二宮清純
二宮清純コラム ノーサイドラウンジCOLUMN
2019年7月25日(木)更新

W杯のダークホース・アルゼンチン
「この10年で最も進化したチーム」

 日本W杯の行方を左右する大会――南半球4カ国対抗「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」(TRC)が20日、開幕しました。ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンの強豪4カ国が総当たりで優勝を争います。言うまでもなく、この4カ国は2015年イングランド大会のベスト4。レベルの高いゲームに注目が集まります。

W杯フランス大会3位

 TRCは2012年にスタートしました。ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの3カ国による前身の「トライネーションズ」(1996~2011)にアルゼンチンが加わったことで、現在の大会名称に変わりました。最多優勝国はニュージーランドで 16回。以下オーストラリアの4回、南アフリカの3回と続きます。

 唯一優勝経験がないのが、参戦8年目を迎えたアルゼンチンです。しかし近年のW杯では07年フランス大会3位、11年ニュージーランド大会ベスト8、15年イングランド大会ベスト4と3大会連続で決勝トーナメントに進出するなど、着実に力をつけています。

 ラグビーW杯公式ウェブサイトには<ここ10年、世界で最も進化したチーム>と紹介されています。

 アルゼンチンは過去、W杯全8大会全てに出場しています。99年ウェールズ大会で初のベスト8入り。スタンドオフのゴンサロ・ケサダ選手が102得点をあげ、得点王に輝きました。07年大会では開催国のフランスを初戦で撃破するなど快進撃を続け、3位決定戦でも再びフランスを破りました。スタンドオフのファン・マルティン・エルナンデス選手、センターのフェリペ・コンテポーミ選手は、この年のIRB(国際ラグビーボード。現ワールドラグビー)年間優秀選手に選ばれています。

 アルゼンチンといえば世界屈指のサッカー大国としてその名を知られますが、ラグビーもなかなかのものです。周知のようにラグビーの世界には、世界ランキングとは別に、ティアと呼ばれる階層が存在します。現在のティア1は以下の10チーム。ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド、フランス、イタリアとともにアルゼンチンも名を連ねています。

 アルゼンチンは世界最高峰のラグビーリーグ・スーパーラグビー(SR)にも参戦しています。同国初のプロラグビーチーム・ジャガーズは15年に代表強化を目的として創設されました。日本チーム(ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ)と同様に15年シーズンから参戦し、初年度こそ4勝11敗と大きく負け越しましたが、昨季はベスト8、そして今季は準優勝と頂点が狙える位置にまで来ました。

“死のグループ”

 そんなアルゼンチンをW杯日本大会のダークホースに推す声は少なくありません。15年W杯イングランド大会でジャパンのコーチングコーディネーターを務めた沢木敬介さんもその1人です。

「選手のスキルも高く、アルゼンチンは面白いラグビーしていますね。今季ジャガーズはSRの南カンファレンスで1位になりました。アルゼンチンは今乗りに乗っています。優勝経験国からすれば要注意でしょう」

 キープレーヤーはスタンドオフのニコラス・サンチェス選手です。年齢は30歳。身長177センチと大柄ではありませんが、正確なキックが持ち味の司令塔です。2度のW杯出場(11、15年)を含め、通算キャップ数は75を数えます。通算得点717点はアルゼンチン歴代最高。15年W杯イングランド大会では97得点をあげ、チームをベスト4に導くとともに、自身も得点王に輝きました。

 20日に行われたTRCのニュージーランド戦でも、サンチェス選手の右足に注目が集まりました。まず前半3分、21分のPGを確実に決めました。そして9対20で迎えた後半7分、大きな見せ場を作りました。敵陣に攻め込むと、サンチェス選手はインゴール手前でボールを受け取りました。次の瞬間、すぐさま左サイドへ滞空時間の長いハイパントを蹴りあげました。それをフルバックのエミリアノ・ボフェリ選手がキャッチし、そのままインゴールへ。サンチェス選手のコンバージョンも決まり、16対20と4点差に迫ったのです。最後は逃げ切られてしまったものの、大善戦でした。

 進境著しいアルゼンチンに自らの姿を重ね合わせる指導者がいます。日本代表ヘッドコーチ(HC)のジェイミー・ジョセフさんです。

「アルゼンチンは日本と似たような道を歩んできています。最初の頃は苦しんでいたはずで、とても難しい挑戦をしていたのだと思いますが、去年(15年)のW杯でベスト4に入るという成績を収めました。彼らの成功を見て、私が思うのは、日本も2019年に同じことをやれない理由はないということです」(2016年9月のHC就任会見)

 約2カ月後に迫った極東でのW杯。アルゼンチンはフランス、イングランド、トンガ、アメリカのいるプールCに入りました。決勝トーナメントに進出するには優勝経験のあるイングランド、準優勝2度を誇るフランスのどちらかを撃破しなければなりません。まさに“死のグループ”です。ロス・プーマスの躍動に期待しましょう。

K.Ninomiya二宮清純
                                                 
2019年12月12日(木)更新
プロ化は「総論賛成、各論反対」
「独裁者」川淵三郎に学ぶ突破力
2019年12月5日(木)更新
「ONE TEAM」がラグビー界初の流行語大賞に
4年前、内定の「五郎丸」が“落選”した理由
2019年11月28日(木)更新
サンウルブズ、日本人首脳陣で発進
世界を相手に“やってみなはれ!”
2019年11月21日(木)更新
清宮副会長が描く「プロリーグ構想」
プロ化のリスクと“しなかった”リスク
2019年11月14日(木)更新
廣瀬俊朗が語る「激闘の44日」
「南アフリカには強い芯があった」
2019年11月7日(木)更新
ラグビー列島と化した44日間
「最も偉大なW杯」の余熱利用
2019年10月31日(木)更新
NZ倒した周到なエディーマジック
イングランド4大会ぶりVなるか
2019年10月24日(木)更新
制空権を握られ、南アに完敗
次なる課題はラインアウト
2019年10月17日(木)更新
加速する“Wフェラーリ”
南アの防御網を切り裂け
2019年10月10日(木)更新
リーチ支えるラピース
「ワンチーム」の輝き
2019年10月3日(木)更新
アイルランド戦勝利の陰の立役者
長谷川慎コーチは“スクラム技師”
2019年9月26日(木)更新
NZ“生ハカ”のど迫力!
和製ハカを作るとしたら
2019年9月19日(木)更新
ラグビー100年の大計
母親、女性を“身内”に
2019年9月12日(木)更新
釜石の成功こそがW杯の成功
松尾雄治、“釜石愛”を語る
2019年9月5日(木)更新
ビールグラスは左手で!
紳士のスポーツのマナー
2019年8月29日(木)更新
トンガはナンバーエイト王国
「神様からの贈り物」マフィ
2019年8月22日(木)更新
W杯で地域振興と国際交流を
キャンプ地自治体、期待と不満
2019年8月15日(木)更新
“ブライトンの奇跡”生んだ
乾坤一擲のサインプレー
2019年8月8日(木)更新
万能型バックス松島幸太朗
世界が驚く「Xファクター」
2019年8月1日(木)更新
ラグビーの「資源」を「資産」に!
ソーシャル・イノベーション計画
2019年7月25日(木)更新
W杯のダークホース・アルゼンチン
「この10年で最も進化したチーム」
2019年7月18日(木)更新
7人制、東京五輪で表彰台へ
猛暑も「備えあれば憂いなし」
2019年7月11日(木)更新
ジャパン、新戦闘服で初陣へ
機能性と視覚効果にこだわり
2019年7月4日(木)更新
ラグビー協会、若返り人事発表
「助さん、格さん」で攻めの改革
2019年6月27日(木)更新
サンウルブズの誤算と収穫
ジャパンとの連携に課題も
2019年6月20日(木)更新
W杯ロシアは縁起のいい相手
暑さを味方に「走らせろ!」
2019年6月13日(木)更新
W杯本番まで100日
宮崎合宿スタート!
2019年6月6日(木)更新
“地獄の宮崎”で
「ワンチーム」に!
2019年5月30日(木)更新
新世界大会実現に向け
試される日本の交渉力
2019年5月23日(木)更新
「鉄と魚とラグビーのまち」
釜石に大漁旗がはためく日
2019年5月16日(木)更新
「足で稼ぐ」松田力也
「田村優に対抗できる」
2019年5月9日(木)更新
三洋電機、TL初優勝秘話
「無口な男」の最後の熱弁
2019年4月26日(金)更新
<ジャパン激闘史④>
ライバルこそ成長の糧
海外挑戦のパイオニア
2019年4月25日(木)更新
対立をエネルギーに!
舞台裏のトークバトル
2019年4月18日(木)更新
W杯の借りはW杯で返す
運命のスコットランド戦
2019年4月12日(金)更新
<ジャパン激闘史③>
オーストラリアで咲いた
ブレイブ・ブロッサムズ
2019年4月11日(木)更新
トライゲッター山田章仁
新天地でV!33歳の挑戦
2019年4月4日(木)更新
世界に通用するスクラム
長谷川コーチの“職人魂”
2019年3月29日(金)更新
<ジャパン激闘史②>
W杯初勝利を呼んだ
宿澤監督の「偵察力」
2019年3月28日(木)更新
アイルランドの弱点
「セクストンを潰せ」
2019年3月22日(金)更新
<ジャパン激闘史①>
「ブライトンの奇跡」秘話
正座が生んだ最適スクラム
2019年3月21日(木)更新
ジェイミー・ジャパンに
グレイシー柔術式トレ
2019年3月14日(木)更新
NZがやってくる!
大分の“おもてなし”
2019年3月7日(木)更新
ラガーマンの誇り
タックルを語ろう
2019年2月28日(木)更新
存在感示した中村亮土
「夢の舞台」への条件
2019年2月21日(木)更新
ジャパン支えるブラウニーの
「異次元頭脳」とタフガイ伝説
2019年2月14日(木)更新
ジャパン復帰への布石か!?
トモさん、サンウルブズ入り
2019年2月7日(木)更新
“再建人”清宮克幸
新たなるミッション
2019年1月31日(木)更新
脱エリートの心意気
代表復帰狙う藤田慶和
2019年1月24日(木)更新
トップリーグ総括
カップ戦導入の意義
2019年1月17日(木)更新
明大日本一とW杯大金星
共通する“裏方”の存在
2019年1月10日(木)更新
誰もが認めるリーダー
主将リーチ・マイケル
2018年12月27日(木)更新
日野「街の誇り」をかけた戦い
地域密着でトップリーグに新風
2018年12月20日(木)更新
ジャパンへの登竜門・TL新人賞
トライゲッター岡田優輝の「嗅覚」
2018年12月13日(木)更新
成長を求めた神戸製鋼移籍
代表「激戦区」に挑む日和佐
2018年12月6日(木)更新
ジャパンの命運握るSO田村優
引き出しの多さで世界に挑む!
2018年11月29日(木)更新
ジャパンの2018年を振り返る
レフェリー分析が目標達成のカギ
2018年11月22日(木)更新
イングランド戦、後半失速の理由
指揮官に求められる「カード捌き」
2018年11月15日(木)更新
帝京大、対抗戦V8に王手
カギ握る竹山晃暉のキック
2018年11月8日(木)更新
現代ラグビーのキーワード
「オフロードパス」の極意
2018年11月1日(木)更新
11.3最強軍団オールブラックス戦
ジャパンよ、躍進のヒントを掴め!
2018年10月25日(木)更新
“生ける伝説”ダン・カーター
「平成最後の冬」を堪能しよう
2018年10月18日(木)更新
“スパルタ”から“自立を求める”指導へ
W杯ベスト8に挑むジェイミー・ジャパン
J:COM ラグビーガイド
PageTop

J:COMへのお申し込み

特典・キャンペーン

特典・キャンペーン

個別サービスのお申し込み

資料請求

加入申込

サービス追加・変更

料金シミュレーション

問い合わせ