秋の欧州遠征をジャパンは1勝2敗で終えました。初戦のアイルランド代表戦は5対60と大敗しましたが、2戦目のポルトガル代表戦は38対25でテストマッチ2年ぶりの勝利をあげました。3戦目のスコットランド代表戦は20対29で敗れましたが、収穫の多い試合でした。
2021年のジャパンの戦績です。
6月12日 サンウルブズ ○32対17(国内)
6月26日 ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ ●10対28(スコットランド)
7月3日 アイルランド代表 ●31対39(アイルランド)
10月23日 オーストラリア代表 ●23対32(国内)
11月6日 アイルランド代表 ●5対60(アイルランド)
11月13日 ポルトガル代表 ○38対25(ポルトガル)
11月20日 スコットランド代表 ●20対29(スコットランド)
※日付はすべて現地時間
8、12、15、14、13、15、10。この数字は7試合での反則数(日本ラグビー協会配信の公式記録参照)です。1試合平均で12.4。秋の欧州遠征3試合に限ってみると12.7と増えます。ベスト8進出を果たした2019年W杯日本大会(5試合)が7.6ですから、反則の多さが少々気になります。
善戦したスコットランド代表戦でも、勝負所で手痛い反則がありました。試合終盤、6点差にまで迫りながら終了間際、自陣で田村優選手がオフサイドの反則。インターセプトを狙おうとして、相手スタンドオフのフィン・ラッセル選手のパスダミーに釣り出されてしまいました。PGを決められ、勝利の目は消えました。
もっとも同情すべき点もあります。昨年、ジャパンはウェールズ代表、イングランド代表、スコットランド代表、アイルランド代表とテストマッチを行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大により、すべて白紙となりました。その間、強豪国はシックスネーションズ(欧州6カ国対抗)、ザ・ラグビー・チャンピオンシップ(南半球4カ国対抗)など強度の高い試合を積んできました。実戦から遠ざかった影響が、もろに数字に表れていると言えるでしょう。
それについて、稲垣啓太選手はこう話しています。
「みんな反則をしたくてしているわけではない。いろいろな状況があるが、その時に正しい判断を瞬間、瞬間で下せるかどうか。自分がよかれと思ってやっても、レフリーにとってはよからぬこともある。今後もう少しレフリーとコミュニケーションを取っていく必要があります」
大きな試合になればなるほど反則は命取りになります。稲垣選手が言うように、いくら「自分がよかれ」と思っても、勇み足では元も子もありません。今一度チームのディシプリンを確認する必要がありそうです。
その一方で、明るい兆しも見えました。それは新戦力の台頭です。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は「チームのこれからにとってポジティブなこと」と語っていました。
今年、初キャップをマークしたのはシオサイア・フィフィタ選手、齋藤直人選手、クレイグ・ミラー選手、ジャック・コーネルセン選手、セミシ・マシレワ選手、シェーン・ゲイツ選手、ベン・ガンター選手、ディラン・ライリー選手、中野将伍選手、ワーナー・ディアンズ選手の10人。フィフィタ選手、齋藤選手、ミラー選手、コーネルセン選手は7試合中6試合に出場し、フィフィタ選手、齋藤選手、中野選手は代表初トライを記録しました。
ジョセフHCはこう付け加えました。
「トップリーグに上がったばかりの選手がマレーフィールド(スコットランド代表の聖地)でプレーするということは大きな挑戦です。今後のことを考えると素晴らしい経験になったと思います」
続けて、藤井雄一郎ナショナルチームディレクター。
「初キャップの選手がいい経験となったのはもちろんのこと、試合に出られなかった選手もツアーに参加したことで、(テストマッチの雰囲気を)肌で感じることができたと思う」
若手の台頭はベテランを刺激します。ひいては、それがチームの底上げにつながります。欧州遠征では27歳の松田力也選手が3試合中2試合にスタンドオフで先発出場し、チーム最多の31得点をあげました。10月のオーストラリア代表戦ではキックパスでトライを演出するなど司令塔としての評価を上げました。3年前のベスト8進出の立役者である田村選手もうかうかしてはいられません。チーム内の競争激化は、ベテランも望むところでしょう。
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