二宮清純
二宮清純コラム ノーサイドラウンジCOLUMN
2018年11月29日(木)更新

ジャパンの2018年を振り返る
レフェリー分析が目標達成のカギ

 さる11月24日(現地時間)、世界ランキング11位の日本代表は同19位のロシア代表に前半12点のリードを許したものの、32対27で逆転勝ちしました。ロシアはW杯初戦の相手です。2018年テストマッチ最終戦を白星で飾り、3勝3敗でW杯イヤーを迎えます。

攻撃面に手応え

 11月27日に日本ラグビーフットボール協会は2018年日本代表総括会見を開き、薫田真広強化委員長は「非常に大きな成果があったシーズンだったと思っております」と19年への手応えを口にしました。

 18年のテストマッチ戦績は以下のとおりです。
・6月9日 イタリア代表 〇34対17
・6月16日 イタリア代表 ●22対25
・6月23日 ジョージア代表 〇28対0
・11月3日 ニュージーランド代表 ●31対69
・11月17日 イングランド代表 ●15対35
・11月24日 ロシア代表 〇32対27

 日本はティア1と呼ばれる強豪のイタリアから初勝利を挙げ、ジョージア代表には完封勝ちを収めました。2勝1敗と上半期は勝ち越しです。下半期はニュージーランド、イングランドというティア1との連戦が注目を集めました。まずニュージーランド戦は若手主体のオールブラックスとはいえ、リードする場面もありました。5トライ、31得点は対オールブラックス戦最多です。続く敵地でのイングランド戦は逆転負けを喫したものの、8万人を超える大観衆の前で前半はボール支配率で上回りました。後半19分までリードするという健闘を見せました。そして年内ラストマッチはW杯本番で対戦するロシアに逆転勝ち。秋のシリーズを振り返り、ジェイミー・ジョセフHCはこう胸を張りました。

「オールブラックス戦は苦戦すると思われたがベストなチームを相手にトライを獲れたことはポジティブな結果です。イングランド戦はハーフタイムまでリードしていたのに逆転されたのは残念だった。ただ最後まで諦めない精神を持って戦えたのは評価できる。(逆転勝ちした)ロシアにはミスを挽回して勝つことができた。1年前であれば挽回することはできなかった」

 続けてジェイミーHCは「点を獲ることは懸念していない」と攻撃面での成長ぶりをアピールしました。キックを多用するなどしてスペースを突く攻撃は、就任当初こそ疑問視する向きもありましたが、ここにきて精度を高めています。司令塔のスタンドオフ田村優選手のキックパスからトライを奪うシーンが目立ちます。これは日本にとって大きな武器です。代表的なシーンとしてはオールブラックス戦の後半12分があげられます。敵陣中央でボールを持った田村選手が大外へ弧を描く正確なキックパスを送りました。それを右隅でキャッチしたウイングのヘンリー・ジェイミー選手がインゴールに飛び込みトライをあげました。またロシア戦でのフランカーのリーチ・マイケル選手があげた勝ち越しトライも、田村選手のスペースを巧く突いたキックパスから生まれたものです。

残り10カ月

 攻撃面での成長に目を細める指揮官ですが、秋のシリーズで浮き彫りになった課題もあります。それはペナルティーの多さです。後半に試合をひっくり返されたイングランド戦は後半だけで9つの反則を犯しました。ジェイミーHCは「かなり厳しく取られた。本当にペナルティーだったかは謎」と判定に疑問を呈しつつも、「試合中にレフェリーが見解を変えたことにアジャストしていかないといけない」と反省点を口にしました。その1週間後のロシア戦ではリードを許した前半に何と8つのペナルティー。そのうちの5本を得点に結びつけられました。

 レフェリーの特徴をあらかじめ知っておくことはW杯で決勝トーナメント進出を目指す日本にとって、重要なことです。前回のイングランド大会で日本を率いたエディー・ジョーンズHCは、レフェリー分析に熱心でした。それが功を奏し、南アフリカ戦での歴史的勝利を生んだのです。

 当時のメンバーでロックの真壁伸弥選手はこう証言します。

「南アフリカ戦で笛を吹いたのはジェローム・ガルセスというレフェリー。8月の宮崎合宿にも来てもらって実際に笛を吹いてもらったことがあるんです。レフェリーにも傾向や特徴があって、ジェロームはノットロールアウェイ(タックルをして倒れたプレーヤーがその場から離れない反則)を結構、取るんです。

 体の大きな南アフリカの選手たちは日本の選手よりも起き上がるのが遅い。だからタックルされた後、簡単に立たせないとかルールぎりぎりの対策を練ったんです。実際、あんなにうまくハマるとは思いませんでした」

 この試合、日本のペナルティーが8つだったのに対し、南アフリカは13もありました。フルバックの五郎丸歩選手が決めた5つのPGがボディブローの役割を果たしたのです。

 W杯本番、日本はロシア、アイルランド、サモア、スコットランドの順に対戦します。プール2位以内がノルマとなります。そのためには対戦相手の分析はもちろん、試合を裁くレフェリーに対するスカウティングにも力を注がなければなりません。泣いても笑っても開幕まで残り10カ月です。

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