二宮清純コラム プロ野球ガゼット

2019年1月22日(火)更新

15:00

殿堂入りの80歳・権藤博が解説する
「できるコーチ」と「できないコーチ」

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 当コラムにも何度かご登場いただいた野球評論家の権藤博さんが野球殿堂入りを果たしました。昨年12月で80歳になった権藤さんは15日に行われた殿堂入り通知式に元気な姿を見せ、こう語りました。

「そのうち入るだろうと思っていたが、歴代のメンバーを見ると、すごいところに入った。一世一代の晴れ姿と思っています」

選考11度目の栄誉

 既報の通り、今年の野球殿堂は権藤さん(競技者表彰エキスパート部門)の他、同プレーヤー部門で立浪和義さん(元中日)、特別表彰で脇村春夫さん(元日本高校野球連盟会長)の3人が選ばれました。日本の野球殿堂は1959年、アメリカの「ナショナル・ベースボール・ホール・オブ・フェイム」をモデルにして始まりました。今年までに204人が殿堂入りしています。野球殿堂の選考対象者と選考法は以下の通りです(野球殿堂博物館公式WEBサイトより抜粋)。

◎競技者表彰プレーヤー表彰
対象者:現役を引退したプロ野球選手で、引退後5年以上経過した人。その後15年間が選考対象となる。
選出方法:野球報道に関して15年以上の経験を持つ委員が投票。75%以上得票した人が殿堂入りとなる。

◎競技者表彰エキスパート表彰
対象者:現役を引退したプロ野球のコーチ、監督で、引退後6カ月以上経過している人。または現役を引退したプロ野球選手で、引退後21年以上経過した人。
選出方法:殿堂入りした人、競技者表彰委員会の幹事と野球報道年数30年以上の経験を持つ委員が投票。75%以上得票した人が殿堂入りとなる。

◎特別表彰
対象者:現役を引退したアマチュア野球の競技者(選手、コーチ、監督)で、選手は引退後5年、コーチ、監督は引退後6カ月以上経過している人。プロ及びアマチュア野球の審判員で、引退後6カ月以上経過している人。プロ及びアマチュア野球の組織または管理に関して野球の発展に顕著な貢献をした人、しつつある人。日本の野球の普及及び発展に顕著な貢献をした人、しつつある人。
選出方法:プロ野球の役員及び元役員、アマチュア野球の役員、野球関係学識経験者が投票。75%以上得票した人が殿堂入りとなる。

 権藤さんは殿堂候補者リストに名を連ねてから今年の選考が11度目でした。ここ5年間の得票数は2014年が44票、15年が57票、16年が63票、17年が59票、18年が80票。そして今年は102票を取得し、76.7%の得票率で基準をクリア。先の「そのうち入るだろうと思っていた」とはユーモアあふれる権藤さんらしいコメントです。

コーチは2タイプ

 さて、ここで権藤さんの経歴を簡単に振り返っておきましょう。61年に社会人野球のブリヂストンから中日に入団。1年目から35勝をあげ、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振とタイトルを総なめにし、新人王と沢村賞にも輝きました。2年目も30勝をマークし、連続して最多勝に輝きました。その"奮投"ぶりは「権藤、権藤、雨、権藤」と、当時の流行語にもなった程です。

 こうした酷使により、権藤さんの投手生活は実働5年で終わりを告げました。だが、現役時代の苦労は指導者になってから生きました。中日を皮切りに近鉄、福岡ダイエー(現ソフトバンク)、横浜(現DeNA)で投手コーチを務め、98年には横浜の監督としてチームを38年ぶりのリーグ優勝、日本一に導きました。2012年には再び古巣の中日で投手コーチを務め、17年には侍ジャパンの投手コーチとしてWBCベスト4進出に貢献しました。

 指導経験豊富な権藤さんに、「できるコーチ」と「できないコーチ」の見極め方について聞いたことがあります。

 権藤さんの答えはこうでした。

「よくあるのは、こうしたらいいんじゃないかっていう自分の意見があるはずなのに、監督のところに行くと『どうしましょう?』と言うコーチ。『こうしましょう』と言えばいいのに、それは言わずに『どうしましょう?』って」

----なるほど、それは面白い。「どうしましょう」と「こうしましょう」では一文字違いで大違いだと。監督はコーチからの「こうしましょう」を待っているわけですね。

「まあ、いきなり『監督! こうしましょう!』とズバッと言われると、反発するかもわからないけど、『どうしましょうかねえ……こうしましょう』って言われるのが一番効くんですよ。『どうしますかねえ』で一呼吸おいて、『こうしましょう』と言われたら、『おお、それで行こう』となるんですね」

 プロ野球に限らず、一般社会においても中間管理職は「どうしましょう派」と「こうしましょう派」に二分することができます。さて、あなたの属している会社、組織はどうでしょう?

K.Ninomiya二宮清純

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二宮清純

国内外で幅広い取材活動を展開し、独自の視点からスポーツジャーナリストとして切れ味のよいコメントを繰り出す。毎週火・金更新。

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