14日、日本ラグビー協会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、代表に関する年内の活動の一切を見送ることを発表しました。3年後のフランスW杯で「19年日本大会以上」(森重隆会長)の成績、すなわちベスト4を目指すジャパンにとっては大きな痛手です。
ジャパンは当初、今年度のテストマッチとして6月27日のウェールズ代表戦、7月4日と11日のイングランド代表戦、11月14日のスコットランド代表戦、11月21日のアイルランド代表戦を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大により、すべて白紙となってしまいました。
それに代わる強化試合として日本協会は11~12月に開催予定の「オータムネーションズカップ」への参加を模索しましたが、これも断念に追い込まれました。
「オータムネーションズカップ」とは、イングランド、ウェールズ、フランス、アイルランド、スコットランド、イタリアが参加するシックスネーションズ(欧州6カ国対抗)に2カ国(フィジー、ジョージア)を加えた8カ国・地域で行う対抗戦です。日本の代わりに参加したジョージアが入ったブロックAには、昨年のW杯日本大会準優勝のイングランド、同4位のウェールズ、同ベスト8のアイルランドがいます。これらの国・地域との対戦機会を逃したことは残念の一語です。
「選手の安全を第一に下した決定というのは正しかったと思っています」とはジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)。こう続けました。
「オータムネーションズカップは我々コーチの観点から見ても代表チームがこれから強化をしていくにあたって、代表選手が必要とする経験を積む上で、非常に効果的だったと考えます。その大会に参加しないことは残念なんですが、今年に関してはポジティブな点もあります。それは選手たちがW杯までタイトで忙しい日々を過ごしていた中で、一息つく時間ができた。例えばリーチ・マイケル選手に関しては、手術を受け、リカバリーに費やしているところです。ケガの選手も多かった中で、一回立ち止まり、一息つくことができる点ではポジティブに考えています」
確かに戦士には休息が必要です。リーチ選手について言えば、15年イングランド大会から約2年、桜のジャージーに袖を通すことはありませんでした。充電が必要と判断したのでしょう。結果的には充電が吉と出ました。
その一方で心配されるのが新戦力発掘への影響です。
こんなデータがあります。16年~19年の約4年間、初キャップを記録したジャパンの選手は86人。そのうち16年にデビューした選手は45人と半数以上を占めています。つまりW杯翌年は次のW杯に向け、新戦力をセレクトし、試す重要な1年なのです。それは19年W杯日本大会最終スコッドにラファエレ・ティモシー選手、松田力也選手、ヘル・ウヴェ選手ら7人の16年デビュー組が名を連ねたことからも明らかです。
南アフリカを破るなど3勝をあげたW杯イングランド大会翌年の16年、ジャパンはアジアラグビーチャンピオンシップを含め11試合のテストマッチを行いました。ウインドウマンスと呼ばれるワールドラグビーが定めるテストマッチ月間において、国内外でスコットランド、アルゼンチン、ウェールズといったティア1のチームと対戦することで経験値を高めました。ティア1のチームには勝てませんでしたが、こうした格上相手の“ぶつかり稽古”により、選手たちは身も心も鍛えられていったのです。
現時点で来年の試合スケジュールは決まっていません。日本協会の岩渕健輔専務理事は「皆さんがワクワクするようなゲームを組まなければいけない」と語っています。「ワクワクするようなゲーム」とは今年実現できなかったティア1との試合を指しているのでしょう。
来年のウインドウマンスは7月と11月に計画されています。例年の流れに当てはめると、ジャパンは7月に国内でのテストマッチ、11月には海外遠征を組みます。しかし、コロナ次第では、これもどうなるかわかりません。なにしろ東京オリンピック・パラリンピックの開催すら危ぶまれているのですから……。代表強化の出遅れを、どんなプランで取り戻すのか。ここは知恵の絞りどころです。
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