実戦4試合目での初勝利です。さる7月29日、花園でジャパンはトンガを21対16で下し、8月5日のフィジー戦に向け、弾みをつけました。
何より重視されるべきは内容です。とはいっても、負けてばかりでは士気は上がりません。試合後の姫野和樹選手の「素直に勝利がうれしい」との言葉は、全選手の気持ちを代弁したもののように聞こえました。
この日は攻守でいいプレーが目立ちました。まずはアタックです。前半20分、流れるようなパスワークからウイングのジョネ・ナイカブラ選手が大外を駆け抜け、ボールをインゴール左隅に置きました。前半終了間際には、ナイカブラ選手がディフェンスラインの裏に蹴り出したボールを、チェイスしたロックのアマト・ファカタヴァ選手がキャッチ。そのままインゴール左に滑り込みました。ファカタヴァ選手はこれでテストマッチデビューとなった22日のサモア戦から2試合続けてのトライです。
次にディフェンスです。21対16と1トライ差に迫られた39分です。ウイングのセミシ・マシレワ選手がインターセプトされると、敵のカウンターを受け、自陣22mラインまで独走を許します。次の瞬間、フルバック松島幸太朗選手が相手の足元にタックルを決め、トライを防ぎました。その後もピンチは続きましたが、最後はフッカー堀江翔太選手がジャッカルに成功。5点差で辛くも逃げ切りました。
この試合で最も目立ったのが代表2キャップ目のファカタヴァ選手でした。
トンガ出身の28歳。身長195センチ、体重118キロの偉丈夫。速さと強さを兼ね備えたFWです。来日したのは20歳の時、現在リコーブラックラムズ東京でチームメイトの双子の兄(ファカタヴァ・タラウ侍選手)とともに大東文化大学に進学。卒業後はブラックラムズに入団しました。22-23シーズンのリーグワンではフランカー、ナンバーエイトとしてリーグ戦全16試合に先発出場。途中交代した1試合をのぞく15試合でフル出場を果たしました。この数字を見てもわかるように、非常にタフな選手です。
こうしたリーグワンでの活躍が評価され、今年6月の浦安合宿メンバーに選ばれました。その際、クラブが開いたオンライン会見でファカタヴァ選手は、こう語りました。
「日本代表になることは来日当初から抱いていた夢。トンガには『Go big or go home』(大きなものを目指さないのなら家に帰りなさい)という言い伝えがありますが、僕はまだ家に帰るつもりはありません」
その言葉通り、ジャパンにおけるファカタヴァ選手の存在感は日増しに大きくなっているように感じます。ロックでのプレーも手慣れたものです。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)の評価も上々です。トンガ戦前には「アマトは新しいポジションながら素晴らしいパフォーマンスを出してくれている。前回の試合(サモア戦)でもボールキャリー、ワークレート、キック後のチェイスなどで頑張っている。試合に出続けていても疲れを見せない。自信を持って彼を使っていきたい」と褒めちぎっていました。
先にトライを防いだ松島選手の好タックルについて述べましたが、ファカタヴァ選手の貢献も見逃せません。松島選手のフォローに回り、センター長田智希選手の援護も受けて、相手の次のプレーを遅らせました。終了間際の堀江選手のジャッカルは、直前にファカタヴァ選手がトンガ選手を引き倒したことにより生まれました。
この試合の活躍により、彼の代表入りはほぼ決まったと言っていいでしょう。ぜひ、フランスで「Go big」を達成してもらいたいものです。
データが取得できませんでした
以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。