欧州の強豪6カ国・地域による対抗戦、シックスネーションズが2月5日(現地時間)に欧州各地で開幕しました。2023年W杯フランス大会でジャパンと同組のイングランド代表は第1節でスコットランド代表に17対20で敗れましたが、第2節はイタリア代表に33対0と完封勝ちを収めました。2節終了時点で勝ち点6の2位につけています。
2年ぶりのシックスネーションズ制覇を目指すイングランドは5位に終わった昨年に続き、第1節でスコットランドに敗れました。昨年エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は20名以上の選手を代表デビューさせ、話題を呼びました。来年秋のW杯フランス大会を見据えたものでしょう。
今回のシックスネーションズでは、ジョーンズHC体制でキャプテンを担ってきたオーウェン・ファレル選手をケガで欠くという事情もあり、23歳のフランカー、トム・カリー選手がキャプテンマークをつけました。以前、当コラムで紹介した23歳の司令塔マーカス・スミス選手らに代表されるように、“レッドローズ”は着々と世代交代を進めています。
しかし、敵地でのスコットランド戦は、その若さが裏目に出たようにも感じました。後半25分まで17対10とリードしながら、26分に認定トライを与えて同点に追いつかれ、イエローカードにより1人少ない数的不利の状況に。32分にPGを決められ、スコットランドに逆転負けを喫しました。ゲームの締めくくり方を間違えたようです。
ジョーンズHCは早速、動きます。スコットランド戦から1週間後のイタリア戦ではスタメン6人を入れ替えました。ロックのマロ・イトジェ選手をフランカーで起用し、フッカーにはジェイミー・ジョージ選手を入れました。ジョージ選手は15年イングランド大会、19年日本大会とW杯2大会に出場している31歳のベテラン。19年日本大会は主力として準優勝に貢献しました。イングランドにおけるセットプレーの中心人物。スクラムでは最前列に立ち、ラインアウトではスロワーを務めます。183cm、114kgと第一列の選手らしい体型ですが、トライを獲る能力にも優れ、20年11月のジョージア代表戦において、イングランド代表フッカーとして初のハットトリックを達成しました。
敵地ローマでのイタリア戦。ジョージ選手の先発起用は吉と出ました。スコットランド戦では88.2%だったマイボールラインアウトの成功率が100%(ジョージ選手出場時)になったのです。攻めては2トライを奪う活躍ぶりで、後半16分に交代するまで、存在感を示し続けました。英デイリー・メールオンラインの採点では、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたスミス選手の9点(10点満点)に次ぐ8.5点。文句のつけようがありませんでした。
おさらいがてら、この2つのトライを振り返りましょう。まずは20分、敵陣右サイドで得たラインアウトでジョージ選手がロックのニック・イジクウェ選手にパス。この後、強力FW陣が体をぶつけて、じわりじわりとインゴールに迫ります。最後はゴールポスト左脇にジョージ選手がねじ込みました。
続いては前半終了間際。敵陣でジョージ選手がインターセプトに成功して得たボールを、スタンドオフのスミス選手が右に展開し、プロップのエリス・ゲンジ選手が飛ばしパスで大外に放ると、そこに待っていたのはジョージ選手。ウイングのモンティ・イオアネ選手のタックルをものともせず、インゴール右隅に滑り込みました。このプレーに対し、WOWOWで解説を務めていた元ジャパンのキャプテン菊谷崇さんは「このエリアにフッカーがいるのは珍しい」と驚きの声を上げていました。
ジョージ選手の活躍で前半を21対0でリードして折り返したイングランドは、後半も攻め続けます。5分、ウイングのエリオット・デイリー選手がスミス選手のパスを受け、インゴール左隅にトライ。33分にはプロップのカイル・シンクラー選手がゴールポストの間に飛び込み、トドメを刺しました。スコアは33対0。ボーナスポイントも獲得し、勝ち点5を手にしました。
W杯フランス大会でジャパンがイングランドに一泡吹かせるには、ジョージ選手を止めなければなりません。では、どう止めるのか。攻撃に偏った選手ではなく、松島幸太朗選手のようなFW相手にも当たり負けしないフィジカルを持つ選手をウイングやフルバックに置く必要があるでしょう。いよいよスカウティングも本格化していきます。
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