
横浜DeNAベイスターズの牧秀悟選手が、鹿児島・鹿屋市での自主トレで、ユニークな練習法を披露しました。模造刀を用いてのトレーニングで、本人は「武士になった気分です」と語っていました。
牧選手が用いた模造刀は長さ1メートル、重さ1キロ。そんきょの姿勢のまま、鞘から刀を抜く仕草は、腕の立つ剣豪のようでした。
このトレーニングを発案したのは浜川彰吾トレーナー。無駄のない動きが求められる模造刀での素振りは、「バット(スイング)よりも軌道のズレがよくわかる」そうです。体幹がしっかりしていないと、模造刀であってもしっかりと振り切ることはできないとも。
牧選手は、「自分の体をどう使っていたかを再現できる、すごくいい練習」と感想を口にしました。
日本刀を使ってのトレーニングといえば、現役時代の王貞治さんの“短冊切り”が有名です。
このトレーニングを考案したのは、打撃コーチだった荒川博さん。天井からぶら下げた短冊状の新聞紙を真剣で切り裂くというものです。
荒川さんによると、刃が上から入らなければ短冊は切れません。バッティングも同じで、ボールに対し、バットを上から鋭角に入れることで、打球に逆回転がかかり、飛んでいくというのです。いわゆるダウンスイング理論です。荒川さんだけでなく、巨人監督の川上哲治さんも、この理論の信奉者でした。
荒川さんは、王さんにパンツ一丁でバットを振らせることもありました。生前、この狙いについて聞くと、荒川さんはこう語りました。
「バットをビュッと振った時に余計な力が入っていたら、すぐに肩や腕の筋肉に表れる。(歌舞伎の)六代目菊五郎がそうだったんだよ。踊りの名手と言われた彼は常に浴衣で稽古をやっていた。鏡を見ていて、どこに無駄な力が入っているかわかったというんだ。それにヒントを得たんだよ」
真剣を振るだけでも危険が伴うのに、真剣の“刃渡り”をトレーニングに取り入れた高校があります。春1回、夏6回の甲子園優勝を誇る名門・広島商です。
いったい、どういうトレーニングだったのでしょう。ここは経験者に聞くしかありません。
「刃渡りというけれど、実際には真剣の刃の上を歩いたりはせんですよ。両足が刃の上に乗るだけ。広島商では昔からやっていた。精神修養の一環だったんでしょうね」
こう語るのは、広島商から広島大に進み、現在は自動車販売会社「株式会社バルコム」の代表取締役を務める山坂哲郎さんです。一学年下に達川光男さん、金光興二さん、佃正樹さんらがおり、1973年夏の甲子園を制しました。
「そりゃ怖いし、緊張もしますよ。しかし、いきなり刃の上に乗るわけじゃない。まずは腹式呼吸の練習をして、いわゆる腹ができるのを待つんです。地べたに台を置き、その20センチくらい上に2本の真剣を並べる。乗る時は左右にいる人間の肩を借りる。刃の上に乗れたら手を離して、ゆっくり立つ。時間にすると5秒から10秒くらいかな。“よし!”という合図で、ゆっくり降りる。僕らの頃はレギュラーだけが、これをやっていましたね」
――危険だからと言って断ることはできないのか?
「そんなこと言える時代じゃないでしょう。やれと言われたら、ハイと言ってやるしかない。ただしケガした人はおらんかったと思いますよ」
臨済宗の禅僧・快川紹喜の言葉ではありませんが、高校生ながら「心頭滅却すれば火もまた涼し」という心境だったのかもしれません。
二宮清純データが取得できませんでした


以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。