プロ野球で通算2006安打をマークした駒田徳広さん(巨人-横浜)には“伝説”があります。高校時代、満塁で敬遠されたというものです。本当でしょうか?
伝説と化している試合は1980年の奈良県春季大会決勝です。エースで4番の駒田さんを擁する桜井商は県下きっての強豪・天理と対戦しました。
結論から述べると、この試合、桜井商は8対13のスコアで天理に敗れるのですが、駒田さんの最初の打席はフォアボール。満塁だったため、押し出しの一点が入りました。
天理にも評判の注目株がいました。1学年下の藤本博史さんです。81年のドラフト会議で4位指名を受け、南海に入団しました。
この日、調子の良くなかった駒田さん、藤本さんに満塁ホームランを打たれ、試合をひっくり返されます。
この一発で持ち前の負けず嫌いに火がつきました。次の打席で満塁ホームランをお返しするのです。右中間スタンドに飛び込む特大の一発でした。
試合後、天理の清水貢監督は、報道陣の前でこう語ったそうです。「だから、全部歩かせればいいと言ったのに」。
駒田さんによると、この話が後に大きくなって伝えられ、満塁での押し出しが、敬遠によるものだった、に変わってしまったというのです。この手の“武勇伝”は、この世界では、よくある話です。
駒田さんは80年、巨人からドラフト2位で指名され、入団するのですが、「あのエピソードはかなり役に立ちました」と語っていました。“満塁敬遠”の伝説は、あまねくプロ野球のスカウトたちにも知れ渡ったようです。
それにしても、駒田さんは“満塁”に縁のある選手です。なんと、プロ初ホームランが満塁ホームランなのです。
83年4月10日、後楽園球場での大洋戦に、駒田さんは7番ファーストで先発出場しました。ファーストのレギュラー中畑清さんがケガをしたことで、出番が回ってきたのです。
初回、いきなり満塁のチャンスで打席が回ってきました。大洋の先発・右田一彦投手は、前年、ファームで3本のホームランを奪っているカモ中のカモでした。フルスイングした打球はライトスタンドへ。プロ初打席での満塁ホームランは史上初の快挙でした。
ちなみに満塁ホームランの日本記録は1位が中村剛也選手(埼玉西武)の22本、以下、王貞治さん(巨人)の15本、藤井康雄さん(オリックス)、中村紀洋さん(近鉄など)の14本と続き、駒田さんの13本は江藤智さん(広島など)、小久保裕紀さん(ダイエーなど)、井口資仁さん(ダイエーなど)と並んで5位タイです。
ただし、総ホームラン数に占める満塁ホームランの割合となると、通算195ホームランの駒田さんの場合、15本に1本となり、これは10本以上の満塁ホームランを記録している19人の選手の中では最高です。今でも「満塁男=駒田」と呼ばれる所以でしょう。満塁で無類の勝負強さを発揮した駒田さん、その原点は高校時代にあったのです。
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