アウェーの洗礼は、予想していたよりも厳しいものになりました。11月12日(現地時間)、ジャパンはロンドン郊外のトゥイッケナム・スタジアムでイングランド代表とテストマッチを行い、13対52で大敗しました。これで対戦成績はジャパンの10戦全敗となりました。
イングランドとジャパンは、ジェイミー・ジョセフHC体制3年目の18年11月にもトゥイッケナム・スタジアムで対戦し、15対35で敗れはしたものの、前半を15対10とリードする健闘を見せています。さらには2週間前の10月29日、オールブラックス(ニュージーランド代表)相手に一時は4点差に迫る接戦(31対38)を演じたこともあり、「もしかすると……」という期待を抱かせましたが、やはり容易な相手ではありませんでした。
一方のイングランドは1週間前、所も同じトゥイッケナム・スタジアムで、W杯フランス大会同組(プールD)のアルゼンチン代表に敗れているものですから、プール内のチーム相手に続けて不覚をとるわけにはいきません。
イングランドは5分、センターのオーウェン・ファレル選手のPGで先制すると、一気にたたみかけようと出足の速いラッシュディフェンスでジャパンの選手たちにプレッシャーをかけてきました。
7分にはプロップのエリス・ゲンジ選手が猛牛のような突進から強烈なタックルを見舞います。これにはWOWOWの中継で解説を務めた元ジャパンの田中史朗選手も「出足がすごく速いです」とうなっていました。
ジャパンはスクラムでも圧倒されました。10分にはコラプシングの反則からボールを失い、その後のラインアウトからの攻撃でフルバックのフレディー・スチュワード選手にトライを許します。17分と21分は相手ボールのスクラムで連続ペナルティー。8万人を超える大観衆にもプレッシャーをかけられます。
ジャパンの初得点は0対17の32分。スタンドオフ山沢拓也選手のPGでやっと3点を返しました。
1週間前のアルゼンチン戦ではハイボールの処理にもたついていたイングランドですが、この日はきっちり修正してきました。シンビンで数的不利となってからも優位に試合を運びます。40分にはスチュワード選手が自陣から自ら蹴ったハイパントをキャッチする“個人技”でジャパン陣内に侵入、その後、一度はボールを奪い返されますが、最後はセンターのガイ・ポーター選手がインゴール左に飛び込みました。前半は24対6でイングランド。
後半に入ってもイングランドの勢いは止まりません。8分、インゴールに突進してきたゲンジ選手を止め切れず、このゲーム4つ目のトライ。10分にはフランカーのマロ・イトジェ選手にロックのジャック・コーネルセン選手が弾き飛ばされ、最後はファレル選手からのキックパスに反応したポーター選手にインゴール左隅に滑り込まれました。
ジャパンの初トライは19分。ロックのワーナー・ディアンズ選手からのオフロードパスを受けたスクラムハーフ齋藤直人選手がゴールポストの左に飛び込みました。
終わってみれば7トライを奪われ、13対52。クアドラプルスコアの完敗でした。
試合後のジョセフHCのコメントです。
「スタート、スクラムでミスがあり、相手のプレッシャーもあった。イングランドの体力に対し、弱さが出てしまった」
選手たちの感想も記しておきましょう。
「ミスとペナルティーで相手を勢いに乗せてしまった」(キャプテンのフッカー坂手淳史選手)
「自分たちで首を絞めた試合だった」(プロップ稲垣啓太選手)
「圧力がかかってきて、いい流れにできなかった」(フランカーのリーチ・マイケル選手)
完敗は完敗ですが、全く歯が立たなかったわけではありません。米ESPNラグビーサイトのスタッツによると、ボール支配率は54対46でジャパンが上回っていました。スクラム、ラインアウト、タックルの成功率もジャパンが上でした。それでもクアドラプルスコアになったのは、大事なところで規律が乱れたこと、そしてハイボールの争奪で競り負けたことでした。ジャパンらしい多彩なアタックが不発に終わったのは残念でしたが、イングランドは来年9月17日に対戦する相手です。手の内を明かす必要はありません。「いい勉強になった」とはリーチ選手。「あの経験があったから、今日がある」。ニースではそんなコメントを期待したいものです。
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