を補給することで、熱中症予防に一定の効果を発揮すると考えられます。

まとめ

今大会から一部導入される2部制により、初日から3日間は気温の高い時間帯の試合を避け、朝夕に分けて試合が行われます。さらに準決勝・決勝の開始時刻が繰り上げられるなど、今夏の高校野球ではさまざまな猛暑対策が実施される予定です。

地方大会でも、各高校野球連盟が独自に暑さ対策を行う可能性があります。昨年の事例では1試合で2〜3回ほどの給水タイムを確保する取り組みや、ベンチに扇風機の持ち込みを許可するなどの動きが見られました。すでに今年の対策として、開会式を暑さが和らぐ夕方に開催するなどの取り組みを発表している県もあります。

気象庁によると今年も猛暑日が増えると予想されています。暑さ対策は選手がベストパフォーマンスを発揮できる環境を整えるために、重要な取り組みの一つと言えるでしょう。

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二宮清純コラム

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