二宮清純
二宮清純コラム ノーサイドラウンジCOLUMN
2019年1月31日(木)更新

脱エリートの心意気
代表復帰狙う藤田慶和

 W杯イヤーがスタートし、はやくも1カ月が経ちました。9月20日の開幕に向けてジャパンの選手たちは、調整に余念がありません。

「ラグビー界のダルビッシュ」

 ジャパン強化のため発足したヒト・コミュニケーションズ サンウルブズはスーパーラグビーの新シーズンに向け、千葉で合宿を行っています。1月28日にスタートした3次合宿に元代表選手の姿がありました。パナソニック ワイルドナイツでプレーする藤田慶和選手です。周知のように彼は12月に発表されたジャパンの第3次スコッドにも、今シーズンのサンウルブズのスコッドにも選ばれていません。 しかし 「最後の最後までW杯を目指したい」(日刊スポーツ1月29日)と、交通費などは自腹を切って参加しました。

 藤田選手は 史上最年少の18歳6カ月で代表入りを果たし 、前回のイングランド大会にも出場しました。当時のHC エディー・ジョーンズさんは「人を抜けるスピードがある。 2015年には世界でも指折りのウイングになるポテンシャルを持っている」と、そのプレースタイルを高く評価していました。

 ジャパンのウイングとして活躍した大畑大介さんによると、藤田選手は「ラグビー界のダルビッシュ有」だそうです。どこがダルビッシュ有なのでしょう。

「体格はもちろん、すべてにおいて日本人離れしています。体が大きくても動きは俊敏。スピードに乗るのも早い。大きな可能性を感じる素晴らしい選手ですね。今(2012年)の段階では間違いなく2019年のエースです。まず、プレーひとつひとつのスケールが大きい。ボールを持つと“この子、何かするんじゃないかな”と期待感を持たせてくれる。そんな選手は本当に久しぶりです 」

 チーム最年少で参加した2015年イングランド大会ではアメリカ戦のみの出場でしたが、存在感を発揮しました。7対8とリードを許した直後、キックオフのボールを奪ったのは藤田選手でした。その流れからジャパンはモールを組んで押し込み、最後尾につけていた藤田選手がフィニッシュしました。

「3勝したからとって浮かれるのではなく、結果的に目標にしていたベスト8に入れなかった悔しさを持ち続けたい。これまでは(先輩たちに)引っ張ってきてもらえたが、これからは引っ張る立場としてチームに貢献したい」

 将来のジャパンのリーダーとしての自覚も十分でした。しかし、その後も順風満帆というわけにはいきませんでした。

「カバン持ちでも何でもいい」

 どうやらジェイミー・ジョセフ HCは前任者ほどには藤田選手を買ってはいないようです。ウイング、フルバックのポジションは同世代の福岡堅樹選手(パナソニック)、松島幸太郎選手(サントリーサンゴリアス)らがレギュラーとして定着しています。昨秋のテストマッチでも藤田選手に声はかかりませんでした。

 パナソニックでの出場も今季はリーグ戦9試合中3試合にとどまりました。今季日程終了後、藤田選手はこうシーズンを振り返りました。

「試合に出られない選手の気持ちや、人間関係のこともすごく学べた。結果としては良くありませんでしたけど、学びの1年だったかなと思います。たぶんジャンプする前に(勢いをつけるため)沈むので、今はその沈んでいるときかなと思います。だからあとは上がるだけ」

 その言葉通りに藤田選手は1月13日、19日のトップリーグカップ戦2試合で4トライをあげる活躍を演じました。復活の理由を「マインドセットにあった」と本人は自ら明かしました。

「とにかくボールタッチを増やそうと。ただ端で待っているだけだとなかなかボールが回ってこない状況がある。ボールに触れれば、何かできると思うんです。やらなくて後悔するぐらいならやって後悔したい。その意識が生まれた結果だと思います」

 それを具現化するようなプレーが今季最終戦となったクボタスピアーズとのトップリーグカップ3位決定戦で見られました。

 前半15分の先制トライは味方がインターセプトから仕掛けたカウンターアタックにしっかりとフォローにいき、トライに結びつけました。後半18分には敵陣深くに攻め込んだ味方のパスを近場で呼び込み、インゴール左中間にグラウンディングしました。

 W杯を見据え、藤田選手は「とにかくサンウルブズでもNDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド。次期代表候補)でもトップリーグ選抜でも声がかかったら行って自分のプレーを見てもらいたい。少ないチャンスかもしれないですけど、そこに賭けてみたい」と語っていました。

 そして、こう続けました。「カバン持ちでも何でもいいので、とりあえず近くで自分を見てもらいたい」。果たして、この熱意はジェイミー HCに届くのでしょうか。

K.Ninomiya二宮清純
2019年12月12日(木)更新
プロ化は「総論賛成、各論反対」
「独裁者」川淵三郎に学ぶ突破力
2019年12月5日(木)更新
「ONE TEAM」がラグビー界初の流行語大賞に
4年前、内定の「五郎丸」が“落選”した理由
2019年11月28日(木)更新
サンウルブズ、日本人首脳陣で発進
世界を相手に“やってみなはれ!”
2019年11月21日(木)更新
清宮副会長が描く「プロリーグ構想」
プロ化のリスクと“しなかった”リスク
2019年11月14日(木)更新
廣瀬俊朗が語る「激闘の44日」
「南アフリカには強い芯があった」
2019年11月7日(木)更新
ラグビー列島と化した44日間
「最も偉大なW杯」の余熱利用
2019年10月31日(木)更新
NZ倒した周到なエディーマジック
イングランド4大会ぶりVなるか
2019年10月24日(木)更新
制空権を握られ、南アに完敗
次なる課題はラインアウト
2019年10月17日(木)更新
加速する“Wフェラーリ”
南アの防御網を切り裂け
2019年10月10日(木)更新
リーチ支えるラピース
「ワンチーム」の輝き
2019年10月3日(木)更新
アイルランド戦勝利の陰の立役者
長谷川慎コーチは“スクラム技師”
2019年9月26日(木)更新
NZ“生ハカ”のど迫力!
和製ハカを作るとしたら
2019年9月19日(木)更新
ラグビー100年の大計
母親、女性を“身内”に
2019年9月12日(木)更新
釜石の成功こそがW杯の成功
松尾雄治、“釜石愛”を語る
2019年9月5日(木)更新
ビールグラスは左手で!
紳士のスポーツのマナー
2019年8月29日(木)更新
トンガはナンバーエイト王国
「神様からの贈り物」マフィ
2019年8月22日(木)更新
W杯で地域振興と国際交流を
キャンプ地自治体、期待と不満
2019年8月15日(木)更新
“ブライトンの奇跡”生んだ
乾坤一擲のサインプレー
2019年8月8日(木)更新
万能型バックス松島幸太朗
世界が驚く「Xファクター」
2019年8月1日(木)更新
ラグビーの「資源」を「資産」に!
ソーシャル・イノベーション計画
2019年7月25日(木)更新
W杯のダークホース・アルゼンチン
「この10年で最も進化したチーム」
2019年7月18日(木)更新
7人制、東京五輪で表彰台へ
猛暑も「備えあれば憂いなし」
2019年7月11日(木)更新
ジャパン、新戦闘服で初陣へ
機能性と視覚効果にこだわり
2019年7月4日(木)更新
ラグビー協会、若返り人事発表
「助さん、格さん」で攻めの改革
2019年6月27日(木)更新
サンウルブズの誤算と収穫
ジャパンとの連携に課題も
2019年6月20日(木)更新
W杯ロシアは縁起のいい相手
暑さを味方に「走らせろ!」
2019年6月13日(木)更新
W杯本番まで100日
宮崎合宿スタート!
2019年6月6日(木)更新
“地獄の宮崎”で
「ワンチーム」に!
2019年5月30日(木)更新
新世界大会実現に向け
試される日本の交渉力
2019年5月23日(木)更新
「鉄と魚とラグビーのまち」
釜石に大漁旗がはためく日
2019年5月16日(木)更新
「足で稼ぐ」松田力也
「田村優に対抗できる」
2019年5月9日(木)更新
三洋電機、TL初優勝秘話
「無口な男」の最後の熱弁
2019年4月26日(金)更新
<ジャパン激闘史④>
ライバルこそ成長の糧
海外挑戦のパイオニア
2019年4月25日(木)更新
対立をエネルギーに!
舞台裏のトークバトル
2019年4月18日(木)更新
W杯の借りはW杯で返す
運命のスコットランド戦
2019年4月12日(金)更新
<ジャパン激闘史③>
オーストラリアで咲いた
ブレイブ・ブロッサムズ
2019年4月11日(木)更新
トライゲッター山田章仁
新天地でV!33歳の挑戦
2019年4月4日(木)更新
世界に通用するスクラム
長谷川コーチの“職人魂”
2019年3月29日(金)更新
<ジャパン激闘史②>
W杯初勝利を呼んだ
宿澤監督の「偵察力」
2019年3月28日(木)更新
アイルランドの弱点
「セクストンを潰せ」
2019年3月22日(金)更新
<ジャパン激闘史①>
「ブライトンの奇跡」秘話
正座が生んだ最適スクラム
2019年3月21日(木)更新
ジェイミー・ジャパンに
グレイシー柔術式トレ
2019年3月14日(木)更新
NZがやってくる!
大分の“おもてなし”
2019年3月7日(木)更新
ラガーマンの誇り
タックルを語ろう
2019年2月28日(木)更新
存在感示した中村亮土
「夢の舞台」への条件
2019年2月21日(木)更新
ジャパン支えるブラウニーの
「異次元頭脳」とタフガイ伝説
2019年2月14日(木)更新
ジャパン復帰への布石か!?
トモさん、サンウルブズ入り
2019年2月7日(木)更新
“再建人”清宮克幸
新たなるミッション
2019年1月31日(木)更新
脱エリートの心意気
代表復帰狙う藤田慶和
2019年1月24日(木)更新
トップリーグ総括
カップ戦導入の意義
2019年1月17日(木)更新
明大日本一とW杯大金星
共通する“裏方”の存在
2019年1月10日(木)更新
誰もが認めるリーダー
主将リーチ・マイケル
2018年12月27日(木)更新
日野「街の誇り」をかけた戦い
地域密着でトップリーグに新風
2018年12月20日(木)更新
ジャパンへの登竜門・TL新人賞
トライゲッター岡田優輝の「嗅覚」
2018年12月13日(木)更新
成長を求めた神戸製鋼移籍
代表「激戦区」に挑む日和佐
2018年12月6日(木)更新
ジャパンの命運握るSO田村優
引き出しの多さで世界に挑む!
2018年11月29日(木)更新
ジャパンの2018年を振り返る
レフェリー分析が目標達成のカギ
2018年11月22日(木)更新
イングランド戦、後半失速の理由
指揮官に求められる「カード捌き」
2018年11月15日(木)更新
帝京大、対抗戦V8に王手
カギ握る竹山晃暉のキック
2018年11月8日(木)更新
現代ラグビーのキーワード
「オフロードパス」の極意
2018年11月1日(木)更新
11.3最強軍団オールブラックス戦
ジャパンよ、躍進のヒントを掴め!
2018年10月25日(木)更新
“生ける伝説”ダン・カーター
「平成最後の冬」を堪能しよう
2018年10月18日(木)更新
“スパルタ”から“自立を求める”指導へ
W杯ベスト8に挑むジェイミー・ジャパン
J:COM ラグビーガイド
PageTop

J:COMへのお申し込み

特典・キャンペーン

特典・キャンペーン

個別サービスのお申し込み

資料請求

加入申込

サービス追加・変更

料金シミュレーション

問い合わせ