二宮清純コラム プロ野球ガゼット

2019年8月30日(金)更新

15:00

日本ハム対西武、釧路で日没コールド
権藤博解説「地方ゲームが荒れる理由」

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「日没コールド」とは、何とも牧歌的な響きです。北海道の地方球場ならではの珍事と言ってもいいでしょう。

 さる8月28日、釧路市民球場で行われた北海道日本ハム対西武戦は予期せぬ結末となりました。8回途中、日没によりコールドゲームとなったのです。10対8。勝ったのはビジター、すなわち先攻の西武でした。

「打球が見えない」

 まずは3時間20分の熱戦を振り返りましょう。プレーボールは13時01分。既にこのとき、球場には小雨がパラついていました。

 西武は初回に中村剛也選手の2ランホームラン、2回には山川穂高選手のタイムリーツーベースで3対0と序盤からリードしました。だが、日本ハムもすぐさま反撃します。西川遥輝選手、大田泰示選手の連続タイムリーが飛び出し、ゲームは振り出しに。その後、西武は中村選手の2打数連続となる3ランホームランや栗山巧選手のタイムリーツーベースで再びリードを奪いました。日本ハムも王柏融選手のピッチャー強襲タイムリーや西川選手のソロホームランなどで追いすがりました。7回までに両軍計24本の長短打が乱れ飛ぶ乱打戦は、9対8と西武が1点のリードで終盤8回を迎えました。この時点で時計の針は午後4時を回り、球場は明らかに薄暗くなっていました。

 迎えた8回、西武の攻撃です。先頭の森友哉選手が、日本ハムの6番手・石川直也投手の初球を高々と打ち上げました。センター方向への大飛球を、中堅・西川選手は見失なっていました。フェンスの手前でキョロキョロと上空を見上げる西川選手をあざ笑うように打球はスタンドへ。森選手のホームイン後、審判がマウンド付近に集まり、協議が始まりました。コールドゲームが宣せられたのは、その直後でした。

 責任審判・森健次郎球審の説明は以下のとおりです。

「決め手になったのは選手の動きを含めた全体像です。だいぶ暗くなっていて、ここが限界と判斷しました。こういう状況は初めてのことで、コールドを決断するのは難しかったです」

 この日、釧路の日没時間は18時05分でした。あいにくの空模様により、予定より早く暗くなってしまったようです。森選手のホームランを見送った西川選手は、空模様同様、暗い表情でこう振り返りました。

「(森選手の打球は)打ったときにはまったく見えず、近づいてきてようやく見えたくらい。どんどん暗くなっていくのがわかって、自分の打席でも球が見えず、真っ黒い球を打っている感じでした」

大量点のリスク

 さて、日没によるコールドゲームは99年以来、20年ぶりのことです。近年の日没コールドゲームを調べていて面白いことに気が付きました。90年代以降、日没コールドゲームは今回も含めて4試合あります。スコアと開催球場、そして試合時間は以下のとおりです。

◎日没コールドゲーム
97年6月21日 オリックス 5-5 西武(延長10回)/札幌円山/3時間52分
98年7月12日 横浜 9-9 中日(延長12回)/帯広/4時間50分
99年6月20日 オリックス 7-7 近鉄(延長10回)/札幌円山/4時間23分
19年8月28日 日本ハム 8-10 西武(8回表途中)/釧路/3時間20分

 4試合とも舞台は北海道の地方球場です。本州に比べると日の入りは早くなります。スコア的には点を取ったり取られたりの、いわゆる“荒れたゲーム”が多いのが特徴です。

 北海道ゆえ、日没が早いのはわかるにしても、乱打戦が多いのは、なぜでしょう。98年の帯広のゲームで、自身も日没コールドを経験している元横浜監督の権藤博さんに話を聞きました。

「地方球場は本拠地に比べると狭いところが多い。そのためホームランが出やすいんです。しかもグラウンドの状態があまりよくないときているからエラーがよく出る。試合がもつれ、大量点につながるリスクが揃っているんです」

 98年の帯広のゲームでは、最終回に横浜が一挙6点を入れ、9対9の同点に。延長戦にもつれ込み、そのまま引き分けました。横浜にとっては「勝ちに等しい引き分け」だったわけです。

 続けて、こんな裏話も。

「9回裏、僕はずっと中日監督の星野仙一の動きを見ていた。最初はものすごく怒っていた。同点に追いつかれたあたりでは、呆れたのか笑っていたな。その後、ベンチからいなくなってしまった。きっとベンチ裏で暴れていたんでしょう(笑)」

 このシーズン、横浜は38年ぶりのリーグ優勝と日本一を達成したのでした。

K.Ninomiya二宮清純

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二宮清純

国内外で幅広い取材活動を展開し、独自の視点からスポーツジャーナリストとして切れ味のよいコメントを繰り出す。毎週火・金更新。

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