二宮清純コラム プロ野球ガゼット

2017年9月1日(金)更新

14:00

マジックナンバー3度消灯の広島
苦戦は緊張感持続の”良薬”か……

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 広島の連覇に向けたマジックナンバー18が30日、消えました。8月8日に「33」が点灯してからこれで3度目の"消灯"です。

ついたり、消えたり……

 30日、東京ドームで行われた巨人戦は先発の大瀬良大地投手が誤算でした。2回に3点を失うと、4回には今季116試合ホームランのなかった小林誠司選手に第1号を献上。5回を投げて被安打9、5失点でマウンドを降りました。チームも4-6で敗れ、昨年9月29日から続いていた東京ドームでの巨人戦連勝は8でストップしました。

「選手はしっかりと戦ってくれたし、この試合はいろんな意味で自分も経験になった。反省してまた明日から戦っていきたい」

 試合後、緒方監督はつとめて平静を装うように、こう語りました。

 とはいえ8月頭に最大11あった2位・阪神とのゲーム差は6.5に縮まっています。広島の3度のマジック点灯と消灯を簡単に振り返りましょう。

 最初のマジック点灯は8日、ナゴヤドームの中日戦でした。0-1の7回表、広島は菊池涼介選手、丸佳浩選手の連打でチャンスを作り、4番・鈴木誠也選手のタイムリーで追いつきました。8回から中崎翔太投手、今村猛投手、中田廉投手、一岡竜司投手、ジェイ・ジャクソン投手の救援陣が踏ん張り、延長12回、1-1で引き分けました。これで待望のマジックナンバー33が点灯。球団史上最速のマジック点灯と話題になりました。

 しかし、マジックナンバーは古びた門灯同様についたり消えたりするものです。翌日、1-7と大敗してわずか1日で消えました。再度、点灯したのは15日のことです。

 京セラドームでの阪神戦、初回に丸選手の3ランで先制した広島は自慢の打線が爆発。14安打を放って11-6で快勝しました。再度点灯したマジックナンバーは27。メディアは「最速Vは31日」と報じました。

 順調に連覇に向かっていた広島でしたが、22日からの横浜スタジアムでのDeNA戦で潮目が変わりました。初戦、守護神・今村投手が9回裏、ホセ・ロペス選手、宮崎敏郎選手に連続アーチを浴びて逆転サヨナラ負けを喫すると、翌23日は延長10回裏、中田投手が梶谷隆幸選手にサヨナラのタイムリーツーベースを浴びました。さらに24日、中崎投手が9回裏2死二塁から倉本寿彦選手にタイムリーを打たれて3戦連続の逆転サヨナラ負け。これで再び、マジックナンバーが消えました。

 翌日、2位・阪神の敗戦もあって3度目となるマジックナンバー21が点灯しましたが、一時の勢いはありません。

大事な試合勘

 広島は3・4月16勝10敗1分、5月15勝9敗、6月14勝7敗、7月15勝7敗1分とハイペースで白星を積み重ねてきました。8月こそ30日まで12勝12敗2分と五分の星ですが、それでも連覇への視界は良好です。

 むしろ8月の足踏みは、クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズへと向かう広島にとって"良薬"と言えるのではないでしょうか。

 12年前の2005年、セ・リーグは阪神が2年ぶりにペナントを奪回しました。勝率6割1分7厘。最終的に2位・中日に10ゲーム差をつける堂々たる優勝でした。

 優勝を決めたのは9月29日。日本シリーズまで1カ月近く待たされることになりました。千葉ロッテとの日本シリーズは阪神ファンにとっては苦い思い出です。シーズン2位から勝ち上がってきたロッテに全く歯が立たずスイープ(4連敗)を喫したのです。

 敗因のひとつとされたのが「試合勘の差」でした。阪神がレギュラーシーズン終了から日本シリーズまで2週間近く公式戦から遠ざかったのに対し、ロッテは明日なき戦いの連続でした。プレーオフにおいて第1ステージは西武に2連勝、第2ステージで福岡ソフトバンクを3勝2敗で破り、勢いに乗って日本シリーズに飛び込んで来ました。

 正確に記せば、ロッテがプレーオフを制したのは10月17日、日本シリーズが始まるわずか5日前のことでした。「そら、こんだけ空いたらそういう試合勘が鈍ることもあるよ」と敗れた岡田彰布監督は、こう愚痴をこぼしたものです。

 現在、セ・リーグの2位・阪神、3位・DeNA、4位・巨人のゲーム差はそれぞれ3.5ずつです。巨人はCS進出の3位以内、DeNAと阪神はCSファーストステージ本拠地開催権のある2位が目標です。

 ファーストステージから勢いに乗って勝ち上がってくるチームを迎え撃つのは、優勝チームにとっては嫌なものです。緊張感を持続するためには、むしろ減らないマジックナンバーを、「辛抱、辛抱」と言い聞かせながら眺めている方がいいのかもしれません。物は考えようです。

K.Ninomiya二宮清純

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二宮清純

国内外で幅広い取材活動を展開し、独自の視点からスポーツジャーナリストとして切れ味のよいコメントを繰り出す。毎週火・金更新。

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