W杯フランス大会まで、あと1年を切りました。11月6日(現地時間)、イングランド・トゥイッケナムスタジアムで行われたジャパンと同組(プールD)のチーム同士の一戦は、アルゼンチン代表がイングランド代表を13年ぶりに破りました。スコアは30対29。この一戦にはジャパンが学ぶべきヒントが詰まっていました。
先制したのはアルゼンチン。9分、イングランドのスタンドオフ、マーカス・スミス選手が自陣でボールを処理しようとして足を滑らせてしまい、その間にアルゼンチンがターンオーバーに成功します。直後の反則で得たPGをウイングのエメリアーノ・ボフェッリ選手が冷静に決めました。
対するイングランドは3対6の25分、ウイングのジョー・ゾカナシンガ選手のトライで逆転します。センターのオーウェン・ファレル選手がコンバージョンキックを成功させ、10対6に。
その後はイングランドのファレル選手、アルゼンチンのボフェッリ選手がPGを2本ずつ決め、16対12とイングランドが4点リードして前半を終えました。
チームスタッツ(米ESPNラグビーサイトを参照。以下同)を見ると、イングランドのボール支配率は68%に及びました。攻め込まれたアルゼンチンにすれば4点のビハインドは想定の範囲内だったはずです。
後半に入ると、アルゼンチンに流れが傾きます。7分、敵陣右サイドで獲得したラインアウト、左に素早く展開し、最後はボフェッリ選手がインゴール左隅に滑り込みました。11分には、ハーフウェイライン付近でこぼれたボールにスタンドオフ、サンティアゴ・カレーラス選手が素早く反応します。1人で50m以上を走り抜きました。ボフェッリ選手がコンバージョンキックを決め、24対16と8点のリードを奪います。
逆転されたイングランドは、15分に途中出場のスクラムハーフ、ジャック・ヴァン=ポートヴリート選手がトライを返し、23対24とアルゼンチンに迫ります。
ここからはPGによるシーソーゲームに。21分ファレル選手、24分ボフェッリ選手、27分ファレル選手、30分ボフェッリ選手がいずれも確実に決め、アルゼンチンの30対29で、残り10分。スコアは動かずノーサイドとなりました。
試合後、エディー・ジョーンズヘッドコーチが<簡単なミスでチャンスを逃してしまい、フラストレーションの溜まる試合でした>(「ラグビーリパブリック」2022年11月7日配信)と語ったように、イングランドはボールを支配しながらも得点に繋げることができませんでした。ゲームキャプテンを務めたファレル選手は「まとまりがなく、自分たちのベストを出すことができなかった」と肩を落としていました。
一方、アルゼンチンのキャプテンでフッカーのフリアン・モントーヤ選手は「長年勝てなかった相手に勝てて誇りに思う。魔法ではなく努力の賜物だ」と胸を張りました。
アルゼンチンは174回のタックルを試み、157回のタックルを成功させました。成功率(90%)はイングランド(91%)をわずかに下回ったものの、回数だけでいえば2.5倍以上です。それでいて反則の数は同数(10)ですから、いかにアルゼンチンが粘り強く戦ったかが窺えます。この戦い方はジャパンにとっても参考になったのではないでしょうか。
アルゼンチンのイングランド対策は万全でした。例えばキックオフのボール、アルゼンチンは前半4本中全て中央を狙って蹴り込みました。そのうちの2本をイングランドはキャッチミスし、その後の反則で失点しました。ボールが雨で湿っていたとはいえ、イングランドはハイボールの処理に課題を残しました。さらに後半7分、ラインアウトからの素早いパス交換からの得点も、テンポの速いパスを武器とするジャパンに適した攻撃のように映りました。優秀だといわれるジャパンの分析班にとってはチェックポイント満載の試合だったはずです。
データが取得できませんでした
以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。