二宮清純
二宮清純コラム ノーサイドラウンジCOLUMN
2019年11月14日(木)更新

廣瀬俊朗が語る「激闘の44日」
「南アフリカには強い芯があった」

 TBS系ドラマ「ノーサイド・ゲーム」の浜畑譲役で、すっかりお茶の間の人気者となった廣瀬俊朗さんは、W杯期間中、NHKの解説を務めました。またスクラムユニゾンの発起人として、“国歌おもてなし”プロジェクトを展開しました。元代表キャプテンの廣瀬さんに44日間に及んだW杯を総括してもらいました。

ジャパン躍進の要因

――9月20日に開幕したラグビーW杯日本大会は南アフリカの3度目の優勝で幕を閉じました。台風19号の影響で3試合中止というアクシデントに見舞われましたが、国際統括団体であるワールドラグビーのビル・ボーモント会長からは「最も偉大な大会として記憶に残る」という評価をいただきました。

廣瀬俊朗:世界中のラグビーファンに日本大会を喜んでいただけたと思います。日本人のおもてなしや各地の食事に加え、風景や風土も楽しんでいただけたはずです。日本の皆さんもジャパンのベスト8進出もあり、ラグビーの価値を知っていただける素晴らしい大会になりました。

――ジャパン躍進の最大の要因は?

廣瀬:日本の皆さんの応援でしょう。それが多くのアドバンテージを生んだと思います。あとは準備がきっちりできたこと。春から試合を全然組んでいなかったので、試合勘が戻るか、ちょっと心配していましたが、その分、合宿で追い込めたことが良かった。心配が杞憂に終わったのは、ここ数年、多くの選手がサンウルブズでトップレベルの相手と戦い、経験を積めていたこと。それが結果に結びつきました。

――廣瀬さんの東芝時代の後輩にあたるリーチ・マイケル選手は2大会連続でキャプテンを任されました。彼を支えるリーダーグループの存在も大きかったと言われています。

廣瀬:リーチはスタメンを外されたアイルランド戦、その鬱憤を晴らすように途中出場するなり、激しいプレーを随所に見せてくれました。リーチの代わりにゲームキャプテンを務めたピーター・ラブスカフニのプレーも良かった。チームとして、プレー以外のところでもリーチをサポートする態勢ができていたのが大きかった、と思います。

――ジャパンの5試合で最も印象に残った試合は?

廣瀬:プール戦のアイルランド戦、スコットランド戦ですね。スコットランド戦ではオフロードパスの連続で生まれた稲垣啓太のトライが特に印象に残っています。

――ジャパン以外で印象に残ったのは?

廣瀬:準々決勝のイングランド対ニュージーランド戦です。試合前、エディー・ジョーンズさんが率いるイングランドは、V字の陣形でオールブラックスのハカに対抗しました。さらに開始早々からアタックを仕掛け、トライを奪った。激しいディフェンスに加え、ラインアウトでも優位に立っていました。優勝こそできませんでしたが、ニュージーランド戦はイングランドにとって会心のゲームだったと思われます。

2023 はフランスに注目

――南アフリカ優勝の最大の要因は?

廣瀬:今大会に関していえば、ニュージーランド、イングランド、南アフリカの3チームの実力が、他チームより頭ひとつ抜けていたと思います。特に南アフリカは、相手が自分たちの戦術を分かっていようがいまいが、シンプルにFWの強さを生かし、勝負してきました。FWに絶対の自信を持っているから、選択するプレーに迷いがなかった。南アフリカというチームの芯の強さを感じましたね。

――試合以外で印象に残ったことは?

廣瀬:ジャージーを着ている人や国歌斉唱、アンセムを歌う人たちが増えましたね。たとえスタジアムに足を運べなくても、いろいろな場所で大会を楽しんでいるように映りました。

――ファンゾーンには、過去最多となる約111万7000人が詰めかけたそうです。経済効果は4370億円にのぼると見られています。ラグビー界の次なる課題はW杯の余熱を、どうつなげるか。にわかファンを“常連客”になるよう育てなくてはいけません。

廣瀬:その意味では、来年1月に開幕するトップリーグが大事ですね。代表でともに戦った選手たちが敵と味方にわかれて戦います。クラブチーム同士の戦いでは、代表とはまた違うスタイルのラグビーが見られます。一方で、ラグビーにはアマチュアスポーツの魅力もあります。高校・大学ラグビーには、3年間や4年間という限られた時間の中に、選手たちの熱い思いが詰まっています。彼らが懸命にプレーする姿にも注目してもらいたい。

――気の早い話ですが、2023年フランス大会で廣瀬さんが注目するチームは?

廣瀬:今回、ベスト8に入ったフランスですね。スタンドオフのロマン・ヌタマック選手をはじめ主力に若手が多かった。4年後がとても楽しみです。また3連覇を逃したオールブラックスの巻き返しにも注目です。

――今後、廣瀬さん自身の活動の幅も広がりそうですね。

廣瀬:今回のW杯はラグビーの価値、スポーツの価値を知っていただく素晴らしい大会になりました。来年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。7人制ラグビー(男女)もありますが、ラグビーに限らず、もっといろいろなスポーツを知ってもらい、興味を持っていただければうれしい。そのお手伝いをしていきたいと考えています。

<廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)プロフィール>
1981年10月17日、大阪府出身。現役時代は東芝ブレイブルーパスでスタンドオフ、ウイングとして活躍。トップリーグ連覇に貢献した。日本代表には07年初選出。12年春に日本代表復帰とともに主将に就任した。14年に主将交代となったが、15年W杯イングランド大会の最終スコッド入り。優勝候補の南アフリカを破るなど3勝をあげたチームの躍進に貢献した。16年に現役引退。現在は株式会社HiRAKUの代表取締役としてスポーツの普及と教育に取り組んでいる。日本代表通算キャップ数28。著書に『ラグビー知的観戦のすすめ』。

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