
日本高校野球連盟は、12月5日に開催した理事会で、今年1月から11月までの間、計10回にわたって実施した「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」での議論の結果を公表しました。
検討会議が高野連に提出した最終報告書の「総括」は、こう結ばれています。
<高校野球が直面する差し迫った課題の一つに、年々厳しさを増す全国高等学校野球選手権大会における熱中症対策があり、酷暑への対策は待ったなしの状況である。したがって、全国高等学校野球選手権大会においては、地方大会を含め可及的速やかに7イニング制の採用が望まれるとした>
では、採用の時期は、いつになるのでしょう。
<現在加盟校で活動する部員達は、高校野球は9イニング制という前提で入学しており、部員達の心情を考慮すると、全ての公式戦での7イニング制の採用は移行期間を設ける必要があるとの声もあり、全ての公式戦での7イニング制採用は、現在の中学3年生が高校3年生となる2028年の第100回記念選抜高等学校野球大会ならびに各都道府県高等学校野球連盟の春季大会から採用することが望ましい>
確かに熱中症リスクへの対応は、緊急を要するものです。何かが起きる前に制度を変えようとの姿勢は評価に値します。
もし炎天下の甲子園で、選手の身に熱中症による深刻な事態が発生した場合、「夏の甲子園を中止せよ」との世間の声に抗えなくなるでしょう。
最終報告書に、次のような一文があります。
<全国大会の試合はテレビ放送ならびにネット配信を通じて、国内外を問わず、試合の様子が発信される。たとえ、重大事故に繋がらなかったとしても、グラウンド上で足が攣り、痙攣を患う選手が頻繁に映ることが、社会に与える影響を高校野球関係者は認識する必要がある>
危険が及ぶのは選手だけではありません。主催者は審判員や観客に対しても安全配慮義務が生じます。
他方で、気になる点もありました。猛暑を9回制から7回制への転換の大きな理由にするのなら、何も大会を非ドームの甲子園にこだわる必要はないのではないか、というものです。
これについては、「甲子園球場で全国大会を継続していく」ことが前提になっているようで、報告書にはこう記されています。
<甲子園は「聖地」とも呼ばれ、高校野球そのものを指す代名詞にもなっているのみならず、他の文化的活動、イベントなどでも「〇〇甲子園」といった呼称が広く浸透している。歴史的、社会的な見地から、今後も甲子園球場において両大会を開催することが望ましい>
これを受け1978年夏の甲子園優勝投手である愛甲猛さん(横浜高)は、こう話します。
「甲子園が聖地であることは認めます。しかし、9回制は野球の根幹。暑さを最大の理由としてルールを変える前に、やることがあるのではないか。たとえばドーム球場で全国大会を行なうとか、開催時期を秋にずらすとか。高野連は高校野球を“教育の一環”と位置付けている。ならば夏休みじゃなくてもいいのではないでしょうか」
7回制の賛否については、高野連の加盟校を対象にしたアンケートにおいて反対が70.1%、賛成が20.8%で、9回制を支持する声が7回制派を圧倒しています。高校野球は、どこへ向かうのでしょう。
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