9月8日(現地時間)に開幕したW杯フランス大会は、残すところ27日の3位決定戦と28日の決勝のみとなりました。決勝のカードは南アフリカ対ニュージーランド。史上最多3度の優勝回数を誇る両国が雌雄を決します。連覇がかかる南アフリカは、「ボムスコッド」と呼ばれるリザーブをどこでどう起用するか、そこに注目が集まります。
16対15。10月21日にパリ郊外サンドニで行われた準決勝のイングランド戦、勝ったのは粘り強く戦った南アフリカでした。80分間を通して、リードしたのは最後の2分間だけ。試合後、フランカーのシヤ・コリシ主将は「どれほど醜くても、勝利を収めれば関係ない」と語気を強めました。この終了間際の逆転劇を生んだのが「ボムスコッド」です。
この日、パリは雨模様ということもあり、イングランドは身長のミスマッチを狙ってハイパントを多用してきました。自らのストロングポイントを全面に押し出す戦法です。
これが功を奏し、南アフリカの反則を誘発、3本のPGをスタンドオフのオーウェン・ファレル選手が難なく決めるなど、12対6でイングランドリードで前半を終えました。
南アフリカは選手交代に活路を求めます。前半31分のスタンドオフのハンドレ・ポラード選手に続き、後半3分にはスクラムハーフのファフ・デクラーク選手、9分にはプロップのオックス・ヌチェ選手を投入するなど16分までに8枚のカードを使い切りました。
ヌチェ選手は身長173センチ、体重105キロのずんぐりむっくりの28歳。彼が出場してからの20分間で、3度(20分、24分、28分)もイングランドがスクラムで反則を犯したのは単なる偶然とは言えないでしょう。
試合の流れを変えた29分のトライも、「ボムスコッド」の2人、フランカーのデオン・フーリー選手とロックのRG・スナイマン選手が絡みました。
13対15の37分、イングランドはハーフウェイライン付近でのスクラムで反則を犯します。約50メートルの距離をものともせずポラード選手がポールの間にボールを通し、南アフリカが残り2分で16対15と逆転。
残り時間をコントロールしたのはデクラーク選手でした。パスをつなぐイングランドに対し、ボールホルダーに執拗にプレッシャーをかけます。まるで猟犬が、獲物に噛みつくような図です。この執念に負けたのか、最後はフランカーのビリー・ヴニポラ選手がノックオン。この瞬間、南アフリカの2大会連続4度目の決勝進出が決まりました。
試合後、南アフリカのジャック・ニーナバーヘッドコーチは「33人の選手全員が責任と役割を持っている。ボムスコッドをフィールドに送り出せるのは、スターターが基盤を築いてくれたからです」と語りました。
さて決勝の相手は準決勝でアルゼンチンから7トライを奪い、44対6で完勝したニュージーランド。W杯における対戦成績はニュージーランドの3勝2敗です。
決勝では95年南アフリカ大会で1度だけ対戦し、南アフリカが15対12で勝利しています。これが南アフリカの初優勝でした。09年に公開されたモーガン・フリーマンさん主演の映画『インビクタス/負けざる者たち』はスプリングボクスの苦節と栄光を描いたものです。
2カ月にも及んだ激闘もいよいよフィナーレを迎えます。どちらが勝っても4回目の優勝は史上最多。現世における最上級のラグビーを堪能しましょう。
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