“微笑みの貴公子”と言えば、今季リーグワンで得点王を獲得した東京サントリーサンゴリアスのスタンドオフ/フルバック、ダミアン・マッケンジー選手が思い浮かびます。日本にも笑顔がトレードマークのラガーマンがいます。6月18日に行われたウルグアイ代表とのテストマッチで代表デビューを果たしたウイング根塚洸雅選手です。
根塚選手は兵庫県出身の23歳。東海大学付属仰星高校(現・東海大学付属大阪仰星高校)、法政大学を経て、昨年4月にクボタスピアーズ(現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)に入団しました。身長173センチ、体重82キロと小柄ながら力強いランが持ち味。リーグワンではリーグ戦10試合に出場し、4トライをあげました。ディフェンスラインを突破した回数を指すラインブレイクでは22とリーグトップ。新人賞、ベストフィフティーン、ベストラインブレイカーの個人3冠に輝きました。
リーグワンの活躍が評価され、ジャパンの予備軍にあたるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)にも選出されました。NDSのメンバーで臨んだウルグアイとのテストマッチで初キャップを刻み、代表初トライを記録、34対15の勝利に貢献しました。
試合後、NDSの堀川隆延ヘッドコーチ(HC)は「最初の10分くらいは緊張していたが、彼の持ち味である思い切ったプレーは随所に出ていた」と高く評価しました。ジャパンへの“昇格”は果たせませんでしたが、持ち味を存分に発揮しました。
ウルグアイ戦を振り返りましょう。10分、フルバック尾﨑晟也選手からのロングパスを左サイドでキャッチした根塚選手、追いすがる相手選手を右手で制しながら、インゴール左に飛び込みました。
この日の根塚選手、試合序盤は硬い表情でした。ウォーミングアップ中、スピアーズの先輩でセンター立川理道選手からは「いつもより笑顔が少ないぞ」と指摘されたといいます。
「自分が気付いていないところでプレッシャーを感じていたのかもしれない」と本人。その緊張も先制トライにより「吹っ切れた」そうです。その後は24分に敵陣深くでタックルを見舞い、相手のパスミスを誘いました。後半31分に左サイドを駆け抜けた際には、笑顔がこぼれました。
試合後のオンライン会見にはメンバー全員のサインが入ったジャージーを着て出席。「飾って宝物のひとつにしようと思います」とにこやかに語りました。
根塚選手のリーグワンデビューは2月26日、ホームの江戸川陸上競技場で行われた第7節のトヨタヴェルブリッツ戦。デビューのプレッシャーもものかは、力強いランで何度もディフェンスラインを突破しました。この日のプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選出されるなど大きなインパクトを残しました。
試合後、根塚選手は「自分がどんなプレーができるかを観てもらえることを楽しみにしながら挑んだ。グラウンドで一番楽しんだ。とても良い日でした」と笑顔で試合を振り返りました。
傍目からの印象ですが、根塚選手は実に楽しそうにプレーをします。その理由について、本人はこう語っています。
「どんな時でも“楽しもう”という意識は持とうとしているので、そこから笑顔が生まれているのかと思います」
チームメイトからの評判も上々です。オーストラリア代表71キャップを誇るスタンドオフのバーナード・フォーリー選手はこう言います。
「コーガと一緒にプレーできて楽しいし、マインドが素晴らしい。“いつもアタックしたい”という気持ちが見えるし、ラグビーを純粋に楽しんでいる気がする」
この夏のジャパンは、残り3試合。対戦相手はウルグアイ代表ともう1試合、フランス代表と2試合です。
根塚選手のライバルとなるのが、現メンバーリストにウイングとして記載されている5人。リーグワントライ王の山下楽平選手、センターでもプレーできるシオサイア・フィフィタ選手、セブンズ日本代表の経験もあるジョネ・ナイカブラ選手、昨年代表合宿に招集されたゲラード・ファンデンヒーファー選手と髙橋汰地選手です。他にも根塚選手と同じNDSの竹山晃暉選手も虎視眈々と代表入りを狙っています。2019年W杯日本大会の主力・松島幸太朗選手はコンディションさえ整えば、メンバーリストに名を連ねるでしょう。根塚選手は「ウイングとしてのスキルをもっと上げていけば、次のW杯にもつながると思う」と語っています。勝負はこれからです。
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