東京五輪でメダル獲得を目指した男子7人制ラグビー(セブンズ)日本代表は、残念ながら11位に終わりました。大会はフィジーが連覇、ニュージーランドが2位、アルゼンチンが3位、英国が4位。日本は1次リーグ全敗で、4位入賞のリオデジャネイロ五輪から大きく順位を落としました。
振り返ってみれば、初戦のフィジー戦が全てでした。前回のオリンピックチャンピオン相手に、どこまで戦えるか。ある意味、フィジー戦こそは東京大会を占う上でのリトマス試験紙でした。
「もしかして勝てるのでは……」。そう思った瞬間があります。後半開始早々、副島亀里ララボウラティアナラ選手のトライで19対12と7点差を付けたのです。
その後、再び逆転を許しますが、残り35秒でフィジーの選手がシンビンとなり、日本は数的優位に立ちます。この時点で5点差だっため、「逆転も可能では……」と思えたのですが、マイボールラインアウトをキープできませんでした。ここぞの場面で詰めの甘さが目立ちました。
「選手はオリンピック初戦のフィジー戦でとにかく勝ちを目指し、いいシナリオで試合を進めてくれました。勝たなければいけない試合だった」
そう語ったのは、岩渕健輔ヘッドコーチ(HC)です。5年前のリオ五輪ではニュージーランドを撃破し、その余勢を駆って4位に入りました。
メダルを目指すとは言っても、日本の世界ランキングは16位です。初戦をとるのと落とすのとでは、天と地ほどの違いがあります。返す返すも残念な敗北でした。
大会終了から約2週間後の8月11日、オンラインで行われた日本ラグビー協会による総括会見は重苦しい空気が画面越しからも伝わってきました。
「1年延びた期間を有効に使うのが我々の仕事でしたが、十分にできなかった」
岩渕HCは苦渋の面持ちで、そう語りました。
「国際大会ができない1年半、男子はコロナ禍で活動することを優先しながら進めてきました。男子の実力を考えると保守的な戦い方、強化の仕方では結果が出せない状況であるのは過去の力関係からわかっていましたが、私自身、思い切った強化戦略を出すことができなかった。その責任を強く感じています」
岩渕HCは協会の専務理事という要職にあり、以前からHCとの“二刀流”を心配する声がありました。
強化方針にも疑問の声が聞こえてきました。本城和彦男女セブンズナショナルディレクター(NTD)は「いくつかのワールドラグビー・セブンズシリーズ(WRSS)を経て、オリンピックに臨んでいたとしたら結果も違うものになっていたかなと思います」と反省の弁を口にしましたが、時既に遅しです。
WRSSとはワールドラグビー公認のセブンズ国際大会です。年間10大会行われる男子のシリーズ全てに出場できるのがコアチーム。日本は2020-21シーズンにコアチームへの昇格が決まっていたものの、コロナ禍で中止が相次いだため、強豪との実戦機会を得ることができませんでした。
さて初戦でフィジーに惜敗した日本は2戦目の英国戦で手ひどい負けを喫してしまいました。キックオフ直後に失点すると、その後もトライを重ねられ、終わってみれば0対34。3戦目のカナダには12対36のトリプルスコアで準々決勝進出への道が断たれてしまいました。
大会後、本城NTD、岩渕HCは任期満了で退任しました。今後の新体制については、次期HC選考委員会で決める予定です。まずは、その人選に注目です。
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