51日間に及ぶW杯フランス大会が開幕しました。D組のジャパンはチリに快勝し、幸先の良いスタートを切りました。次の相手はD組きっての強敵イングランド。決勝トーナメント進出を占う大一番となりそうです。
初戦は、たとえ格下の相手でも緊張するものです。史上初のベスト8進出を果たした前回大会でも、ロシア戦の前半はボールが手につきませんでした。
9月10日(現地時間)、フランス南西部のまちトゥールーズ。先制したのはチリでした。フルバックのイニャキ・アジャルサ選手の突破からチャンスを掴み、スタンドオフのロドリゴ・フェルナンデス選手がトライを奪いました。コンバージョンも決まり0対7。
その2分後の8分です。スクラムハーフ流大選手のパスを受けて抜け出したロックのアマト・ファカタヴァ選手がインゴール右中間に飛び込みました。
スピードと突破力。走り出すと止められないのがファカタヴァ選手です。コンバージョンも決まり7対7。早めに追いついたことで、平常心を取り戻すことができたはずです。
この試合、ジャパンは敵陣で相手が反則してもPGを選択せず、スタンドオフ松田力也選手がタッチラインの外に蹴り出し、ラインアウトからのトライを狙いました。
勝敗に関係なく4トライ以上でボーナスポイントが加算されます。周知のように南アフリカを撃破した2019年W杯イングランド大会、ジャパンは3勝をあげながら、決勝トーナメントに進出することができませんでした。2位通過を果たしたスコットランドに、勝ち点で、わずか1ポイント及ばなかったからです。
1次リーグも終盤になってくれば、1ポイントが重みを増していきます。D組を見渡したところ、確実に勝ち点が計算できるのはチリくらいのものです。
その意味で6トライをあげての完勝(42対12)は、ディフェンスのほころびなど課題は残ったにせよ、上々のスタートでした。
試合後、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は「プレッシャーの中、いいパフォーマンスを見せてくれた。試合の中で、いろいろな状況に対応して戦うこと。それが自信を失わないためにも大事だと思う。これからの戦いに向けて良かったと」と語っていました。
気になるのはジャパンが17日にフランス南東部のニースで対戦するイングランドの戦いぶりです。世界ランキングは8位(9月4日時点=以下同)。直前の強化試合ではホームでフィジーに22対30で敗れるなど精彩を欠いていました。
初戦の相手アルゼンチンは、イングランドより上位の世界ランキング6位。ジャパンとはD組の最終戦(10月8日)で対戦します。ジャパンが決勝トーナメント進出を果たすためには、少なくとも、どちらからに勝たなければいけません。
試合を振り返りましょう。前半3分、イングランドのフランカー、トム・カリー選手が危険なプレーと判断され、退場となりました。
いったんはイエローカード(10分間の一時退場)を突きつけられたカリー選手ですが、今大会から採用された専任の審判員による映像判定「バンカーシステム」により、レッドカードに変更されました。ハイボールをキャッチした相手へのタックルが顔面に当たり、危険と見なされたのです。
さらに12日には、ワールドラグビーから3試合の出場停止処分(コーチング介入プログラムを修了すれば、2試合に軽減)が科され、日本戦の欠場が決まりました。
窮地を救ったのは、スタンドオフのジョージ・フォード選手でした。ひとり少ない状況下、体をぶつけ合っていたのでは体力が持ちません。そこで機転を利かし、キックを多用する戦法に切り換えたのではないでしょうか。
10分、PGを決めて同点に追いつくと、なんと27分から37分までの10分間でドロップゴール(DG)3連発。特に2本目はハーフウェイライン付近からの50メートルの距離をものともしない、正確無比なロングキックでした。
最終スコアは27対10でイングランド。6本のPGと3本のDG、全得点をひとりで叩き出したフォード選手がプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたのは、当然と言えば当然でした。
さてジャパンにとっての朗報は3試合の出場停止処分を受けていたラピースことピーター・ラブスカフニ選手が、コーチング介入プログラム修了により、イングランド戦出場が可能になったことです。前回大会、アイルランド戦とサモア戦でゲームキャプテンを務めたラピース選手はベスト8進出の立役者のひとりです。大会直前に左ふくらはぎを故障し、大事をとってチリ戦をスタンドから見つめていた姫野選手も出場可能との見通し。万全な状態で1次リーグの大一番を迎えます。
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