リーグワンは4節を消化し、4連勝の埼玉パナソニックワイルドナイツに次いで2位につけているのが、3勝1分けのクボタスピアーズ船橋・東京ベイです。入団2年目の木田晴斗選手がチームを牽引しています。
木田選手は関西大倉高校、立命館大学を経て昨年4月、スピアーズに加わりました。身長176センチ、体重88キロのウイングで、スピードと力強さを兼ね備えたランが持ち味です。U20、ジュニアジャパンとアンダーカテゴリーの日本代表を経験しています。「昔からトライ、得点することが好きで、そのためにランを磨いている」と語っています。
昨季はリーグ戦4試合に出場し、2トライを記録しました。「毎試合チャンスを探して、得点することがウイングの仕事」。今季はここまで全4試合に出場し、すべての試合でトライを記録しています。計6トライは目下、トップタイです。
ホームゲーム開幕戦となった1月14日のNECグリーンロケッツ東葛戦では、前半3分に左サイドからの突破でチャンスメイク。相手を引きつけてからパスし、スクラムハーフ谷口和洋選手のトライを演出しました。後半26分には敵陣でFBレメキ・ロマノ・ラヴァ選手のパスをインターセプト。約40メートルを独走し、インゴール左中間にボールを置きました。34分もスタンドオフのバーナード・フォーリー選手のパスをインゴール左にトライ。チームは40対7で勝利し、トップリーグ時代の2019年6月から続くスピアーズの東京・江戸川陸上競技場での“不敗神話”を10に伸ばしました。
試合後、フラン・ルディケヘッドコーチ(HC)の木田選手評です。
「フィニッシュまで持っていくことができるウイング。彼のラン能力、両足でステップを切れることが大きい。それにワークレートもいい。常にラインに参加していることがトライ量産につながっている」
昨季から「もう少しスピードが必要」と感じ、今季は体重を「1、2キロ」絞って臨んでいるといいます。「スピードが確実に上がった」と実感したのが、第3節の花園近鉄ライナーズ戦です。
後半22分、ハーフウェイラインから10メートル自陣に入った左隅でセンター立川理道選手からのパスを受けるや、鋭いステップで相手3人を置き去りにし、一気にスピードアップ。最後はフルバックのセミシ・マシレワ選手の追撃を振り切り、余裕を持ってインゴール左中間にボールを運びました。このトライ動画はワールドラグビーの公式Twitterでも紹介され、話題になりました。
一昨季のフルバック金秀隆選手、昨季のウイング根塚洸雅選手と2季連続で新人賞を輩出しているスピアーズですが、木田選手にはチームから3季連続受賞の期待が膨らみます。若手が活躍できる理由はどこにあるのでしょう。木田選手のコメントです。
「オフフィールドでのコネクトが大きい。気さくに話しかけてくれる人が多く、新人ものびのびできているのだと思います」
トライ王も視野に入れる木田選手ですが、視線はフランスに向いています。
「新人賞もとりたいですが、それよりも桜のジャージーを着たい。僕は今年のW杯に出るつもりでいます。“今からどうなんだ”という意見もあると思いますが、ラグビーをやっている以上、目指すところはそこしかない」
チーム関係者によれば、彼は入団1年目からプロ契約を結んでいるそうです。詳しい契約の中身まではわかりませんが、代表入りし、W杯で活躍することで自らの価値を上げる――。そう考えるのがプロというものです。
では木田選手にチャンスはあるのでしょうか。昨年秋に行われたテストマッチ3試合、ウイングのポジションで起用されたのは松島幸太朗選手、シオサイア・フィフィタ選手、ディラン・ライリー選手、チームメイトのゲラード・ファンデンヒーファー選手の4人でした。そのほかにも根塚選手、セブンズ日本代表の経験もあるジョネ・ナイカブラ選手らが虎視眈々と代表入りを狙っており、難関の様相を呈しています。「狭き門より入れ」とは新約聖書に出てくる箴言ですが、ここからが勝負の23歳です。
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