世界ランキング1位がベスト8で姿を消しました。現地時間14日に行われたW杯フランス大会クォーターファイナル、1位のアイルランドは4位のニュージーランド(愛称オールブラックス)に24対28で敗れました。
アイルランドは今回も含めW杯10回に全て出場しています。決勝トーナメントに8回進出していますが、いずれもベスト8で敗れています。
キックオフ前、オールブラックスがハカを舞った際、それに対抗するようにアイルランドは8の字状の円陣を2つ組みました。
アイルランドが、この“8の字円陣”を組み始めたのには理由があります。2016年10月、元代表62キャップのアンソニー・フォーリーさんが42歳の若さで亡くなりました。死因は心臓病と言われています。
フォーリーさんのポジションはナンバーエイト。鎮魂の意味を込めて、この儀式を行うようになりました。
この“8の字円陣”を始めて組んだのが、フォーリーさんが亡くなった翌月、米国シカゴで行われたオールブラックス戦です。
この“弔い合戦”に奮起したアイルランドの選手たちは、5トライを奪う猛攻で40対29で勝利しました。
実はこの勝利が、アイルランドにとっては、オールブラックスとのテストマッチで初めて記録する記念すべき白星でした。
W杯において世界ランキングはあてにならないとはいえ、1位と4位です。アイルランドはテストマッチ17連勝中。英国ブックメーカー、ウィリアムヒルのオッズは、試合直前でアイルランド1.67倍に対し、オールブラックス2.4倍とアイルランドが上回っていました。
オールブラックスは1次リーグの初戦でフランスに敗れ、先行きに不安を抱かせましたが、W杯優勝3回の実力はダテではありません。2戦目のナミビア戦=71対3、3戦目のイタリア戦=96対17、4戦目のウルグアイ戦=73対0と、格下相手に徐々に調子を上げ、アイルランド戦を迎えました。
先制したのはオールブラックス。30フェーズの猛攻で、アイルランドのペナルティーを誘い、8分にスタンドオフのリッチー・モウンガ選手がPGを決めました。33分にはナンバーエイトのアーディー・サヴェア選手がインゴール右隅に飛び込みました。
対するアイルランドも、ニュージーランド出身のセンターのバンディー・アキ選手、スクラムハーフのジェイミソン・ギブソンパーク選手がトライをあげるなど、前半を17対18で終えました。
後半に入ってからも、一進一退の攻防が続きます。最初のトライはオールブラックス。13分、モウンガ選手の突破からウイングのウィル・ジョーダン選手がインゴール右隅に飛び込みました。その後、オールブラックスはペナルティートライを許し、再び1点差に迫られましたが、29分にセンターのジョーディー・バレット選手のPGで4点差にし、28対24で逃げ切りました。
競り勝ったオールブラックスのロック、サム・ホワイトロック選手は以前、「ディフェンスに誇りを持っている」と語っていました。ノックダウン方式のトーナメントに入ると、アタックよりもディフェンスが重要になるというのです。
同じことはイアン・フォスターヘッドコーチも語っていました。
<「私たちには規律があり、冷静さを保ちました。ディフェンスで流れを変え、彼らのラインブレイクを阻止する手段を見つけられたと思います」>(W杯フランス大会公式サイト2023年10月14日配信)
指揮官が述べた「流れを変えたディフェンス」とは30分以降のディフェンスを指しているのでしょう。31分、J・バレット選手がボールの下に潜り込んで、フッカーのローナン・ケラハー選手のトライを未然に防ぎました。そして極めつけは37分から試合終了までの5分間です。37フェーズに及ぶアイルランドの猛攻に耐え抜きました。
トーナメントの山を駆け上がるには、紙一重のゲームを制さなければなりません。またも志半ばでW杯を去るアイルランド。課題は残り、試練は続きます。
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