今季のトップリーグは新型コロナウイルスの感染拡大により、延期と休止を挟み、最終的に中止に追い込まれました。国難とも呼ばれる状況下、選手やコーチたちはどうしているのでしょうか。昨年のW杯日本大会でジャパンのベスト8進出に貢献し、今季からヤマハ発動機ジュビロのアシスタントコーチに復帰した長谷川慎さんに話を聞きました。
――新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今季のリーグ戦は中止になりました。
長谷川慎:5月の日本選手権がどういうかたちで行われるか決まっておりませんが、準備することが僕たちの使命です。とにかく、いつ再開しても大丈夫なように準備を怠ってはいません。
――日本選手権はトップリーグ上位4チームによって行われる予定でしたが、リーグ戦が休止になったことでフォーマットは改められる予定です。先が見えない状況下、不安もあるのでは?
長谷川:そうですね。ただ今はラグビーだけが特別なわけではありません。世界中が不安に陥っている状況ですから、僕らはできることをやるだけです。通常は試合期と練習期の2種類しかない中で、今はそのどちらでもない。試合が行われない中で、モチベーションを保ちながら、今できることに注力しています。
――こういう状況だからこそ、逆にできることもあると?
長谷川:そうです。試合期は毎週のように試合がある。プレビュー、レビューはもちろんやりますが、改善・修正までは手が回らない。今は通常ならオフシーズンに時間をかけてやるような練習を行うことができる。それをチームのレベルアップに繫げたいと思っています。
――東京オリンピック・パラリンピックも1年の延期が決まりました。トップリーグに限らず、ラグビーの大会も中止や中断を余儀なくされています。
長谷川:こればかりは仕方がないことです。これだけ世界中で犠牲者が出ている中、ラグビーか命かのどちらかをとれと言われれば、命をとります。今後は新型コロナウイルス感染が終息に向かってくれればいいのですが、もし状況が悪化した場合はラグビーなんてやっている場合じゃない。それは誰もが分かっていることです。
――最終的にリーグ戦は中止となってしまいましたが、今季第6節を消化した時点で5勝1敗と3位につけていました。総得点、総トライ数でリーグ2位、総失点は同3位と安定した戦いぶりでした。
長谷川:ケガ人を出してしまったことや、退場者を出してしまった試合もあり、そこが反省点です。ただ、そんな状況下でも若手やリザーブだった選手が伸びてきたことはチームにとって大きな財産になりました。
――具体的には?
長谷川:FWで言えば、プロップ岡本慎太郎、フランカーの栗田祥平、西内勇人、舟橋諒将ら20代の選手たちがある程度のパフォーマンスを見せてくれた。彼らの成長はチームにとってプラスですね。第5節からスタメンに定着したロックの桑野詠真も成長著しい選手のひとりです。以前のように一から教えるのではなく、全体のスタンダードが上がってきている。今は選手たちとも深い話ができていると思います。
――あえて課題をあげるなら?
長谷川:あとは伸びてきた選手たちが、パナソニック ワイルドナイツや神戸製鋼コベルコスティーラーズなどトップレベルのチーム相手にもいいパフォーマンスを出せるかどうかですね。そして彼らをスペシャルな選手にどう育てていくか。それが今後の課題だと思っています。
――その点でもリーグ戦の中止は痛いですね。
長谷川:選手層はヤマハの一番の課題でした。特に伸び盛りの選手にとって、トップチームと対戦し、経験を積むことが大事なので、その機会を失ったことは残念ですね。
――コーチとして今、自らに言い聞かせていることは?
長谷川:とにかく再開した時にいいパフォーマンスが出せるように、今は時間をムダにしたくない。そのことだけです。先が見通せない中、コーチが不安げだと選手も不安になるでしょう。だから無理してでもポジティブでいることを心掛けています。
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