7人制日本女子代表(サクラセブンズ)が現地時間15日のチリで行われた「ワールドラグビー・セブンズチャレンジャーシリーズ2022」で優勝し、来季(今年12月スタート予定)ワールドラグビー・セブンズシリーズ(WS)のコアチーム昇格を果たしました。昨夏の東京五輪では最下位に終わっただけに、2017-18シーズン以来5年ぶりのコアチーム昇格は、サクラセブンズにとって久々の朗報です。
さて今回サクラセブンズが昇格を果たしたWSのコアチームとは、年間7大会(男子は11)開催される全戦に出場権できる、いわばシード権のようなものです。コアチーム以外はスポット参戦というかたちで、数試合にしか出場できません。15人制と比べて国際試合が少ない7人制にとって、WSは世界の強豪の強さを肌で感じられる貴重な機会です。5戦全敗に終わった東京五輪。前回大会のリオデジャネイロ五輪後から東京五輪までの5年間(20‐21シーズンはコロナ禍で中止)でコアチームとして参戦したのは1度(17‐18シーズン)だけでした。最終スコッドは平均年齢22歳という若いチームだっただけに、“経験不足”が敗因にあげる関係者は少なくありませんでした。
東京五輪で辛酸を舐めた現主将の平野優芽選手は「パリ五輪でメダルを獲得するという目標を掲げる上で、WSの戦いを経験できるかどうかは本当に大事なこと」と語ります。
それは5年前にコアチーム入りした時の主将・中村知春選手兼コーチも同意見です。
「ラグビー人生の中でもコアチームとして1年間WSを回れた経験は、一番濃かったし、一番ラグビー選手で良かったなと思えるシーズンでした。それを若い選手たちが味わえることがうれしい」
それだけにサクラセブンズにとって今大会は「負けられない大会」でした。「五輪、W杯は挑戦していいし、一選手としてはご褒美的な側面でもある。一方、昇格大会は未来が変わってくる大会」と中村選手兼コーチ。「未来が変わってくる」とは重い言葉です。
ではサクラセブンズの未来をかけた3日間の戦いを振り返りましょう。プール戦でメキシコ、コロンビア、カザフスタンに3連勝し、全体2位で決勝トーナメントに進出したサクラセブンズは、準々決勝でベルギーに31対0と快勝すると、東京五輪の順位決定戦で敗れたケニアには22対15で競り勝ちました。
決勝はヨーロッパ王者のポーランド。雨が降りしきる中、開始2分で先制パンチを食らわしたのはサクラセブンズでした。センターライン付近から東京五輪代表の原わか花選手がスピードを生かし、インゴール目前までボールを運ぶと、最後はリオデジャネイロ五輪の日本代表主将・中村知春選手兼コーチが相手のタックルを受けながらも左中間に飛び込みました。
サクラセブンズはフィジカル勝負に挑んできたポーランドに対し、粘り強いディフェンスで対抗しました。前半終了間際には主将の平野優芽選手が中村選手兼コーチのパスからトライ。10対0とリードして前半を終えました。
後半4分に須田倫代選手のトライとコンバージョンキックで点差を広げた後も、最後まで集中力を切らしませんでした。17対0の完封勝ち。見事な優勝でした。
光ったのはサクラセブンズのディフェンスです。2完封を含む4試合(全6試合)で1桁失点以内に抑えました。「ディフェンスがすごく成長した。前に出て粘り強く、相手のアタックを止めるディフェンスがすごく強みになった」とは主将の平野選手。中村選手兼コーチも「試合を重ねるごとにディフェンスが良くなっていた」と手応えを口にしました。
ディフェンスがうまく機能した理由について、中村選手兼任コーチは「平野中心にマイクロトークをしっかりしていこうと話していたのがうまくハマッたこと」をあげ、続けます。
「一生懸命になると声が出なくなったり、聞こえなくなったりするところを、“話そう”、“聞こう”とコネクションを意識できるようになった。例えば『外オッケー』『上行くよ、下行くよ』などと声が出ていた」
選手と選手の間を突かれ、突破されたシーンも数えるほど。危なげなく試合を締めました。鈴木貴士ヘッドコーチ(HC)は「常日頃から『横とコミュニケーションをとろう』と言っていて、それがようやく試合を通してできてきた」と胸を張りました。
9月には4度目の出場となるW杯ケープタウン(南アフリカ)大会が控えています。過去3大会は13位、13位、10位。来年のパリ五輪に向け、試金石となる大会です。「W杯でさらに一段階、二段階、フィジカルもアタックもディフェンスも精度を上げる必要がある」と鈴木HC。フィールド内外でのマイクロトークで、さらなるレベルアップを図ります。
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