新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今季のトップリーグ中止が発表された3月23日、パナソニック ワイルドナイツに所属する堀江翔太選手が自らのTwitterで<こうゆう時こそPMA(positive、mental、attitude)>(原文ママ)と発信しました。PMAとは堀江選手と親交のあるスカパンクバンド『KEMURI』の代表曲のひとつです。歌詞の中には「don't look down」(下を向くな)というフレーズがあります。
リーダーらしくないところが堀江選手が真のリーダーたる所以なのでしょう。
「チームのキーマンは堀江でした」
こう語ったのは、昨年W杯日本大会でジャパンのベスト8進出に貢献した長谷川慎スクラムコーチ(ヤマハ発動機ジュビロアシスタントコーチ)です。
長谷川コーチによると、2016年、ジャパンのスクラムコーチに就任した時、「堀江は僕に対していい感情を持っていなかった」と言います。「とりあえずやってみるかという感じでしたね」
このコーチは、どれだけの腕前なのか――。スーパーラグビーでもプレーし、世界を知る堀江選手は、最初、品定めをしていたようです。そこは長谷川コーチも心得たものです。理詰めの指導で、徐々に気持ちを掴んでいきました。
「それ以降、堀江は、自分が身につけてきたスクラムの組み方や個人のテクニックを惜しみなく披露してくれました。もし、それがなければ、みんなの理解力も上がってこなかっただろうし、自分たちのスクラムを作り上げるのに、もっと時間がかかっていただろうと思います」
こんな後日談もあります。
「W杯の準々決勝で南アフリカに負けた後、ロッカールームで僕のところに堀江が来ました。試合で着ていたジャージーを手に“慎さん、これあげます”と。僕は“こんな大事なもの、いいの?”と聞くと、“W杯5試合で今日が唯一スクラムで負けた試合だった。次のW杯は、ちゃんと押されないスクラムをつくってください。このジャージーを見て頑張ってください”って言うんです。“どこから目線や!”と思いましたよ(笑)。でも、その気持ちはうれしかったですね」
堀江選手は、チームリーダーであると同時にムードメーカーでもあります。15年W杯イングランド大会前の宮崎合宿。エディー・ジョーンズヘッドコーチが選手たちに課したトレーニングは過酷そのものでした。
練習後、選手たちはぐったりと疲れ込み、会話もできなかったそうです。
そんな重い空気を一変させたのが堀江選手の、ちょっとした“遊び心”でした。
当時のジャパンの同僚、大野均選手から、こんな話を聞きました。
「合宿期間中、楽しみは食事ぐらいしかありませんでした。食事はビュッフェスタイルで、翔太がパンにいろいろな食材を組み合わせて、めちゃくちゃ美味しいホットサンドを作ってくれたんです。それを僕も真似して作ってみたら、すごく美味しかった。そのおかげで、きつい宮崎合宿を乗り切ることができました。合宿後、翔太にお礼を言ったことを覚えています」
日本、いや世界中がコロナの霧にすっぽりと覆われたままです。人々に希望を与える役目を担うスポーツも、コロナの前には無力です。
そんな中、スポーツマンはラグビー選手に限らず、ひとりひとり、社会のために何かできるかを考え続けています。
堀江選手の音楽を通じてのメッセージも、そのひとつです。『PMA』の歌詞には次のようなフレーズもありました。
「live with a positive mental attitude!」(肯定的精神姿勢とともに生きよう!)
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