今季のトップリーグ(TL)は20日に開幕します。新型コロナウイルス感染拡大により、約1カ月遅れのスタートです。上位進出を目指すキヤノンイーグルスは、ジャパンが3勝をあげた2015年W杯イングランド大会で“エディー・ジョーンズの右腕”と呼ばれた沢木敬介さんを指揮官に迎え、新キャプテンの下、ラストシーズンに臨みます。
沢木監督がTLの指揮を執るのは、2年ぶりです。サントリーサンゴリリアスではチームを2度のTL制覇&日本一に導きました。新たに指揮を執るキヤノンは15-16シーズンの6位をピークに、以降7位、10位、12位と順位を下げています。
沢木監督はチーム改革の一丁目一番地として、日本代表のスタンドオフ田村優選手をキャプテンに指名しました。まずはその理由を聞きましょう。
「一番ラグビーが上手いからです。オファーをいただいたときから、考えていました。今は僕よりも優の方が選手たちに厳しい。僕はそれを望んで優をキャプテンにした。“低いレベルに合わせる必要は一切ない”と優には言っています。“上のレベルで引き上げる、下のレベルに降りてこなくていいから”と。上のレベルに引き上げる強いリーダーとして頑張ってもらっています」
田村選手は15年イングランド大会、19年日本大会と2度のW杯に出場し、通算63キャップを誇ります。19年日本大会では、司令塔としてチームを牽引し、ベスト8に導きました。キヤノンに加入して4シーズン目。過去3シーズンはいずれも消化不良に終わっています。ジャパンでの輝きをチームでは、まだ発揮できていない印象を受けます。
「今まではチームの技術レベルに僕も合わせるような状況でした。自分が持っているものを出し切れなかった。禁止されていたわけではないのですが、“(周りに)合わせてほしい”と伝えられていた。でも今は“自分の持っているものを全部出していい”と言われているので伸び伸びできています」(田村選手)
数あるボールゲームの中でも、ラグビーほどキャプテンが重要視される競技は他にありません。私が編集長を務めるスポーツサイト「SPORTS COMMUNICATIONS」で19年にラグビー元日本代表キャプテンの廣瀬俊朗さんとサッカー元日本代表のキャプテン柱谷哲二さんによるキャプテン対談を実施しました。その席で柱谷さんはこう語っていました。
「ラグビーの試合を見ているとキャプテンがパパッと指示を出しているので感心していました。賢い人じゃないと務まらない。サッカーは本能に任せる部分がありますからね」
サントリー時代の16-17シーズン、沢木監督は過去最低のTL9位に終わったチームの再建を託されました。
「ラグビーも進化もしていなかったし、取り組み方も全く変わっていなかった。悪い習慣を変えていかなければと考えました」
沢木監督が真っ先に手を付けたのがキャプテンの変更でした。帝京大から入部してまだ2年目のスクラムハーフ流大選手を指名したのです。チーム史上最年少(23歳)キャプテンの誕生でした。
「ラグビーに取り組む姿勢、“うまくなりたい、成長したい”という気持ちが一番強い選手に見えたんです」
この抜擢は大成功でした。流選手の活躍もあってサントリーはそのシーズン、TLと日本選手権の2冠を達成したのです。
キヤノンに話を戻しましょう。新体制になってから半年以上が経過しました。田村選手はチームの変化をどのように感じているのでしょう。
「みんながスタンダードを高く維持してくれている。“自分たちが足りていなかった”“今までやってきたことが良くなかった”と気付けたんだと思います。例えば練習後、個人練習をきちんとするようになった。去年までは“大学生の方が練習しているんじゃないか”と思うこともあった。今はみんながチームに貢献するために必死になって頑張っている。自発的に動いている選手も増えてきたと感じています」
沢木新体制でTLラストシーズンを迎えるキヤノン。過去5シーズン(昨季は新型コロナ感染拡大の影響で中止)のベスト4はサントリー、パナソニック・ワイルドナイツ、神戸製鋼コベルコスティーラーズ、トヨタ自動車ヴェルブリッツ、東芝ブレイブルーパス、ヤマハ発動機ジュビロの6チームによって占められています。そこに割って入り、虎視眈々と上位を窺う沢木キヤノンです。
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