W杯フランス大会、D組のジャパンは日本時間29日、サモアを28対22で下しました。これにより通算成績2勝1敗の勝ち点9で目下、D組3位。既に同組1位イングランドの決勝トーナメント進出が確定し、残り1枠をかけて8日、フランス西部のまちナントで2位・アルゼンチンと対戦します。
「腕相撲のような拮抗したゲーム」(ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ)とは言い得て妙です。
このゲーム、ジャパンは1度もリードを許しませんでした。そこは評価していいでしょう。
前半13分、スクラムハーフ齋藤直人選手のパスからフランカーのピーター・ラブスカフニ選手がインゴール左に飛び込みます。スタンドオフ松田力也選手のコンバージョンも決まり、7対0。
松田選手のキックは大会を通じて安定しています。蹴る際に右肩が下がる癖を修正するため、両ヒジを90度ほど曲げ、“小さく前にならえ”のようなポーズを取ります。この新ルーティンがキックに安定感をもたらせているようです。
その後、互いにイエローカードをもらうなど、荒れた展開になりましたが、ジャパンは17対8で前半を終えました。
後半9分、ラインアウトモールからナンバーエイト姫野和樹選手がインゴール右隅に飛び込み、16分には松田選手のPGも決まり、25対8と17点差に。ここまでは安心して見ていられました。
姫野選手のトライは、仕掛けからして“技あり”でした。敵陣深くの右ラインアウト。フッカー堀江翔太選手が素早いタイミングで絶妙な高さのボールを放り、ロックのジャック・コーネルセン選手が軽くジャンプしてキャッチしました。コーネルセン選手の前後に位置する選手は持ち上げるのではなく、体を支えるだけ。すぐにモールを形成すると、タイミングをずらされた相手は対応が遅れました。次の瞬間には、FW8人が塊になってインゴールに雪崩れ込んでいました。
終わってみれば28対22。終盤、サモアの捨て身の逆襲に遭いましたが、終始、時間をコントロールしていたのはジャパン。最終的に6点差まで迫られたものの、ヒヤリとする程ではありませんでした。
さて世界ランキング9位(10月2日時点)のアルゼンチンです。初戦のイングランドに10対27で敗れたものの、サモアに19対10、チリに59対5と尻上がりに調子を上げているように見受けられます。
試合間隔はジャパンがサモア戦から中9日に対し、アルゼンチンはチリ戦から中7日です。若干、ジャパンが有利な気もしますが、アルゼンチンはチリ戦でフッカーのフリアン・モントーヤ選手、フランカーのパブロ・マテーラ選手、ウイングのエミリアーノ・ボフェリ選手ら主力を休ませています。最後の日本戦をにらんでのことでしょう。
もっとも、中2日くらいでは「大した差はない」という声もあります。記憶に新しいのは15年イングランド大会の日本対スコットランド戦。日本は中3日だったのに対し、スコットランドは初戦でした。あれは、あまりにもアンフェアでした。「もし中5日だったら、もっと拮抗した試合になっていた可能性がある。むしろアルゼンチンの中7日というのは試合勘が鈍らないという意味では、ちょうどいい間隔と言えなくもない」。元代表選手は、そう語っていました。
試合のカギを握るのは、やはりスクラムの攻防です。アルゼンチンはスクラムに絶対の自信を持っています。
対するジャパンはどうでしょう。「アルゼンチンの強さ、巧さ、重さは今のジャパンなら消せると思っている。消した上で自分たちの土俵で組めるような練習をしてきた」とは長谷川慎アシスタントコーチ。当代きってのスクラムの専門家が、そう言い切るのですから、アルゼンチンの「前に出る力を消す」ための秘策が、既にいくつか用意されているはずです。
決戦は日曜日(8日)の夜8時。3連休の中日ということもあり、多くの国民がビール片手に試合開始のホイッスルを待つことでしょう。皇国ならぬ「日本ラグビー興廃この一戦にあり」と今から力が入ります。
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