二宮清純
二宮清純コラム ノーサイドラウンジCOLUMN
2020年3月12日(木)更新

福岡堅樹、五輪メダルに向け始動
「初速より加速」が成功のカギ

 W杯の次はオリンピックです。3月6日から13日まで大分・別府で行われている7人制(セブンズ)代表合宿に福岡堅樹選手が参加しています。フェラーリ級のスピードとW杯で証明した決定力を武器に、東京五輪でのメンバー入りをアピールしています。

似て非なる種目

 別府での合宿に先立ち、福岡選手は2月29日からの2日間、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで行われたセブンズ代表候補合宿に参加しました。自身のTwitterにて<ようやくセブンス合宿合流! ここから徐々に仕上げていけるように頑張ります!!>(原文ママ)と思いを綴りました。「ようやく」という言葉に実感がこもっています。

 15人制からセブンズへのチャレンジを明言していた福岡選手は、1月12日に開幕したトップリーグに2節限定で出場しました。本来なら18日のトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦後、セブンズ代表に合流する予定でしたが、この試合で左ヒザを負傷したため、24日からの埼玉・熊谷合宿を見送り、リハビリを余儀なくされていました。

 セブンズはその名の通り、7対7のラグビーです。チームはフォワード3人、バックス4人で構成され、スクラムは3人で組みます。基本的なルール、フィールドの大きさは15人制と同じですが、試合時間は7分ハーフ(決勝戦を10分ハーフにする場合もある)と大幅に短いのが特徴です。同じラグビーでも15人制とは似て非なるものと言っていいでしょう。

 当然、求められる選手の能力も異なります。福岡選手は自らのポジションを例に、両種目の違いをこう述べています。

「15人制ではウイングの選手であっても、フィジカルの強さが非常に大事になってきます。ブレイクダウンの仕事も多いし、ボールキープやジャッカルのスキルも要る。また空中戦も多いため、相手に当たり負けしない体が求められます。7人制は15人制と比べ広いスペースが与えられるため、何度も何度もトップスピードを出せる体に仕上げなければいけません」

 要するに15人制からセブンズ仕様の体にモデルチェンジする必要があるというのです。

選択肢は360度

 2016年のリオデジャネイロ五輪、福岡選手はセブンズの4位入賞に貢献しました。4位も立派な成績ですが、福岡選手によると、「周囲の活躍に埋もれて悔しい思いをした」と言います。「やはり五輪はメダルを獲らないとダメですね」

 ジャパンの名ウイングでセブンズ日本代表でも活躍した大畑大介さんに福岡選手について聞くと、「一度オリンピックを経験しているのは強み」としながらも、「少し7人制から離れていた時間が長いのが気がかり」と語っていました。

「15人制は困ったら、前なんです。陣取り合戦ですから。ボールキャリアーが困って後ろに下がることはほとんどない。しかし、7人制の場合は困って後ろもOKなんですよ。15人制は動く角度でいうと120度くらい。少しでも前に行こう、という気持ちが強い。翻って7人制の場合、360度の方向が選択肢としてあるんです。そうした頭の中のスイッチをいかに切り替えられるかがポイント。15人制のように瞬間的に前へ行くと、相手との間合いが詰まり、攻撃が止まってしまう。それを防ぐには、後ろに下がる選択肢があってもいい。前のスペースを広げることで、攻撃が継続できるんです。すなわち15人制から7人制に変わるうえで、一番大事なのは体ではなく、頭なんです」

 まさに似て非なるスポーツというわけですが、ウイングならではの視点から、次のような分析も。

「同じスピードでも15人制は初速が大事。相手を抜き去ればトライに結びつきます。だが7人制は後半に伸びないとダメ。真っすぐ走っていても、斜めから追いかけられると追いつかれてしまうんです。これはセブンズを経験した者じゃないとわかりませんが、走りの質を変える必要があります」

 初速勝負ではなく、加速するフェラーリへ――。東京五輪まで、あと134日です。

K.Ninomiya二宮清純
                             
2020年5月28日(木)更新
<社会人ラグビー激闘史①>
銀コレクター、三洋の悲劇
ナモア、届かなかった奥襟
2020年5月21日(木)更新
ラグビーでまちづくり
パナ、熊谷と連携強化
2020年5月14日(木)更新
早大相良監督、苦境下の泰然
「今は主体性を育む時期」
2020年5月7日(木)更新
早大新主将・丸尾崇真の議
「僕は僕らしくいきたい!」
2020年4月23日(木)更新
トヨタ期待のロック秋山大地
「憧れの存在を追いかける」
2020年4月16日(木)更新
パナ、新型コロナ対策と指針
飯島GM「信頼を深める機会に」
2020年4月9日(木)更新
ジャパンの一大勢力に成長
帝京大OB会長が語る未来
2020年4月2日(木)更新
堀江翔太、国民へメッセージ
今こそ、「don't look down」
2020年3月26日(木)更新
TL中止、ヤマハ長谷川慎コーチ告白
「準備することが自分たちの使命」
2020年3月19日(木)更新
TL3月中の開催休止決定
「薬物」連帯責任に選手反発
2020年3月12日(木)更新
福岡堅樹、五輪メダルに向け始動
「初速より加速」が成功のカギ
2020年3月5日(木)更新
新型コロナ感染拡大でTL延期
国難には「ワンチーム」精神
2020年2月27日(木)更新
フランスでさらなる躍進を
松島幸太朗の「開拓者魂」
2020年2月20日(木)更新
フランスで躍動するために
SH齋藤直人の「切磋琢磨」
2020年2月13日(木)更新
神戸製鋼、TL記録的大勝の波紋
「好きなようにやられた」ドコモ
2020年2月6日(木)更新
TL開幕好発進のパナソニック
流動性で活性化図るチーム文化
2020年1月30日(木)更新
21年秋スタートのラグビー新リーグ
プロ化見送りも「地域密着」は継続
2020年1月23日(木)更新
トンプソン、圧勝で引退に花添える
不屈の「あしながおじさん」牧場主に
2020年1月16日(木)更新
TL、“11万人超え”で好発進
「ブームを文化」にするために
2020年1月9日(木)更新
“笑わない男”稲垣啓太、再起動
祝TL開幕「皆さんに感動を!」
2019年12月26日(木)更新
さらば旧国立、ようこそ新国立
松尾雄治、「聖地」への惜別の辞
2019年12月19日(木)更新
田中史朗“泣き虫”は師匠譲りか
トップリーグ開幕戦、満員で涙?
2019年12月12日(木)更新
プロ化は「総論賛成、各論反対」
「独裁者」川淵三郎に学ぶ突破力
2019年12月5日(木)更新
「ONE TEAM」がラグビー界初の流行語大賞に
4年前、内定の「五郎丸」が“落選”した理由
2019年11月28日(木)更新
サンウルブズ、日本人首脳陣で発進
世界を相手に“やってみなはれ!”
2019年11月21日(木)更新
清宮副会長が描く「プロリーグ構想」
プロ化のリスクと“しなかった”リスク
2019年11月14日(木)更新
廣瀬俊朗が語る「激闘の44日」
「南アフリカには強い芯があった」
2019年11月7日(木)更新
ラグビー列島と化した44日間
「最も偉大なW杯」の余熱利用
2019年10月31日(木)更新
NZ倒した周到なエディーマジック
イングランド4大会ぶりVなるか
2019年10月24日(木)更新
制空権を握られ、南アに完敗
次なる課題はラインアウト
2019年10月17日(木)更新
加速する“Wフェラーリ”
南アの防御網を切り裂け
2019年10月10日(木)更新
リーチ支えるラピース
「ワンチーム」の輝き
2019年10月3日(木)更新
アイルランド戦勝利の陰の立役者
長谷川慎コーチは“スクラム技師”
2019年9月26日(木)更新
NZ“生ハカ”のど迫力!
和製ハカを作るとしたら
2019年9月19日(木)更新
ラグビー100年の大計
母親、女性を“身内”に
2019年9月12日(木)更新
釜石の成功こそがW杯の成功
松尾雄治、“釜石愛”を語る
2019年9月5日(木)更新
ビールグラスは左手で!
紳士のスポーツのマナー
2019年8月29日(木)更新
トンガはナンバーエイト王国
「神様からの贈り物」マフィ
2019年8月22日(木)更新
W杯で地域振興と国際交流を
キャンプ地自治体、期待と不満
2019年8月15日(木)更新
“ブライトンの奇跡”生んだ
乾坤一擲のサインプレー
2019年8月8日(木)更新
万能型バックス松島幸太朗
世界が驚く「Xファクター」
2019年8月1日(木)更新
ラグビーの「資源」を「資産」に!
ソーシャル・イノベーション計画
2019年7月25日(木)更新
W杯のダークホース・アルゼンチン
「この10年で最も進化したチーム」
2019年7月18日(木)更新
7人制、東京五輪で表彰台へ
猛暑も「備えあれば憂いなし」
2019年7月11日(木)更新
ジャパン、新戦闘服で初陣へ
機能性と視覚効果にこだわり
2019年7月4日(木)更新
ラグビー協会、若返り人事発表
「助さん、格さん」で攻めの改革
2019年6月27日(木)更新
サンウルブズの誤算と収穫
ジャパンとの連携に課題も
2019年6月20日(木)更新
W杯ロシアは縁起のいい相手
暑さを味方に「走らせろ!」
2019年6月13日(木)更新
W杯本番まで100日
宮崎合宿スタート!
2019年6月6日(木)更新
“地獄の宮崎”で
「ワンチーム」に!
2019年5月30日(木)更新
新世界大会実現に向け
試される日本の交渉力
2019年5月23日(木)更新
「鉄と魚とラグビーのまち」
釜石に大漁旗がはためく日
2019年5月16日(木)更新
「足で稼ぐ」松田力也
「田村優に対抗できる」
2019年5月9日(木)更新
三洋電機、TL初優勝秘話
「無口な男」の最後の熱弁
2019年4月26日(金)更新
<ジャパン激闘史④>
ライバルこそ成長の糧
海外挑戦のパイオニア
2019年4月25日(木)更新
対立をエネルギーに!
舞台裏のトークバトル
2019年4月18日(木)更新
W杯の借りはW杯で返す
運命のスコットランド戦
2019年4月12日(金)更新
<ジャパン激闘史③>
オーストラリアで咲いた
ブレイブ・ブロッサムズ
2019年4月11日(木)更新
トライゲッター山田章仁
新天地でV!33歳の挑戦
2019年4月4日(木)更新
世界に通用するスクラム
長谷川コーチの“職人魂”
2019年3月29日(金)更新
<ジャパン激闘史②>
W杯初勝利を呼んだ
宿澤監督の「偵察力」
2019年3月28日(木)更新
アイルランドの弱点
「セクストンを潰せ」
2019年3月22日(金)更新
<ジャパン激闘史①>
「ブライトンの奇跡」秘話
正座が生んだ最適スクラム
2019年3月21日(木)更新
ジェイミー・ジャパンに
グレイシー柔術式トレ
2019年3月14日(木)更新
NZがやってくる!
大分の“おもてなし”
2019年3月7日(木)更新
ラガーマンの誇り
タックルを語ろう
2019年2月28日(木)更新
存在感示した中村亮土
「夢の舞台」への条件
2019年2月21日(木)更新
ジャパン支えるブラウニーの
「異次元頭脳」とタフガイ伝説
2019年2月14日(木)更新
ジャパン復帰への布石か!?
トモさん、サンウルブズ入り
2019年2月7日(木)更新
“再建人”清宮克幸
新たなるミッション
2019年1月31日(木)更新
脱エリートの心意気
代表復帰狙う藤田慶和
2019年1月24日(木)更新
トップリーグ総括
カップ戦導入の意義
2019年1月17日(木)更新
明大日本一とW杯大金星
共通する“裏方”の存在
2019年1月10日(木)更新
誰もが認めるリーダー
主将リーチ・マイケル
2018年12月27日(木)更新
日野「街の誇り」をかけた戦い
地域密着でトップリーグに新風
2018年12月20日(木)更新
ジャパンへの登竜門・TL新人賞
トライゲッター岡田優輝の「嗅覚」
2018年12月13日(木)更新
成長を求めた神戸製鋼移籍
代表「激戦区」に挑む日和佐
2018年12月6日(木)更新
ジャパンの命運握るSO田村優
引き出しの多さで世界に挑む!
2018年11月29日(木)更新
ジャパンの2018年を振り返る
レフェリー分析が目標達成のカギ
2018年11月22日(木)更新
イングランド戦、後半失速の理由
指揮官に求められる「カード捌き」
2018年11月15日(木)更新
帝京大、対抗戦V8に王手
カギ握る竹山晃暉のキック
2018年11月8日(木)更新
現代ラグビーのキーワード
「オフロードパス」の極意
2018年11月1日(木)更新
11.3最強軍団オールブラックス戦
ジャパンよ、躍進のヒントを掴め!
2018年10月25日(木)更新
“生ける伝説”ダン・カーター
「平成最後の冬」を堪能しよう
2018年10月18日(木)更新
“スパルタ”から“自立を求める”指導へ
W杯ベスト8に挑むジェイミー・ジャパン
J:COM ラグビーガイド
PageTop

J:COMへのお申し込み

特典・キャンペーン

特典・キャンペーン

個別サービスのお申し込み

資料請求

加入申込

サービス追加・変更

料金シミュレーション

問い合わせ