W杯の次はオリンピックです。3月6日から13日まで大分・別府で行われている7人制(セブンズ)代表合宿に福岡堅樹選手が参加しています。フェラーリ級のスピードとW杯で証明した決定力を武器に、東京五輪でのメンバー入りをアピールしています。
別府での合宿に先立ち、福岡選手は2月29日からの2日間、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで行われたセブンズ代表候補合宿に参加しました。自身のTwitterにて<ようやくセブンス合宿合流! ここから徐々に仕上げていけるように頑張ります!!>(原文ママ)と思いを綴りました。「ようやく」という言葉に実感がこもっています。
15人制からセブンズへのチャレンジを明言していた福岡選手は、1月12日に開幕したトップリーグに2節限定で出場しました。本来なら18日のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦後、セブンズ代表に合流する予定でしたが、この試合で左ヒザを負傷したため、24日からの埼玉・熊谷合宿を見送り、リハビリを余儀なくされていました。
セブンズはその名の通り、7対7のラグビーです。チームはフォワード3人、バックス4人で構成され、スクラムは3人で組みます。基本的なルール、フィールドの大きさは15人制と同じですが、試合時間は7分ハーフ(決勝戦を10分ハーフにする場合もある)と大幅に短いのが特徴です。同じラグビーでも15人制とは似て非なるものと言っていいでしょう。
当然、求められる選手の能力も異なります。福岡選手は自らのポジションを例に、両種目の違いをこう述べています。
「15人制ではウイングの選手であっても、フィジカルの強さが非常に大事になってきます。ブレイクダウンの仕事も多いし、ボールキープやジャッカルのスキルも要る。また空中戦も多いため、相手に当たり負けしない体が求められます。7人制は15人制と比べ広いスペースが与えられるため、何度も何度もトップスピードを出せる体に仕上げなければいけません」
要するに15人制からセブンズ仕様の体にモデルチェンジする必要があるというのです。
2016年のリオデジャネイロ五輪、福岡選手はセブンズの4位入賞に貢献しました。4位も立派な成績ですが、福岡選手によると、「周囲の活躍に埋もれて悔しい思いをした」と言います。「やはり五輪はメダルを獲らないとダメですね」
ジャパンの名ウイングでセブンズ日本代表でも活躍した大畑大介さんに福岡選手について聞くと、「一度オリンピックを経験しているのは強み」としながらも、「少し7人制から離れていた時間が長いのが気がかり」と語っていました。
「15人制は困ったら、前なんです。陣取り合戦ですから。ボールキャリアーが困って後ろに下がることはほとんどない。しかし、7人制の場合は困って後ろもOKなんですよ。15人制は動く角度でいうと120度くらい。少しでも前に行こう、という気持ちが強い。翻って7人制の場合、360度の方向が選択肢としてあるんです。そうした頭の中のスイッチをいかに切り替えられるかがポイント。15人制のように瞬間的に前へ行くと、相手との間合いが詰まり、攻撃が止まってしまう。それを防ぐには、後ろに下がる選択肢があってもいい。前のスペースを広げることで、攻撃が継続できるんです。すなわち15人制から7人制に変わるうえで、一番大事なのは体ではなく、頭なんです」
まさに似て非なるスポーツというわけですが、ウイングならではの視点から、次のような分析も。
「同じスピードでも15人制は初速が大事。相手を抜き去ればトライに結びつきます。だが7人制は後半に伸びないとダメ。真っすぐ走っていても、斜めから追いかけられると追いつかれてしまうんです。これはセブンズを経験した者じゃないとわかりませんが、走りの質を変える必要があります」
初速勝負ではなく、加速するフェラーリへ――。東京五輪まで、あと134日です。
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