リーグワンは第5節を終了し、全勝チームは東京サントリーサンゴリアス(1試合不戦勝)のみとなりました。もうひとつ“影の全勝チーム”が存在します。昨季トップリーグ(TL)王者の埼玉パナソニックワイルドナイツです。新型コロナウイルス陽性者が出た影響により、開幕2試合は不戦敗。第3節で“遅い開幕”を迎えると、そこから3連勝と快進撃を続けています。
第5節終了時点での埼玉WKの1試合平均失点(不戦敗の2試合は除く)はリーグナンバーワンの15です。昨季TLで1試合平均13.4失点と他を圧倒した堅固な守備は、新リーグになっても健在です。
フッカー堀江翔太選手、プロップ稲垣啓太選手らジャパンの常連が名を連ねる埼玉WKの戦力はリーグ随一です。今季はそこにオーストラリア代表ウイングのマイカ・コロインベテ選手というビッグネームが加わり、どのチームも認める優勝候補の大本命。TLを制した昨季以上の陣容で“遅い開幕”を迎えました。
スタンドオフ松田力也選手が「ディフェンスは僕たちワイルドナイツの伝統として根付いている。積み重ねてきたものは2週間休んだだけでは簡単に崩れない」と力説したのが1月23日、熊谷ラグビー場での横浜キヤノンイーグルス戦でした。この試合は埼玉WKにとって、ようやく迎えた今季初戦。対する横浜Eは、ここまで2連勝と勢いに乗っていました。
キックオフ直後から横浜Eが積極的に仕掛けてきましたが、埼玉WKはインゴールに頑丈な鍵をかけます。4分、ナンバーエイトのアマナキ・レレイ・マフィ選手にインゴール目前まで迫られたものの、フランカー布巻峻介選手らが下から潜り込みトライを許しません。8分にPGで先制を許したものの、13分にはセンターのハドレー・パークス選手のジャッカルがジェシー・クリエル選手のペナルティーを誘いました。これで得たPGを松田選手が確実に決めて追いつきます。
17分、再びマフィ選手にインゴール目前までボールを運ばれましたが、ロックのジョージ・クルーズ選手が身を挺して防ぎました。センターのディラン・ライリー選手のトライなどで7点を勝ち越し。前半終了間際にも横浜Eの猛攻をしのぎ、最後はライリー選手がタックルを見舞って失点を阻止しました。
後半は攻撃面でもエンジンを全開にしました。16分にはコロインベテ選手の突破から、最後はパークス選手がインゴール左隅にボールを置きました。35分には松田選手のキックパスを受けたウイング竹山晃暉選手がトライを奪い、27対3と引き離しました。最後まで横浜Eにトライを与えず、ノーサイドの笛を聞きました。
試合後、ロビー・ディーンズ監督は「選手たちのパフォーマンスに非常に満足している」と満足した様子で話しました。「特に頑張りが見えたのはディフェンスの部分。前に出て体を張って止めたことが一番の収穫です」
途中出場のフッカー坂手淳史キャプテンも「自分たちのプライドがディフェンスで出た」と胸を張り、こう続けました。「1人がタックルミスしても2人目、3人目が入ってきていた。小さいミスを大きくしないディフェンスができていました」
横浜Eと埼玉WKとでは試合勘に2試合分の差がありました。実際、埼玉WKはアタック面で連係が乱れ、攻撃を継続できないシーンが散見されました。ディーンズ監督も「ここまで辿ってきた状況を考えるとある種避けられない。スキルの部分は落ちていた」とブランクの影響を率直に認めました。
しかし、ことディフェンスに関しては全く錆びつくことはありませんでした。ベテランの堀江選手は「何年間もやってきたベーシックなことが崩れなければ、僕らのディフェンスは崩しにくいと思います」と述べました。続けて「まだ100点ではないですが、どんどん良くしていきたい」とも。好調の横浜Eをノートライに抑えても、「100点ではない」と口にするところにディフェンスに対する絶対的な自信が窺えます。
さらに埼玉WKは第4節でコベルコ神戸スティーラーズとの接戦を41対37でものにすると、第5節のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安に48対5と圧勝。勝ち点を14に積み上げ、5位に浮上しました。勢いに乗る本命を、どこがストップするか。それが第6節以降の見所です。
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