トップリーグ(TL)の強豪トヨタ自動車ヴェルブリッツのロック秋山大地選手は、2023年W杯フランス大会でジャパン入りを期待される有望株です。昨年春、トヨタ自動車に入団した身長192センチ、体重110キロのルーキーは、溌剌としたプレーで中断前のリーグ戦全6試合に出場、評価を上げました。
素材の良さが光ったのはTL第2節のパナソニック ワイルドナイツ戦でした。20対40で敗れたものの、「泥臭くても目立たなくても、“チームにコイツは欠かせない”と思わせるような選手になりたい」との抱負を地でいく内容でした。
まずはオフェンス。7点ビハインドの前半17分、秋山選手は左サイドでボールを持つと力強い突破を見せました。フッカー坂手淳史選手のタックルを弾き飛ばすや、1人をひきつけ、大外で待つウイングのヘンリー・ジェイミー選手にパス。ヘンリー選手はさらにボールを前に運び、センター岡田優輝選手のトライに繋げました。
続いてディフェンス。34分、センターライン付近でボールを持ったウイング福岡堅樹選手を低いタックルでとらえ、突破を阻止しました。ラインアウトではレシーバー、選手を持ち上げるリフターとしてセットプレーを支えました。
そのことについて聞くと、秋山選手は満足気に、こう語りました。「試合には敗れてしまったものの、自分自身の仕事ができたなと手応えがありました。タックル、セットプレーでミスが少なかった。ボールキャリーでも自分の強みとしている前へ進んでいく力強さはしっかり出せた試合だったと思います」
新型コロナウイルス感染拡大の影響によるリーグ戦中止は、本人には悔やまれるものでした。
「毎試合すごい人たちとラグビーをさせてもらうことで、1試合ごとに経験を積めた。試合をするたびに手応えや課題を得られていました。世界から素晴らしい選手が集まり、その選手たちと対戦することも自分には楽しみでした。途中で貴重な経験を積む機会がなくなってしまったのは残念です」
現在23歳の秋山選手は昨年春に帝京大学を卒業し、日本選手権3度の優勝を誇るトヨタ自動車に入団しました。姫野和樹選手、吉田杏選手、岡田選手ら帝京大OBが数多くプレーしているチームです。ここ2シーズンは姫野選手、岡田選手が連続してTL新人王を受賞しています。そうしたこともトヨタ自動車を選ぶ決め手となったようです。
「トヨタは若手選手がどんどん活躍している。実際に入ってみてわかったことですが、上下関係が厳しくなく、グラウンド外での仲が良い。それは先輩方が後輩を気にかけてくれるから。新人でも馴染みやすくノビノビできる環境にあると感じています。ラグビー面では本当に尊敬できる選手がたくさんいるので、毎日が勉強になっています」
今ではジャパンになくてはならない存在である先輩・姫野選手についてはどう思っているのでしょう。
「姫野さんは大学の時に自分と同じロックをやられていたこともあり、憧れの存在でした。その姫野さんが先頭に立ち、引っ張っている環境でやってみたかったんです」
そして、続けます。
「姫野さんは練習に対して妥協が無い。ラグビーへの熱さに加え、チームメイトへの思いやりも感じます。ラグビー選手としても人間としてもすごく尊敬できる方です」
またトヨタ自動車にはニュージーランド代表127キャップを誇るナンバーエイトのキアラン・リード選手、南アフリカ代表61キャップを記録したフルバックのウィリー・ルルー選手らワールドクラスの選手がいます。リード選手はオールブラックスのキャプテンを務めたスーパースターです。
「リード選手は発言も熱い。シンプルな言葉で、心に響く。そして、そのひとつひとつが的確です。リーグ戦でケガした後も選手たちにアドバイスを送るなどチームに尽くしてくれた。人間的に尊敬できる存在です。プレー面ではひとつひとつのスキルがすごく高い。タックルは特に強烈で、しかも正確。安定したタックルは見習わなくてはなりません」
大地と言えば鈴木大地さん(男子競泳ソウル五輪金メダリスト)、澤野大地選手(男子棒高跳び五輪3大会出場)など世界的なアスリートを思い出します。いずれは秋山選手もラグビーを代表する選手になることでしょう。
当コラムの次回更新は5月7日(木)予定です。
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