スポーツの世界において、「正選手」の対義語は「補欠」であり、レギュラーになれない選手を「控え」と呼ぶこともあります。しかし、試合に出なくても、メンバーにはそれぞれに居場所と役割があるはずです。もはや「正選手」という呼び名は死語になりつつあるのではないでしょうか。
11月2日から22日にかけてのジャパンの欧州遠征(イングランド、フランス)には40人の選手が招集され、テストマッチ2試合で26人の選手が出場しました。逆に言えば、14人には出番がありませんでした。
以下は、2試合でフル出場したリーチ・マイケル選手のコメントです。
「メンバーの入れ替えが少ない分、出ていないメンバーにストレスが溜まる。にもかかわらずチームに対していいコミットをしてくれている。裏の(ノン)メンバーの準備がすごく良かった」
根塚洸雅選手によると、出場機会を得られなかったノンメンバーを「柱」と名付けたのは、日野剛志選手だそうです。命名の由来は?
「家の柱って表から見えるものではありませんが、柱がないと家は倒れてしまいます。見えないところの重要性を表現したものです。試合に出ないので、皆さんに見られることはありませんが、芯としてしっかり立っておかないと、チームは崩れてしまう。ノンメンバーが柱として支えることで、いい家が建つんです」(根塚選手)
昔風にいえば“縁の下の力持ち”ということでしょう。
再び根塚選手です。
「相手チームを研究することが、日本の勝ちにつながる。そういうところからしっかりやっていきました。週に1、2回ある強度の高い練習の時、僕たち“柱”がどれだけプレッシャーをかけられるかで、週末の試合の入りのコンタクトレベルが決まってくる。僕たちは僕たちで“今日はゲームデー”という気持ちで臨む。その練習でいいプレーをすれば、次のメンバー入りにも絡んでいけると考えていました」
根塚選手が所属するクボタスピアーズ船橋・東京ベイでは、試合登録外のメンバーを「ウィングス」と呼んでいます。
「僕はケガもありましたが昨年度、第7節までノンメンバーでした。試合に出ないメンバーが試合に出るメンバーに対し、プレッシャーをかけたり、相手をしっかり真似たりしてくれるかどうかが大事。チームがバラバラになってしまうと勝てるものも勝てません。今回、(ジャパンで)ノンメンバーになってもそこは感じました。試合に出ている人だけが試合をしているわけではないんです。そこはチーム全員で試合をしているんだと……」
近年のラグビーは総力戦です。戦術的交代が可能になったのは1996年。現在はリザーブ8人全員の交代が可能となり、それに従って指揮官のカード捌きの腕が問われるようになってきました。リザーブの選手のことを、南アフリカ代表では「ボム・スコッド」、イングランド代表では「フィニッシャー」と呼びます。ジェイミー・ジャパンにおける「柱」も、その文脈で肯定的に捉えるべきでしょう。
データが取得できませんでした
以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。