ラグビーW杯日本大会で史上初の決勝トーナメント進出を目指すジャパンにとって、スコットランド代表と対戦する10月13日は運命の日となりそうです。
スコットランドは世界ランキング7位(19年4月17日時点)の強豪です。W杯にはこれまで全8大会すべてに出場し、7大会で決勝トーナメントに進出しています。最高位は1991年イングランド大会のベスト4です。スクラムハーフのグレイグ・レイドロー選手、スタンドオフのフィン・ラッセル選手、フルバックのスチュワート・ホッグ選手らを中心とした攻撃ラグビーが持ち味です。先日行われたシックス・ネーションズでは5位に終わりましたが、イングランド代表を相手に爆発力を見せました。7対31でハーフタイムを迎えると、後半開始から猛攻を仕掛けました。なんと19分間で4トライをあげて同点に追い付いたのです。35分には逆転トライを奪い、最大で31点もあった差をひっくり返しました(最終スコアは38対38)。肝を冷やしたエディー・ジョーンズHCは「ジャパンがスコットランドに勝つにはディフェンスを強化しなければいけない」とアドバイスを送ってくれました。
ジャパンとスコットランドのこれまでのテストマッチの対戦成績はジャパンの1勝11敗です。W杯ではいずれも1次リーグで対戦し、3戦全敗(91年イングランド大会は9対47、03年オーストラリア大会は11対32、15年イングランド大会は10対45)。ジャパンにとっては分厚い壁です。
91年大会のジャパンを率いたのは宿澤広朗さんです。1次リーグ初戦のスコットランド戦でキャップ数1のスクラムハーフ村田亙選手を抜擢しました。彼のスピードを生かした攻撃力に賭けたのです。前半は9対17と善戦、この時のパフォーマンスが評価され、村田選手には海外クラブからのオファーが舞い込みました。99年に、村田選手はフランスに渡り、日本人選手の海外進出のきっかけをつくりました。
続く03年の大会を指揮したのは向井昭吾さん。最後は11対32と突き放されたものの、残り20分までは11対15と接戦を演じ、スコットランドを本気にさせました。その勇敢な戦いぶりから「ブレイブ・ブロッサムズ」と呼ばれたのは有名な話です。向井さんは「世界の背中が見えた」と語りました。
記憶に新しいのは15年のイングランド大会です。優勝候補の南アフリカ代表を破るなど過去最高の3勝をあげながら、目標としていた決勝トーナメント進出にはわずかに届きませんでした。勝ち点差2が天国と地獄の分かれ道でした。
スコットランドとのW杯4度目の対戦が決まった際の、ジャパンの選手たちの反応は以下のようなものでした。
「前回大会で出場した唯一の試合で、チームが負けた唯一の相手です。その雪辱を果たしたいと思っています」(福岡堅樹選手)
「W杯での負けをW杯で返すことができるチャンス」(山田章仁選手)
必勝を期すジャパンにとって、最も警戒すべきはスコットランドの闘将です。キャプテンのレイドロー選手は正確なキックに定評のあるゲームメイカーです。前回の15年大会でもキャプテンとしてチームを牽引しました。ジャパンとの試合では8本のキック(4G、4PG)に成功し、20得点をあげました。15年大会のメンバーで、3年前のスコットランドとのテストマッチ2試合に出場した大野均選手は、スコットランドのキープレーヤーにこの選手をあげます。
「レイドローは素晴らしいキャプテン。2016年に勝てそうな試合を落としたのは、彼が後半に入ってきてからです。それでスコットランドが落ち着きを取り戻してしまったんです」
大野選手が悔しがったのは2016年6月25日に東京・味の素スタジアムで行われたスコットランドとのテストマッチです。ジャパンはスクラムハーフの茂野海人選手のトライなどで試合を13対9で折り返しました。さらに後半9分にはスタンドオフの田村優選手のPGで7点差とリードを広げました。
勝利が見えてきたジャパンでしたが、途中出場のレイドロー選手の右足が、行く手を阻みました。12分を皮切りに、計4本のPGを決め試合をひっくり返してみせたのです。4本中3本はゴールまで40メートル以上の距離があったものの、それをものともしませんでした。
運命の10・13に話を戻しましょう。ジャパンが有利なのは中7日という日程です。これに対しスコットランドは中3日で日本戦を迎えます。15年大会はジャパンが中3日だったのに対し、スコットランドは大会初戦でした。ジャパンとしてはホストカントリーのホームアドバンテージを生かしたいところです。
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