二宮清純コラム プロ野球ガゼット

2017年11月28日(火)更新

17:00

プロ野球選手にとって背番号は「分身」
清宮幸太郎は「21」を伝説にできるか

Photo

 北海道日本ハムの大物ルーキー・清宮幸太郎選手の背番号が「21」に決まりました。

 26日には札幌ドームに集まった約4万人のファンの前でユニフォーム姿を披露しました。プロでの目標を聞かれた清宮選手は「年間60本!」と力強く答えています。この数字は言うまでもなく2013年にウラディミール・バレンティン選手がマークした日本最多記録です。

モデルはR.クレメンテ

 ある意味、抱負以上に注目を集めたのが「21」という背番号です。日本ハムにおいてこの番号は前身の東映時代から多くの好投手が背負っていたものです。古くは土橋正幸さん、高橋直樹さん、西崎幸広さん、そして今季限りで退団した武田久さん……。投手の背中にあってこそ似合いそうな番号を清宮選手がつけることになった理由はどこにあったのでしょう?

「本人と話をしていくうちに過去の高卒選手とは違うクレバーさを感じました。そんな清宮君には新しいプロ野球選手のイメージを社会に向けて発信できる選手になってほしいと思ったんです。モデルとしてイメージしたのはメジャーリーグのクレメンテ選手です」(日本ハム・大渕隆スカウト部長)

 プエルトリコ出身のロベルト・クレメンテさんといえば、1950年代から70年代にかけてメジャーリーグで活躍した名選手です。通算3000安打を記録しています。加えてグラウンド外で積極的に慈善活動を行ったことでも知られています。72年、クレメンテさんはニカラグアへ救援物資を届ける途中、飛行機事故で亡くなりました。死後、彼の功績を称えてパイレーツは「21」を永久欠番にしました。メジャーリーグにおいて、今もその名は慈善活動に熱心な選手に贈られる「ロベルト・クレメンテ賞」に刻まれています。

 当の清宮選手はこの番号をどう思っているのでしょう。

「21はトランプのブラックジャックなら一番強い番号。それに2と1を足すと(高校時代の)3にもなるので、自分に合っていると思います。ポスト誰々というイメージがある番号は嫌だったので、21は自分だけのものという感じがして気に入りました」

イチロー、落合のこだわり

 プロ野球選手にとって背番号は分身のようなものです。例えば元マーリンズのイチロー選手。オリックス入団時からの「51」を彼は今も大事にしています。例外はヤンキースに在籍した12年~14年の2年半。このときは「31」でした。というのもヤンキースの背番号51はピンストライプ一筋の名外野手バーニー・ウィリアムズさんのものだったからです。マリナーズの12年間で2533本のヒットを積み重ねていたイチロー選手といえども、さすがに「51を自分に」とは言えません。こう発言せざるを得ませんでした。

「51は僕にとって特別な番号ですけど、往年の名選手ウイリアムスがつけていたから、つけることはできない。新しい番号を自分の番号にしたい」

 同じような例は日本でもありました。ロッテ、中日でプレーした落合博満さんは背番号6に強いこだわりを持っていました。93年オフ、その年から導入されたFA制度を行使して巨人に移籍しました。当時、巨人の「6」は生え抜きで首位打者を2度獲得している篠塚和典さんの分身でした。3度の三冠王に輝いている落合さんといえども、欲しいと言ってどうなるものではありません。94年、落合さんは「60」を背負ってプレーし、篠塚さんの引退後、やっと「6」にたどり着きました。

 最後に清宮選手に話を戻しましょう。入団会見の席で「このユニホームを着るために生まれてきたんだと思いました」と言って相好を崩した栗山英樹監督は大物ルーキーの背番号について、こんな感想を口にしました。

「これが清宮の背番号なんだと、50年後も語り継がれるような番号がいいと思っていました。21に新しい形やイメージをつけていくことは、すごく意味があることだと思っています」

 これまで、日本のプロ野球において10番台、20番台は「投手の番号」というイメージがありましたが、清宮選手の出現がそれを変えていくかもしれません。

K.Ninomiya二宮清純

二宮清純コラム プロ野球ガゼット

二宮清純

国内外で幅広い取材活動を展開し、独自の視点からスポーツジャーナリストとして切れ味のよいコメントを繰り出す。毎週火・金更新。

BACK NUMBER

2019年12月13日(金)更新
生誕100年迎えるV9川上哲治の肉声
生前に語った巨人軍率いる覚悟と条件
2019年12月10日(火)更新
来季導入目指す「現役対象ドラフト」
球団と選手「ウィンウィン」構築を!
2019年12月6日(金)更新
掛布雅之、親会社の新ポスト就任へ
「タイガース愛は永久に不滅です!」
2019年12月3日(火)更新
なぜ鷹の育成選手は成功するのか!?
松田宣浩解説“特A”と“オールA”の違い
2019年11月29日(金)更新
「DH制導入」でセ・リーグは弱くなる!?
使いこなせなければ“無用の長物”の懸念
2019年11月26日(火)更新
サブマリン牧田和久は浮上できるか?
日本での復活の鍵は「高めの使い方」
2019年11月22日(金)更新
王貞治、正力賞の受賞対象者拡大に言及
「チームや組織にまで広げてはどうか」
2019年11月19日(火)更新
稲葉ジャパン、プレミア12制し“世界一”
「監督経験なし」不安解消した攻撃的継投
2019年11月15日(金)更新
侍ジャパンに“カミカゼウキョー”出現
世界が仰天!“足の切り札”周東佑京
2019年11月12日(火)更新
原巨人、日本一奪還へ“元木鬼軍曹”始動
「声を出せ!」ワンチームに向け原点回帰
2019年11月8日(金)更新
阪神・矢野監督、藤浪再生に山本昌投入
「勝てぬなら勝たせてみようシンタロウ」
2019年11月5日(火)更新
Gグラブ賞、内外野での受賞は過去3人
コンバートを乗り越えた高田繁の誇り
2019年11月1日(金)更新
巨人・原監督「セにもDH制」の是非
パのリーダー、ホークスの強化戦略
2019年10月29日(火)更新
沢村賞、19年ぶりの「該当者なし」
求められる「分業制時代の新基準」
2019年10月25日(金)更新
ソフトバンク4連勝で3年連続日本一
分水嶺制した内川聖一「珠玉の打撃」
2019年10月22日(火)更新
怪物・佐々木朗希、“千葉の星”へ
名参謀・森繁和「末恐ろしい素材」
2019年10月18日(金)更新
楽天、新監督に2軍Vの三木肇昇格
石井GMが目指す「隙のないチーム」
2019年10月15日(火)更新
78年、巨人ドラフトボイコットの余波
江川事件で消えた落合博満の巨人入り
2019年10月11日(金)更新
和製大砲・筒香嘉智、MLB成功の条件
「逆方向に打て!」松井秀喜のお墨付き
2019年10月8日(火)更新
球界の巨星墜つ。金田正一の400勝神話
王貞治に対し「自分への投資を惜しむな」
2019年10月4日(金)更新
広島、次期監督は野村か佐々岡か!?
来季ミッションは「育てながら勝つ」
2019年10月1日(火)更新
ヤクルト館山昌平の“不死鳥伝説”
壮絶なる“175針の縫い跡”の教え
2019年9月27日(金)更新
巨人軍、総力戦で5年ぶりリーグ優勝
原辰徳監督曰く「個人軍では勝てない」
2019年9月24日(火)更新
「日本一」3連覇のカギ握るSB千賀滉大
「ルーズショルダー」は武器か欠陥か?
2019年9月20日(金)更新
最低防御率でリーグ連覇目前の辻西武
「理想よりも勝てる野球」のリアリスト
2019年9月17日(火)更新
ヤクルト新監督に高津臣吾浮上
投手陣再建はブルペン再編から
2019年9月13日(金)更新
“血マメ”佐々木朗希へのアドバイス
経験者・大野豊が語る「対策と処方」
2019年9月10日(火)更新
「戦力外」鳥谷敬の「いつか見た光景」
阪神、問われる功労者へのリスペクト
2019年9月6日(金)更新
広島エルドレッド、駐米スカウトに
敏腕・シュールストロムを目指せ!
2019年9月3日(火)更新
辻西武vs工藤ソフト、頂上対決の源流
「人を残すは上なり」広岡達朗の遺産
2019年8月30日(金)更新
日本ハム対西武、釧路で日没コールド
権藤博解説「地方ゲームが荒れる理由」
2019年8月27日(火)更新
今永昇太「我以外みな我が師」の投手道
川口和久が説いた「サウスポーの生命線」
2019年8月23日(金)更新
西武・森友哉の「仕留める」打撃術
史上4人目「捕手首位打者」なるか
2019年8月20日(火)更新
広島バティスタ、ドーピングで陽性反応
五輪に向け懸念される球界の「甘い認識」
2019年8月16日(金)更新
夏休み「3人退場」大荒れの獅子vs猛牛
過去には「審判集団暴行」の横浜事件も
2019年8月13日(火)更新
育成初! 野手から投手転向で初勝利
オリックス張奕の身体能力とセンス
2019年8月9日(金)更新
阪神、“死のロード”は死語のはずでは?
この5季で4度勝ち越しの原因と背景
2019年8月6日(火)更新
広島、「アップダウン」のその先は?
巨人、DeNAと三すくみで「混セの夏」
2019年8月2日(金)更新
最長身左腕、楽天・弓削隼人躍動せり
「うどの大木」から「大きな武器」へ
2019年7月30日(火)更新
佐々木朗希登板回避で球界に賛否
国保陽平監督が投じた一石の波紋
2019年7月26日(金)更新
広島・緒方孝市監督、ビンタで厳重注意
”愛のムチ”は過去。他球団は「他山の石」
2019年7月23日(火)更新
巨人・原辰徳監督、通算1000勝に王手
自らに誓う「聖域超え」のミッション
2019年7月19日(金)更新
DeNAヤスアキ、史上最年少150S達成
「適材適所」見抜いた中畑清の好判断
2019年7月16日(火)更新
ノムさん、「しっかりせい!」と愛のムチ
燕に「足を向けて寝られない」義理と事情
2019年7月12日(金)更新
プロコーチ吉井理人、絶妙の「立ち位置」
「距離」で判る指揮官との信頼感、緊張感
2019年7月9日(火)更新
ヤクルト石川雅規、200勝への道程
名球会入りすれば、史上「最低身長」
2019年7月5日(金)更新
迫る移籍期限、駆け込みトレード続出
「放出選手」に向けられる冷たい視線
2019年7月2日(火)更新
吉川光夫、3年ぶり「古巣」への思い
日ハム・栗山監督に「恩返し」なるか
2019年6月28日(金)更新
投手の故障予防に球数の「総量規制」
会議で聞きたい現役球児の“ナマの声”
2019年6月25日(火)更新
悪送球、ファンブル、トンネル……
広島ドラ1・小園海斗にプロの試練
2019年6月21日(金)更新
日ハム上沢直之、左ヒザ直撃で今季絶望
0.3~0.4秒で打球到達の恐怖とトラウマ
2019年6月18日(火)更新
レジェンド・杉下茂ら学生野球資格回復
今の学生に語り継いでほしい「戦争体験」
2019年6月14日(金)更新
吉田輝星、「スターの貫禄」で初勝利
初先発で見せた「新人っぽくない」84球
2019年6月11日(火)更新
広島、日本一獲りに向けクローザー交代
ハラハラ、ドキドキ「中﨑劇場」終幕か
2019年6月7日(金)更新
「ホームランはヒットの延長」は本当か?
NPBホームラン記録に挑む山川穂高の野望
2019年6月4日(火)更新
「令和の怪物」佐々木朗希、13奪三振
スピード違反!? 江川卓の牽制球伝説
2019年5月31日(金)更新
14連敗ヤクルト、トンネルの先に光は!?
OBが分析する連敗のメカニズムと脱出法
2019年5月28日(火)更新
早くも35℃超え! 今夏も猛暑の甲子園
熱中症予防「白スパイク」の早期導入を
2019年5月24日(金)更新
「雑草魂」上原浩治、44歳で現役に幕
浪人時代に養った反骨精神と背番号19
2019年5月21日(火)更新
名ファースト生むDeNAの「遺伝子」
ロペス、連続守備機会無失策の貢献
2019年5月17日(金)更新
元スカウトが断言「佐々木は大谷以上」
「令和の怪物」は甲子園に登場するか!?
2019年5月14日(火)更新
「母の日」に先発初勝利の広島・アドゥワ誠
ゴロアウト14が示す「打たせて取る」投球術
2019年5月10日(金)更新
チームの要“鯉女房”會澤翼がFA権取得
気になる「打てて守れる」捕手の動向
2019年5月7日(火)更新
「完投なし」で首位を争う東北楽天
平石監督のブルペン「働き方改革」
2019年4月26日(金)更新
「奇跡のバックホーム」の舞台裏
松山商-熊本工、名勝負の分岐点
2019年4月23日(火)更新
リリーバーも「沢村賞」の選考対象に!
沢村賞2回、斉藤和巳の脱先発選民思想
2019年4月19日(金)更新
イチロー、若き日の驚異の動体視力
テッド・ウィリアムズの“松ヤニ伝説”
2019年4月16日(火)更新
163キロ「令和の怪物」佐々木朗希
侍ジャパンTD鹿取義隆が占う将来性
2019年4月12日(金)更新
阪神・梅野、骨折後のサイクル安打
“自損事故”防ぐには「ベースは左足」
2019年4月9日(火)更新
巨人の開幕ダッシュに貢献・吉川尚輝
「うちには吉川がいる」と原辰徳監督
2019年4月5日(金)更新
雪に見舞われた楽天のホーム開幕戦
カブスのしたたかな寒冷地ビジネス
閉じる
J:COM未加入の方 プロ野球見るならJ:COMで
未加入の方

J:COMへのお申し込み

特典・キャンペーン

特典・キャンペーン

Copyright (c) Jupiter Telecommunications Co., Ltd. All Rights Reserved.

J:COM

Copyright c Jupiter Telecommunications Co., Ltd. All Rights Reserved.
ケーブルインターネットZAQのキャラクター「ざっくぅ」