二宮清純コラム プロ野球ガゼット

2018年4月10日(火)更新

16:00

阪神・藤浪、持病の”制球難”に処方箋は?
西本聖元コーチは「軸足の使い方に問題あり」

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 昨季、わずか3勝(5敗)に終わった阪神・藤浪晋太郎投手が今季ももがき苦しんでいます。ここまで2試合に先発しながら勝ち星なし。計9回2/3イニングで8四球、暴投2個、自責点6と散々な内容です。

金本監督の嘆き

 初登板は3月31日、開幕2戦目の巨人戦でした。5回まで5安打、2失点とまずまずの内容でした。ところが4-2と阪神リードで迎えた6回裏、突如として崩れてしまいます。

 先頭の岡本和真選手にレフト前に運ばれると、続く長野久義選手にはフォアボールを与えて無死一、二塁。8番・小林誠司選手は送りバントの構えでしたが、1球もストライクが入らずストレートのフォアボール。無死満塁となったところで阪神ベンチは藤浪投手を諦めました。後を受けたリリーフ陣も踏ん張りきれず、阪神は4-8で逆転負けを喫しました。

 2度目の先発は中5日、4月6日の中日戦でした。初回、先頭の大島洋平選手にフォアボールを与え、二盗を許して無死二塁。いきなりピンチを迎えました。

 ここで2番・京田陽太選手は藤浪投手の前に送りバント。ダッシュして打球を処理したものの、一塁へ悪送球。これで無死一、三塁。さらにソイロ・アルモンテ選手の2球目、マウンドに足をとられ、バランスを崩してしまいます。すっぽ抜けたボールはバックネットへ。藤浪投手の独り相撲で阪神はノーヒットで先取点を献上しました。

 その裏、糸井嘉男選手の逆転2ランが飛び出し、藤浪投手も立ち直ったかに見えました。だが、2-1と1点リードで迎えた5回、またも悪いクセが顔をのぞかせました。

 先頭の高橋周平選手が内野安打で出塁。続く福田永将選手は三振に切ってとったものの、松井雅人選手にヒットを打たれて1死一、三塁。小笠原慎之介投手の送りバントで2死二、三塁。迎えるバッターはトップの大島選手です。

 あろうことか大島選手に対して1球もストライクが入りません。カウント3ボールから投じた力任せの一球はワンバウンドすれすれの完全なボール球。これで二死満塁。続く京田選手にもストライクが入らず、最後はアウトコースにすっぽ抜けました。押し出しでゲームは2-2の振り出しに。このイニング、藤浪投手はランナー3人を残し、82球でマウンドを降りました。結局、阪神は2-3と逆転負け。藤浪投手の独り相撲が敗因でした。

 試合後、金本知憲監督は「突然、崩れるから本当にわからない。1年を見据えたら我慢したいところ。でもチャンスをどこまであげていいのか、微妙なところですね」と、苦しい心中を吐露しました。

「きちんと立て!」

 悩める右腕について、2003年に阪神の投手コーチとしてリーグ優勝に貢献した元巨人の西本聖さんに話を聞きました。藤浪投手の持病とも言える"制球難"の処方箋を聞くためです。

「巨人に入ったばかりのころ、当時の投手コーチ、杉下茂さんに"お前みたいにコントロールの悪いピッチャーは見たことがない!"と言われていました。今でも会うと、昔のことを言われるくらいです(笑)。そんな僕がプロで成功する制球力を身につけられたのだから、ノーコンは治るんですよ」

 西本さんは藤浪投手のフォーム上の欠点をこう指摘します。

「藤浪の場合、一番の問題は軸足(右足)です。彼はスパイクの半分か3分の1くらいをプレートに乗せている。プレートを強く蹴るためなど、そうするのは間違いではない。でも蹴る前に大事なのが"きちんと立つ"ことなんです。ロッテの投手コーチを務めた初年度(10年)、シーズン途中に横浜から吉見祐治がトレードで移籍してきました。左右の違いはありますが、彼も今の藤浪と同じくプレートを踏むタイプだった。吉見にはブルペンで右足を上げたところで"そこでストップ!"と言って、グラグラしないように指導しました。結果、前年3勝の吉見でしたが、ロッテ1年目で6勝をあげましたよ」

 西本さんは、さらに続けます。

「しっかりと立てると"間"をつくれる。間をつくれると投げる方の腕をしっかりとトップに持って来る時間ができるんです。そうするとヒジがスムーズに使えるようになって、頭の近くで手を通すことができる。そうするとリリースポイントが安定して、狙った所にちゃんとコントロールできるようになる。反対にプレートを踏んできちんと立てていないと、体が早く動き出してしまい、間がないようになるから腕をトップに持って来る前に投げることになる。これではリリースポイントは一定しません。その結果、引っ掛けたり、すっぽ抜けたりするんですよ」

 藤浪選手の才能について疑うものはいません。プロ入り1年目に10勝、翌14年は11勝、15年は14勝と右肩上がりで成長してきました。一時は阪神のエースとまで呼ばれた男が、なぜ、並の投手に堕してしまったのでしょう。

 先の西本さんのアドバイスは、あくまでもひとつの意見であって、藤浪投手の再生に適しているかどうかはわかりません。だが立ち直りのヒントが潜んでいるようには思われるのです。

*文中データは4月9日時点

K.Ninomiya二宮清純

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二宮清純

国内外で幅広い取材活動を展開し、独自の視点からスポーツジャーナリストとして切れ味のよいコメントを繰り出す。毎週火・金更新。

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