二宮清純
二宮清純コラム ノーサイドラウンジCOLUMN
2019年7月11日(木)更新

ジャパン、新戦闘服で初陣へ
機能性と視覚効果にこだわり

 日本ラグビーフットボール協会は7月4日、ラグビーW杯で使用するジャパンの新ジャージーを発表しました。カンタベリーニュージーランドジャパン(CNJ)社製の“戦闘服”でジャパン史上初の決勝トーナメント進出を目指します。

3タイプの形状

 4日の新ジャージー発表会見では、選手たちから好評価の声が相次ぎました。

 そのいくつかを紹介しましょう。

「僕が一番気に入っているのは脇のところが伸びるのと、肩が滑らないこと」(キャプテンでフランカーのリーチ・マイケル選手)

「僕はフロントローなのでスクラムの際には味方のジャージーを掴まなければいけません。タイトな感じですけど、いい感じにルーズ。僕的にはうれしいです」(フッカーの堀江翔太選手)

「ウイングは攻撃の場面でこちらのジャージーに相手の指がかかるか、かからないかが大きな分かれ目となる。このかかりにくさはいい方向に働くと思います」(ウイングの福岡堅樹選手)

 今回の新ジャージーはフロントロー(プロップ、フッカー)用、セカンドロー(ロック)とバックロー(フランカー、ナンバーエイト)用、バックス(スクラムハーフ、スタンドオフ、ウイング、センター、フルバック)用とポジション別に3タイプに分かれています。前回の 2015年イングランド大会では、フロントローとそれ以外の2タイプでした。

 その理由を、総責任者として新ジャージー開発に携わったCNJ事業部長兼企画グループマネージャー・石塚正行さんは、こう語ります。

「バックスの選手はより軽快に動けるように軽量化を求めてきます。一方でフォワードの選手はコンタクトが多いので体を保護するホールド感と耐久性を重要視している。バックスとフォワードは明らかに求めているものが違うと再認識しました。フロントローは胸囲が発達している特殊な体型をしている選手が多い。そのため前回はフロントローとそれ以外でシルエットを分けて製作しましたが、今回は前回を超えるために素材の開発から見つめ直しました」

背面は富士山

 前回のジャージーは、フロントローとそれ以外で形状が異なるものの、素材は同じでした。今回は糸から選び直し、2年かけて新素材を開発したといいます。またフォワード用とバックス用では編み方が異なります。より具体的に述べれば、フォワード用は経編(たてあみ)で、凹凸をつけ厚みを持たせました。しかも軽量です。一方、バックス用は丸編(まるあみ)ですが、前回より伸縮性に優れ、こちらも、さらなる軽量化が図られました。

 CNJによれば、基本性能は前回に比べ、耐久性・軽量性・運動性・快適性のすべてにおいて向上したといいます。とりわけ選手に好評なのが、動いた時にジャージーの生地が歪む割合を数値化した伸長率。低ければ低いほど動作時の抵抗が少なくなります。パス動作で比較すると前回が約28%に対し、今回は約18%でした。

 新ジャージーの売り物は機能性だけではありません。デザインは「錯視効果」を狙った仕上がりになっています。その一例としてジャージーの前の部分は白地に赤いV字状のラインが描かれています。後ろはその逆です。

 このV字と逆V字がミソです。相手を威嚇する効果があるというのです。

「デザインとしても選手にアドバンテージを与える。これは 2015年モデルから続けています。同じような効果を持たせつつ、今回は日本人のスピリットを採り入れました。前面のV字は兜を、背面は富士山をモチーフにしています」(石塚事業部長)

 視覚効果と言えば、2014年ブラジルW杯でのサッカー日本代表のユニホームが思いだされます。たとえば円陣を組んだ際、一人一人の背中の赤いラインが、グルッとつながって見えたのです。上から見るとその様子がはっきりと確認され、スタンドのサポーターとの一体感を醸成するのに一役買いました。残念ながらブラジルW杯は1次リーグ敗退に終わったものの、ファンやサポーターには好評のユニホームでした。

 ラグビーに話を戻しましょう。新ジャージーには、戦国時代の鎧のような重厚感があります。キャプテンのリーチ選手は「日本の文化とデザインが入っている。チームのカルチャーにつなげていきたい」と抱負を述べました。新しい鎧を身にまとっての初陣は7月27日、パシフィックネーションズカップでのフィジー戦です。実際のプレーにどんなアドバンテージをもたらせるのか、目を皿のようにして確認したいものです。

K.Ninomiya二宮清純
                                                 
2019年7月11日(木)更新
ジャパン、新戦闘服で初陣へ
機能性と視覚効果にこだわり
2019年7月4日(木)更新
ラグビー協会、若返り人事発表
「助さん、格さん」で攻めの改革
2019年6月27日(木)更新
サンウルブズの誤算と収穫
ジャパンとの連携に課題も
2019年6月20日(木)更新
W杯ロシアは縁起のいい相手
暑さを味方に「走らせろ!」
2019年6月13日(木)更新
W杯本番まで100日
宮崎合宿スタート!
2019年6月6日(木)更新
“地獄の宮崎”で
「ワンチーム」に!
2019年5月30日(木)更新
新世界大会実現に向け
試される日本の交渉力
2019年5月23日(木)更新
「鉄と魚とラグビーのまち」
釜石に大漁旗がはためく日
2019年5月16日(木)更新
「足で稼ぐ」松田力也
「田村優に対抗できる」
2019年5月9日(木)更新
三洋電機、TL初優勝秘話
「無口な男」の最後の熱弁
2019年4月26日(金)更新
<ジャパン激闘史④>
ライバルこそ成長の糧
海外挑戦のパイオニア
2019年4月25日(木)更新
対立をエネルギーに!
舞台裏のトークバトル
2019年4月18日(木)更新
W杯の借りはW杯で返す
運命のスコットランド戦
2019年4月12日(金)更新
<ジャパン激闘史③>
オーストラリアで咲いた
ブレイブ・ブロッサムズ
2019年4月11日(木)更新
トライゲッター山田章仁
新天地でV!33歳の挑戦
2019年4月4日(木)更新
世界に通用するスクラム
長谷川コーチの“職人魂”
2019年3月29日(金)更新
<ジャパン激闘史②>
W杯初勝利を呼んだ
宿澤監督の「偵察力」
2019年3月28日(木)更新
アイルランドの弱点
「セクストンを潰せ」
2019年3月22日(金)更新
<ジャパン激闘史①>
「ブライトンの奇跡」秘話
正座が生んだ最適スクラム
2019年3月21日(木)更新
ジェイミー・ジャパンに
グレイシー柔術式トレ
2019年3月14日(木)更新
NZがやってくる!
大分の“おもてなし”
2019年3月7日(木)更新
ラガーマンの誇り
タックルを語ろう
2019年2月28日(木)更新
存在感示した中村亮土
「夢の舞台」への条件
2019年2月21日(木)更新
ジャパン支えるブラウニーの
「異次元頭脳」とタフガイ伝説
2019年2月14日(木)更新
ジャパン復帰への布石か!?
トモさん、サンウルブズ入り
2019年2月7日(木)更新
“再建人”清宮克幸
新たなるミッション
2019年1月31日(木)更新
脱エリートの心意気
代表復帰狙う藤田慶和
2019年1月24日(木)更新
トップリーグ総括
カップ戦導入の意義
2019年1月17日(木)更新
明大日本一とW杯大金星
共通する“裏方”の存在
2019年1月10日(木)更新
誰もが認めるリーダー
主将リーチ・マイケル
2018年12月27日(木)更新
日野「街の誇り」をかけた戦い
地域密着でトップリーグに新風
2018年12月20日(木)更新
ジャパンへの登竜門・TL新人賞
トライゲッター岡田優輝の「嗅覚」
2018年12月13日(木)更新
成長を求めた神戸製鋼移籍
代表「激戦区」に挑む日和佐
2018年12月6日(木)更新
ジャパンの命運握るSO田村優
引き出しの多さで世界に挑む!
2018年11月29日(木)更新
ジャパンの2018年を振り返る
レフェリー分析が目標達成のカギ
2018年11月22日(木)更新
イングランド戦、後半失速の理由
指揮官に求められる「カード捌き」
2018年11月15日(木)更新
帝京大、対抗戦V8に王手
カギ握る竹山晃暉のキック
2018年11月8日(木)更新
現代ラグビーのキーワード
「オフロードパス」の極意
2018年11月1日(木)更新
11.3最強軍団オールブラックス戦
ジャパンよ、躍進のヒントを掴め!
2018年10月25日(木)更新
“生ける伝説”ダン・カーター
「平成最後の冬」を堪能しよう
2018年10月18日(木)更新
“スパルタ”から“自立を求める”指導へ
W杯ベスト8に挑むジェイミー・ジャパン
PageTop

J:COMへのお申し込み

特典・キャンペーン

特典・キャンペーン

個別サービスのお申し込み

資料請求

加入申込

サービス追加・変更

料金シミュレーション

問い合わせ