44日間に及んだラグビーW杯日本大会は、南アフリカの史上最多タイとなる3度目の優勝で幕を閉じました。想定を上回る盛り上がりだったため、一部では「W杯ロス」という言葉まで飛び出しています。
大会は台風19号の影響で3試合(12日・ニュージーランド対イタリア、イングランド対フランス、13日・ナミビア対カナダ)が中止になるなど想定外のアクシデントに見舞われたものの、ジャパンが史上初の決勝トーナメント進出を果たしたこともあり、成功裏に終わったと言えるでしょう。
国際統括団体のワールドラグビー(WR)のビル・ボーモント会長は「最も偉大なW杯として記憶に残る」と絶賛しました。
大会期間中の観客動員数は170万4443人。日産スタジアムで行われた南アフリカ対イングランドの決勝戦は、大会最多となる7万103人の観衆で埋まりました。これは、2002年に行われたサッカー日韓W杯決勝戦(ブラジル対ドイツ)の6万9029人を上回るものでした。チケットは販売が可能な99.3%にあたる約184万枚が売れたといいます。すなわちソールドアウトだったのです。
その熱気はスタジアムの外にも伝わっていきました。全国16カ所に設けられた公式イベントスペース・ファンゾーンには過去のW杯史上最多の約111万7000人が来場し、大型ビジョンに映し出されるプレーに声援を送っていました。
テレビの平均視聴率も右肩上がりでした。予選プール3戦目、日本対サモア戦は32.8%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)、4戦目のスコットランド戦は39.2%(同)、準々決勝の南アフリカ戦は41.6%にまではね上がりました。
この余熱を未来にどう繋げていくか。日本ラグビー協会に求められるのは次の一手です。日本協会の森重隆会長は「これからが新たなスタート。この盛り上がりをどう繋げるかが大事」と気を引き締めていました。
日本協会には苦い記憶があります。15年イングランド大会でエディー・ジョーンズヘッドコーチ率いるジャパンは南アフリカを破るなど3勝をあげました。羽田空港に“凱旋帰国”を果たした彼らは、誰もがシンデレラ・ボーイでした。
「驚いたことにお昼のワイドショーで自分たちが搭乗した飛行機の様子が生中継されていることを知りました。それまでのW杯は結果も出ていないので、羽田空港で解散というパターンでした。数人の記者が来て囲み取材で終わるぐらいだったんです。でもこの時は記者会見が品川のプリンスホテルで用意されていました。搭乗口を出ると、500人ものファンやメディアが集まっていると聞きました。大勢の方に歓迎され、すごく幸せな気分に浸ることができました」(元ジャパン・大野均選手)
ところが、その1カ月後に開幕したトップリーグ、東京・秩父宮ラグビー場での初戦はパナソニック ワイルドナイツ対サントリーサンゴリアスという好カードだったにも関わらず、スタンドの両サイドは閑散としていました。
試合前、日本協会は「前売り券完売、当日券なし」と発表していましたが、あれは何だったんでしょう。「ラグビーが負けた日です」とのパナソニック田中史朗選手の一言が胸に刺さりました。
同じ失敗を2度と繰り返してはいけません。来年1月に開幕するトップリーグ、そして21年秋に創設が予定されているプロリーグに、44日間の余熱をどう繋ぐか。パスは選手たちから背広組に渡されました。
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