
ラグビー日本代表(ジャパン)の予備軍にあたるジャパン・フィフティーン対マオリ・オールブラックス(ニュージーランド先住民族マオリの代表)の一戦は、6月28日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、ジャパン・フィフティーンは20対52で大敗しました。23人中17人がノンキャップの若手主体で臨んだとはいえ、前半をリードしながら後半に6トライを奪われての逆転負け。終盤の20分だけで3トライを許しました。終盤の戦い方に課題を残しました。
この試合の指揮をコーチング・コーディネーターのニール・ハットリーさんに委ねたエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は、ピッチレベルでゲームを見守りました。試合後、囲み取材に応じたエディーHCは「まだ若いチ―ム」と前置きした上で、こう振り返りました。
「すごくポジティブな(前半)40分だったが、後半は(相手の)フィジカルについていけなかった。すべてのラックが相手のスピードで組まれ、空中戦も相手に全部取られた。フィジカル的なキャパシティが最後までなかったというところがある。そこは課題として取り組み続けるだけです」
エディーHCが口にしたように、前半はウイングの植田和磨選手が2トライをあげるなど17対15とリードして終えました。
しかし「フィジカルについていけなかった」後半は3分に逆転を許すと、あとは防戦一方となりました。後半はフッカー江良颯選手がイエローカードをもらうなど1人少ない時間帯もあり、マオリ・オールブラックスの猛攻の前に為す術がありませんでした。
エディーHC2期目は、ここまでテストマッチ11試合、ジャパン・フィフティーンとしての強化試合を含めると計17試合戦い、戦績は8勝9敗(テストマッチ4勝7敗)。試合内容は序盤の勢いに比べ、終盤は“ガス欠”が目立ちます。
【エディー・ジャパン2期目テストマッチ戦績】日本の世界ランキングは12~14位
2024年6月22日 イングランド代表 ●17対52(対戦当時=5位)
2024年7月13日 ジョージア代表 ●23対25(同14位)
2024年7月21日 イタリア代表 ●14対42(同8位)
2024年8月25日 カナダ代表 ○55対28(同21位)
2024年9月7日 アメリカ代表 ○41対24(同19位)
2024年9月15日 サモア代表 ○49対27(同13位)
2024年9月21日 フィジー代表 ●17対41(同10位)
2024年10月26日 ニュージーランド代表 ●19対64(同3位)
2024年11月9日 フランス代表 ●12対52(同4位)
2024年11月16日 ウルグアイ代表 ○36対20(同19位)
2024年11月24日 イングランド代表 ●14対59(同7位)
就任以来、エディーHCは終盤の20分を課題にあげていました。リーチマイケル選手も1次リーグ敗退に終わった2023年W杯フランス大会後に「弱点はラスト20分の戦い。(それを埋めるのが)最後のピース」と話していました。
しかし、そのラストピースはいまだに埋まっていません。ランキングで上位チーム(対戦時)とのテストマッチでは、実に7試合中4試合で、後半20分を過ぎてから2トライ以上(イタリア代表=2トライ1ゴール、フィジー代表=3トライ4ゴール、ニュージーランド代表=2トライ2ゴール、イングランド代表2戦目=2トライ2ゴール)を奪われています。
6月30日に行われたオンライン会見で、指揮官は打開策について、こう説明しました。
「試合の中盤以降はパワーの争いになります。ジャパンはパワーのあるチームではないので、試合の流れを変え、相手を崩していく方法を見つけなければならない。つまり“奇襲攻撃”のような戦法が必要です」
きしゅうこうげき。エディーHCが、わざわざ日本語を使ったのは、この言葉にそれなりの思い入れがあるからでしょう。
言うまでもなく奇襲攻撃とは、万策尽きた際に用いる、いわゆる“弱者の戦法”です。
7月5日(福岡・ミクニワールドスタジアム北九州)、12日(兵庫・ノエビアスタジアム神戸)に戦うウェールズ代表(6月現在世界ランキング12位。ジャパンは13位)はジャパンの現在地を知る上で格好の相手です。とはいえ、真夏に心身ともに疲弊する金看板の“超速ラグビー”を、80分間続けることは現実的ではありません。ウェールズ戦でエディーHCは、どんな一手を繰り出すのか。けだし見物です。
データが取得できませんでした
以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。