7月8日、東京・秩父宮ラグビー場でのジャパン・フィフティーン対オールブラックス・フィフティーン戦は6対38の完敗でした。ノートライに終わったものの、守備面では約3週間に及んだ千葉・浦安合宿での成果が見て取れました。
ジャパン・フィフティーンのジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は「率直な感想としては残念に思っています。たくさん課題がある」としながらも、「いくつかの部分では(浦安合宿の)成果が出たと思う」とフランスに向けての手応えを口にしました。
対戦相手のオールブラックス・フィフティーンはニュージーランドの正代表ではないものの、“オールブラックス予備軍”という位置付けで、代表経験者も10人メンバーに名を連ねていました(初戦は6人)。予備軍とはいえW杯ベスト8クラスの実力があると見られています。
ジャパンは前半5分にスタンドオフ松田力也選手のPGで先制したものの、15分に自陣深くのスクラムからスタンドオフのスティーヴン・ペロフェタ選手にディフェンスラインの間を割られ3対5と逆転。その後2本のPGを決められ、前半は6対11。後半5分にPGで突き放されると、その後は個人技を生かした突破を次々に許し、4トライを喫しました。後半のスコアは0対27とワンサイドゲームでした。
守備面で光ったのは前半7分のプレーです。センターのジャック・グッドヒュー選手が抜け出そうとしたところをセンター中野将伍選手が横から鋭いタックルを見舞い、攻撃の流れを遮断します。続いてフランカー福井翔大選手がジャッカルに成功。センターのアレックス・ナンキヴェル選手がノット・リリース・ザ・ボールの反則を犯し、ピンチを凌ぎました。
6対8の40分にもいいプレーがありました。センターのディラン・ライリー選手が強烈なタックルをフルバックのルーベン・ラヴ選手に見舞います。その後のブレイクダウンで、福井選手が相手のラックを押し返し、ボールを奪取しました。
体の芯を狙い、倒し切るタックルは、オーストラリア出身の柔術家で、13人制のラグビーリーグの指導経験豊富なジョン・ドネヒュー氏直伝、浦安でみっちり鍛え上げられました。
試合後、印象に残った選手について聞かれたオールブラックス・フィフティーンのレオン・マクドナルドHCは「7番の選手(福井)。ブレイクダウンで彼がトラブルを起こさせた」とやりにくい相手だったことを明らかにしました。敵ながらあっぱれ、ということでしょう。ジョセフHCも「翔大のパフォーマンスにはとても満足している」と及第点を与えました。
当の福井選手はどうでしょう。「フィジカルで余裕があるわけではないが、びっくりするほど強いとかはなかった」と頼もしいコメントを口にしました。フル出場でチームMVPに選ばれたのは当然でしょう。
一方で、アタック面はハンドリングエラーのミスが目立つなどバタバタした印象を与えました。ジョセフHCは「ターンオーバーでボールを取り返しているのに、そこでパニックになってミスをしていた。経験ある選手までそうなっていたので修正しないといけない」と厳しい表情で語りました。
体力面でも課題を残しました。強化合宿の疲れもあったのでしょうが、後半に入ると足が止まって見える場面がありました。逆に言えば、前半の動きを後半も維持できれば、W杯でもかなりやれそうです。
今回のオールブラックス・フィフティーンに対する戦いぶりを見ていて、昨年のサッカーW杯カタール大会での森保ジャパンを思い出しました。森保一監督の方針は「いい守備からいい攻撃へ」。それはジェイミー・ジャパンにも言えるのではないでしょうか。「このチームの強みは、反省点を修正できること」とリーチ選手。次戦は15日、熊本に場所を移し、オールブラックス・フィフティーンと再戦します。
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