二宮清純コラム プロ野球ガゼット

2019年5月17日(金)更新

15:00

元スカウトが断言「佐々木は大谷以上」
「令和の怪物」は甲子園に登場するか!?

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 4月に高校生最速の163キロをマークして話題を呼んだ佐々木朗希投手(大船渡・岩手)が、最後の夏に向け始動しました。11日、岩手県内で行われた練習試合に先発し、紫波総合(岩手)を相手に7回を投げ、無失点に封じ込めました。

163キロは封印

 この日、佐々木投手の投球内容は95球のうちストレートが44球、カーブが19球、スライダーが14球、チェンジアップが14球、フォークが4球。球速は本人によると「5割程度」でしたが、それでも毎回の16奪三振を記録し、モノの違いを見せつけました。対戦した紫波総合の選手たちは口々に「ボールが見えない」「スライダーが消えた」と語っていました。

 この佐々木投手とメジャリーグで活躍する大谷翔平選手(エンゼルス)の高校時代はどちらが上か。ピッチャーに絞って話を聞いてみました。

◎大谷翔平と佐々木朗希
*左が大谷翔平、右が佐々木朗希
生年月日   94年7月5日  01年11月3日
身長(高1時) 180センチ  186センチ
身長(高3時) 193センチ  190センチ
体重(高1時) 65キロ  71キロ
体重(高3時) 86キロ  81キロ
最速   160キロ  163キロ
甲子園出場  2回(2年春、3年春)  なし

 貴重な意見を披露してくれたのは、東京ヤクルトの元東北地区担当スカウトの八重樫幸雄さんです。

 八重樫さんは宮城県出身で、仙台商高時代、2度甲子園に出場しました。70年にドラフト1位でヤクルトに入団し、42歳まで現役を続けました。リーグ優勝を3度、日本一を2度経験しています。トレードマークのクローズドスタンスはつば九郎の十八番です。

 スカウト時代、八重樫さんは花巻東高の大谷選手を一年生の頃からマークしていました。「今の佐々木君は高校時代の大谷君より上ですね」。驚くべき答えが返ってきました。

「スカウト職を退いた今も東北地方の高校野球関係者から情報は入ってきています。そうした話を総合すると佐々木君はボールの回転が非常にいいと。練習試合、五分の力であれだけ三振をとれたのも、回転が良くてボールにキレがあったからでしょう。それとリリースポイントが安定している。この点に投手としての完成度の高さが表れています」

荒削りの大谷翔平

----花巻東高時代の大谷選手は?

「当時、大谷君は打者としては非凡なものを見せていましたが、投手としてはまだまだ荒削りでした。試合でもマウンドに上がって投げてみないと調子がわからないタイプ。リリースポイントも安定していなかった。まあ、球だけは滅法速かったですけどね……」

 続けて、こんなエピソードも。

「2年生になったあるとき、大谷君の体がグンと大きくなったのを目の当たりにしました。高校に入ったときから背は高かったけど、ヒョロヒョロ。それが倍くらいになった印象でした。そこからピッチングもバッティングも大きく伸びたんです」

 佐々木投手も81キロの割には、まだ細い印象を受けます。

「球速を抑えているのは、まだ体幹を含めて160キロに耐えられる体ができていないからでしょう。佐々木君も体を一回り、二回り大きくすれば、自ずと球速に耐えられる。その後、実戦で100%の力で投げていく。生きたボールを積み重ねていくことで、肩やヒジのスタミナもついてくるんです。潜在能力として160キロを投げる力があっても、実戦でそれを発揮できなければ宝の持ち腐れです。夏の大会までに、どれだけ体を大きくできるか。ちなみに大谷君は丼でご飯を4杯も5杯も食べていたと、当時の佐々木洋監督が言ってましたよ」

 それにしても、なぜ岩手から菊池雄星投手(マリナーズ)、大谷選手、そして佐々木投手と次々に怪物が誕生するのでしょう。

「東北地方の野球が強くなった背景には、野球留学生の影響があると思います。一時期、東北地方の私立高は関西などから有望な選手を多くスカウトしていました。それで高校野球のレベルが上がると、地元の選手も『負けていられねぇ』と奮起する。それにより、さらにレベルが上がる。それにつられて小中学生のレベルも上がってくる。要するに地域全体の底上げが図られたんです。加えて言えば、メンタル的な要素もある。東北人は粘り強いので、少々厳しい練習を課されてもへこたれない。継続は力なり、です。地道な練習は粘り強い東北人に向いているのかもしれませんね」

 プロ野球やメジャリーグのスカウトにとって、佐々木投手が甲子園に出る出ないは、さして大きな問題ではありません。一方で甲子園での勇姿を見たいと願うファンも少なくないはずです。令和の甲子園に佐々木フィーバーは吹き荒れるのでしょうか。

K.Ninomiya二宮清純
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二宮清純コラム プロ野球ガゼット

二宮清純

国内外で幅広い取材活動を展開し、独自の視点からスポーツジャーナリストとして切れ味のよいコメントを繰り出す。毎週火・金更新。

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