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飛ばないバット(低反発バット)導入で高校野球はどう変わる?

2024.06.28
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2024年春から、高校野球で新基準の低反発バットが本格的に導入されました。反発性を抑えた低反発バットは、金属バットながら木製バットに近い使用感と言われており、「打球が伸びにくい」「芯でとらえないと飛ばない」など監督や選手からさまざまな声が上がっています。

高校野球ファンも大きな関心を寄せる低反発バットについて、導入の背景や基準、注目校の対策などをまとめました。「低反発バットで高校野球はどう変わるのか?」気になる人はチェックしてみてください。

目次

飛ばないバットと呼ばれる「低反発バット」とは?

低反発バットとは、反発性能や打球速度を抑えた新しい金属バットです。2022年に日本高等学校野球連盟(以下、日本高野連)より低反発バットの新基準が公表され、この2年間は移行期間として、新旧いずれのバットでも使用が認められました。今春からは新基準へ完全に移行され、従来の金属バットは使用できなくなります(※木製バットはこれまで通り使用可能)。“飛ばない”バットとも呼ばれる低反発バットの完全導入により、夏の高校野球でどのような勝負がみられるか、その動向が注目されています。

導入の背景

低反発バットが導入された背景の一つに、ピッチャーライナーによる事故があります。2019年に開催された第101回全国高等学校野球選手権大会にて、岡山学芸館の投手が強烈なピッチャーライナーを受けて、左の頬骨を骨折する事故が起きました。ボールをよく弾く従来の金属バットは打球速度が早く、飛距離が出やすいことから、ホームランやヒットにつながりやすいため、投手の球数が増えやすい点も問題視されています。このように、主に投手の健康、安全面の観点から低反発バットは生まれました。

飛ばないバットで試合はどう変わるか?

反発性能を抑えた低反発バットの本格導入により、高校野球はこれまでと戦い方が変わり、さらなるおもしろさが生まれる可能性を秘めています。今年の3月に開催された第96回選抜高等学校野球大会でも、各高校においてさまざまな戦略や対策が見られました。

たとえば、3月18日の「近江vs熊本国府」戦、19日の「阿南光vs豊川」戦では、右打者に対し左翼手のポジションを通常よりかなり前に配置させる前進守備が見られました。長打が出にくいとされる低反発バットならではの対策と言えます。各校の監督の中には「走者をためて一掃するような場面はめったに見られなくなる」と分析する方もいます。実際に春の大会では盗塁や犠打の数が昨年大会を上回り、一点を争う試合が多く見られました。この夏は一点をもぎ取るための各校のさまざまな駆け引きが見どころになりそうです。

さらに21日の試合では青森山田の選手があえて木製バットで打席に立つ姿が見られました。その日のSNSで「木製バット」がトレンド入りするなど、高校野球ファンの間でも大きな話題となりました。低反発バットへの移行に際し、練習で木製バットを取り入れていた選手はそのまま使い慣れたバットで戦う選択肢もあります。

このように低反発バットの導入により、守備でも攻撃でも例年とは違う戦い方が見られるかもしれません。

金属バット導入の歴史

そもそも高校野球ではいつから金属バットが使用されているのでしょうか? 金属バットが高校野球に導入されたのは1974年です。前年に行われたハワイとの親善試合で、相手チーム側から金属バットの使用許可を求められたことをきっかけに、日本の高校野球でも金属バットの導入が検討され始めました。この時点では明確な基準が設けられないまま、1974年の春季都道府県大会から使用が開始されます。芯(当たると打球が飛びやすい部分)が広く、反発係数の高い金属バットの導入により、試合の戦略や展開も大きく変わったと言います。

その1年後には選手の安全を担保するため、金属バットの基準が制定されました。1980年代にはバットの強度などを規定した「SG基準」も生まれています。1990年に音響規定が追加されるなどSG基準は何度か見直しが行われており、現在でもこの基準を満たさないバットは高校野球では使用できません。

高校球児にとって大きな変化となったのは、2001年に行われた打撃性能の抑制による基準改正です。金属バットの反発性能の高さや、昔よりパワーのある選手の増加などにより、打者側に有利な打高投低が深刻化したため、打撃性能を抑えたバットの基準が制定されました。それ以降バットの基準に大きな変更はなく、今回の低反発バットによる新基準の制定は実に23年ぶりです。

飛ばないバット(低反発バット)の基準

低反発バットの導入にあたって、バットの最大直径や打球部の厚さなどに新しい基準が設けられました。バットの重さは変わりませんが、打球部が1mm厚く、最大直径が3mm小さくなったことで、従来よりボールを弾き返す性能が抑えられました。バット本体には従来の「N」マークでなく、「R」マークが入ります。

低反発バット 従来の金属バット
重さ 900g 900g
最大直径 64mm未満 67mm未満
打球部の厚さ 約4mm 約3mm

出典:取り組み 2024/03/29 金属製バットはなぜ変わったのか|日本高等学校野球連盟

ホームラン数への影響

日本高野連の実験では、低反発バットは従来の金属バットに比べ、打球初速が約3.6%、反発性能も5%から9%に落ちる結果となりました。感触は木製バットに近く、現場では「芯で捉えることが難しい」との声もあります。低反発バットが本格導入された最初の大会である2024年の第96回選抜高等学校野球大会では、ホームラン数が例年に比べ減少する結果となりました。

参加校数 ホームラン数
2022年 32 18
2023年 36 12
2024年 32 3

出典:第91回~第95回大会 | 出場校一覧 | 選抜大会 | 日本高等学校野球連盟,第96回 | 出場校一覧 | 選抜大会 | 日本高等学校野球連盟

まとめ

今年から本格的に導入された低反発バットは、新基準により打球が飛びにくい傾向があります。実際に今春の選抜大会では、本塁打数が減少するなどの変化が現れました。低反発バットの導入により、高校野球の戦い方は大きく変わると予想されます。

春の選抜大会でも低反発バットを攻略するための対策が各校で練られ、盗塁や犠打を駆使しながら一点を争う緊迫した試合が多く見られました。夏の高校野球でも、昨年とはまたひと味違ったおもしろい戦いが見られる可能性が高くなります。夏までに低反発バットに対応し、ホームランを放つ選手も増えるかもしれません。各校の戦略や選手の成長に注目しながら、夏の高校野球を楽しみましょう。

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