リーグワン・ディビジョン1は大詰めを迎えています。4月23日でレギュラーシーズンの日程が終了。プレーオフ準決勝(5月13、14日)は1位の埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)が同4位の横浜キヤノンイーグルス(横浜E)、同2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)が同3位の東京サントリーサンゴリアス(東京SG)と戦います。4月22日の第16節ではS東京ベイと東京SGが、“プレーオフ前哨戦”を行い、S東京ベイが39対24で勝利しました。
S東京ベイ対東京SG戦。勝負を分けたのは後半19分から26分までの8分間でした。この間のスコアはS東京ベイが1トライ1ゴールによる7点、対する東京SGは1トライの5点。S東京ベイはフルバックのゲラード・ファンデンヒーファー選手とスクラムハーフ谷口和洋選手をシンビンで欠きながら得点で上回りました。
試合後の記者会見。東京SGの田中澄憲監督は、数的優位を生かせなかったことを「負けた理由のひとつ」にあげ、こう続けました。
「あの時間帯は自分たちも勝負に出ていた。しかし、ちょっとしたエアポケットに落ちてしまった。気を抜いたわけではないと思うが、押せ押せの感じで、“勝てるだろう”と。一方、クボタさんは(人数が少ないことで攻撃の選択肢を狭めて)、ラック周辺をどんどん攻めてきた。それに対し、我々はパッシブ(受け身)になってしまった」
その場面を振り返りましょう。S東京ベイは21分にトライを許し、15対24。まだ5分以上は2人少ない状況が続きます。耐える時間が続くかと思われましたが、ここでS東京ベイは反撃に転じます。
「いいコミュニケーションをとってアジャストすることができました」とはスタンドオフのバーナード・フォーリー選手。一時退場中の谷口選手の代役として、スクラムハーフのポジションでボールをさばきました。
「みんながひとつになって、何をすべきかわかっていました」とはキャプテンのセンター立川理道選手。「ボールをキープしながらアタックしていくということ。ディフェンスではしっかりと13人がハードワークしなければ、相手の攻撃を止められないと分かっていました」
バックス2人を欠くS東京ベイはピッチを広く使わず、自慢の強力FWを中心に近場、近場を攻めます。この作戦が的中し、25分、右サイドでボールを持ったセンターのテアウパシオネ選手が縦に突破、一度は止められたものの、再びボールを拾い、前進。最後は右手を伸ばし、インゴール右にグラウンディングしました。フォーリー選手のコンバージョンキックも決まり、22対24と2点差に迫ったのです。
このトライが人数の少ないS東京ベイの選手たちを鼓舞したのは間違いありません。数的不利が解消されると、攻撃にギアが入ります。34分、トライで再逆転すると、さらに2トライ1ゴールを追加し、39対24でノーサイド。S東京ベイはレギュラーシーズンを6連勝で締め、プレーオフに向け弾みをつけました。
試合後、S東京ベイのフラン・ルディケヘッドコーチは「13人になった局面で、ハル(キャプテンの立川)をはじめ、リーダーたちがしっかりと落ち着いてブルーヘッドな状態(感情的にならず冷静に判断できる状態)に持っていってくれた。また13人になってもトライを取れたところが大きかった」と勝因を口にしました。
これで今季の両チームの対戦成績はS東京ベイの2勝。3度目の対戦は5月14日、東京・秩父宮ラグビー場。「お互い手の内はわかっている」と東京SG共同主将のフッカー堀越康介選手。ここからの3週間が勝負です。
当コラムの次回更新は5月11日(木)予定です。
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